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暮らし

“聴覚の衰え”は40代から「音が響いて聞こえる」「電話の声が聴きとりづらい」は要注意

 現役で働く人も多く人も多いシニア世代、とても元気な印象だが、75才以上の約半数は「難聴」に悩んでいるという統計もあるという。聞こえづらさをそのままにしておくと、知らないうちに「難聴」が進行してしまうかもしれない。今から早めに対策しておこう。

教えてくれた人

井上泰宏さん/耳鼻咽喉科医

耳鼻咽喉科いのうえクリニック院長。日本耳鼻咽喉科学会補聴器相談医、および補聴器適合判定医。クリニックでは、医療費控除申告に必要な補聴器の適合判定や、補聴器相談を行う。

加齢で感音難聴に。高音から聞きづらく

「聞こえづらさを自覚するのは70才前後が多いですが、実は40代から聴覚の衰えは始まっています」

 とは、耳鼻咽喉科医で補聴器相談医の井上泰宏さんだ(「」内、以下同)。加齢による難聴では、携帯電話の着信音など、高い音から徐々に聞こえづらくなる。

「難聴にはいくつか種類があり、加齢による難聴の多くは『感音(かんおん)難聴』です。内耳(ないじ)にある音を感知する器官・蝸牛(かぎゅう)が老化で機能が低下し、音をうまく感じ取れなくなるのです」

音が聞こえる仕組み

 外耳で音を集めて鼓膜に伝え、中耳で音を増幅。内耳で音の振動を電気信号に変えて脳に送る。こうした連携で音が聞こえている

 加齢による感音難聴の場合、治療しても治せないが、補聴器の活用で聞こえづらさは改善できる。難聴には慢性中耳炎などが原因で起こる「伝音(でんおん)難聴」もあり、これは手術で治療できるケースが多い。

「難聴には感音難聴と伝音難聴が合わさった『混合性難聴』もあり、難聴の原因を把握するには耳鼻咽喉科の受診が必要となります」

放置すると進行 早期発見が重要

 難聴は、聞こえづらさの度合いによって軽度・中等度・高度・重度に分類される。難聴の程度は、音の大きさを表す数値・dB(デシベル)で表され、難聴が進行するほど数値も大きくなる。

 たとえば、難聴ではない人(20dB未満(※))では、鳥のさえずりやささやき声などの小さな音も聞き取れるが、軽度難聴(25~39dB)では小さな声や騒がしい場所での会話が難しくなる。中等度(40~69dB)では普段の会話が聞き取りづらく、背後からの自動車音に気づきにくい。高度(70~89dB)では大型トラックの音がなんとか聞こえる程度。重度(90dB以上)では、日常生活の音はほぼ聞こえない。

「難聴の度合いは耳鼻咽喉科での聴力検査でわかります。結果によって対処の方法が変わるので、早めの検査をおすすめします」

 難聴を放置すると事故に巻き込まれたり、コミュニケーションの取りづらさから認知症を悪化させたりすることもあるため、早めの受診・検査が重要になる。

(※)WHO(世界保健機関)の基準。学校検診では25dBが聞こえていれば異常なし。

こんな症状があれば耳鼻咽喉科へ!聞こえづらさチェック!!

 あてはまる項目が多いほど難聴が進行している可能性がある。今すぐ自身の耳の調子を確認してみよう!

【1】スマホの着信音や体温計の検温終了音が聞こえづらくなった

【2】会話の相手に聞き返すことが多くなった

【3】電話の声が聞き取りづらい

【4】話し声が大きくなったと指摘されるようになった

【5】以前よりもテレビの音量を上げるようになった

【6】耳鳴りがする

【7】自分の話し声が響いて聞こえる(自声強聴)

【8】外からの音が響いて聞こえる(音響過敏)

シニア世代だけじゃない!若者に広がる「イヤホン難聴」

 頻繁に大きな音を聴かざるを得ないミュージシャンには、若いときから難聴を発症する人がいるが、最近はスマホやゲームの普及で、一般の若者も難聴に悩むようになったという。

「イヤホンで強大な音を聴くと、一時的に難聴の症状が現れることがあります。自然に回復することが多いのですが、繰り返すうちに慢性化し、将来は早い段階から補聴器が必要になる可能性も」(井上さん)

 イヤホンやヘッドホンを使う際は、全体の音量の60%以下で聴くこと。さらに1時間ごとに10分休憩することが予防につながる。

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