「母、謎の不調でワンプレート生活」NO老いるLIFE~母と娘のほんわか口福日誌~第51話
慢性膵炎を抱える母とともに暮らす漫画家のうえだのぶさん。栄養士の資格をいかしながら、すい臓を労る母の食事管理をする日々。半年に一度のすい臓の検査を控え、母に新たな不調が起きて――。
膵炎の母、謎の不調
えーと…母、膵臓の検査の前に、また謎の不調が起きました。今度は「脚」です。
始まりは5月の中旬くらいでした。
母「立っちょるとエラくてやれんのよ~(ダルくてたまらないのよ~)」
痛いわけじゃなく左の脚全体が重ダルいらしく、今また杖をついて歩いています(2年前に膝に水が溜まって以来です)。
定期的に通っている整骨院で診てもらうも改善せず、「一度レントゲンを撮ってもらった方がいい」と言われ、整形外科で血液検査やMRIまで受けたんですが。結果は「異常なし」。骨のズレも、筋肉の炎症もないそうなんです。
痛み止めを処方されて、しばらく様子を見ることになりましたが一向に症状は変わらず。「悪い所はない」と言われたのになぜ?という「謎」な状態です。
そんな状況になって私にも負担がじわじわと増え始めました。その中で今一番負担が大きいのが「庭木の手入れ」なんです。時期が悪かったー。
うちの母、趣味で家の周りに木や草花や野菜などをいっぱい植えているんですよ。で、今って草木が一番すくすく伸びる時期のようで…。
ふと気づくと木の枝は四方八方に伸び、地面は草ボーボー。庭木に無関心な私でさえ「これはないわー」と思うほどの荒れ具合。見かねて手入れをすることにしました。
伸びた枝をバサバサ落とし、ガンガン草を引っこ抜いて…。ボサボサの景色が小ざっぱりして、あれ?意外と楽しいじゃん、あはは~(母は私の乱暴な手入れに顔面蒼白ですが)。
一方で苦痛になってきたのが「食器洗い」。これまでは「私作る人・母洗う人」でしたが、なんだかんだで30分くらいかかります。自分が好きで盛り付けたお気に入りの小皿や小鉢が急に憎々しく感じるようになり、改革を決意しました。
簡単に言うと、食器の数を減らすことにしたんです。小皿や小鉢を使わず、仕切りのついたワンプレートで食べることにしました。栄養バランスを説明する時に使っているお皿です(主食・主菜・副菜の説明に便利です)。
食器洗いがラクになる「ワンプレートご飯」
洋食はもちろん、和のおかずも無理やり乗せて、献立によってはヘンテコな盛り付けになったりしますが、食器洗いは格段にラクになりました。
私「申し訳ないけど、お母さんの脚が良くなるまで我が家の食器はこれ一択です」
母「別にえーよ。給食みたいで面白いわ」
私「申し訳ないけど、お母さんの脚が良くなるまで庭木の見た目も諦めてください」
母「ううう、早よーようならんといけんねー(早く良くならないといけないね)」
すでに介護が始まっている周りの人からよく言われるのが、「全部自分で背負っちゃダメよ」と「自分を犠牲にしちゃダメよ」という言葉です。
できないことは無理をせず、はしょれるものは手を抜きまくって…父のがん闘病の時のことも思い出しながら「自分が辛くならない方法」でやっていくつもりです。
さて母の脚ですが、次の段階として「整体」に行ってみる予定です(一般的に「整骨」は“外傷治療”で「整体」は“身体のゆがみなどの調整”というジャンル分けのようです)。
それでもダメでこのまま歩けなくなったら、いよいよ本格的な「介護」の扉を開けることになるのかなあ…とも思ったりしますが(本人には言いませんけど)
次回のエッセイで続きをご報告しますね。「謎の脚不調」と「原因不明の慢性膵炎」。さてさて、どうなりますやら。
NO老いるメモ「ワンプレートで栄養バランス」
うえだ家のワンプレートご飯をご紹介します。
わが家の一食の目安は、以下のようになっています。
・主食(炭水化物)…ごはん150g 食パン6枚切り1枚
・主菜(たんぱく源)…肉や魚、卵、大豆製品など 合わせて100~150g
・副菜(ビタミン・ミネラル)…野菜100~150g *キノコや海藻、乳製品なども含む
これで「ほどほど」にバランスが取れます。で、この仕切り付きのワンプレートだとそれがわかりやすいんです。 洗うのもラクだし、1枚もってると重宝しますよ~。
絵と文
漫画家・うえだのぶ
イラストレーター・漫画家。58才。山口県で82才の母とふたり暮らし。40代で地元の短大に入学し、栄養士の資格を取得。地元山口県を拠点に、漫画を利用した食育や時短調理などの栄養講座の講師なども務めている。
アメブロ:https://ameblo.jp/abareinupoti/ インスタ: https://www.instagram.com/nobuueda/?hl=ja
『読者体験!リアル迷惑人間大集合1 』Kindle版が発売中。