《目にいい食べ物・悪い食べ物》「ぶどう」「ほうれん草」「ダークチョコ」には目の健康に効果的な成分、アルコールやカフェインは摂りすぎ注意!
人生100年時代だからこそ、何歳になってもいきいきと過ごすために大切にしたい目の健康。目の健康を守るためには、食事の面でも意識しておきたいことがいくつかある。そこで、ブライトアイ代表で『最新の視力研究で導き出した 何歳からでも目がよくなる方法』(アスコム)を上梓した、裸眼視力2.0を誇る平賀広貴さんに、目にいい食品と目の健康のために避けたい食品について詳しく教えてもらった。
教えてくれた人
ブライトアイ代表・平賀広貴さん
監修
眼科専門医・松岡俊行さん
まつおか・としゆき。医学博士。眼科専門医。1992年、京都大学医学部医学科卒。眼科研修の後、1996年、京都大学大学院医学研究科。2001年、ロンドン大学客員研究員。京都大学大学院在学中に「Science」、ロンドン留学中に「Nature」に論文掲載。2008年、京都大学大学院医学研究科准教授。2019年、江坂まつおか眼科開業。2021年、医療法人アメミヲヤ設立。著書に『眼科医が考案 1日1分読むだけで目がよくなるマジカルフレーズ』(アスコム)、『スマホアイ 眼科専門医が教える目と脳をと体を守る方法』(同)など。
目の健康維持に効果的な成分と摂りたい食べ物
目のために積極的に摂りたい成分としては、ルテインやゼアキサンチンが挙げられる。これらはカロテノイドと呼ばれる植物由来の色素成分で、網膜を守る効果がある。この成分は体内で合成することができないため、食事やサプリメントから摂取することが必要だ。
「特に、成人になると紫外線の影響や、酸化ストレスが影響して、網膜を守る力が減少するため、ほうっておくと加齢黄斑変性などの眼疾患のリスクを増加させるおそれがあると言われています」(平賀さん・以下同)
「フラボノイドと呼ばれる植物由来の化合物の一種で、ビタミンCの吸収促進や老眼予防などの効果が期待できます」と平賀さんが話す、抗酸化作用のあるルチンやケルセチンも積極的に摂りたい成分だ。
ポリフェノール豊富な「ぶどう」
また、平賀さんは「ぶどう」を食べることもすすめる。ぶどうは近年、目の健康維持に効果的という論文が数多く発表されており、ぶどうを定期的に摂取すると「黄斑色素光学密度」という目の健康に重要な色素の密度が大幅に増加することがシンガポール国立大学の論文でも発表されているそうだ。
「ぶどうに含まれるポリフェノールは、眼圧の維持やグルコース代謝、炎症のもとになるサイトカインの抑制に効果的で、目の健康に役立っているという報告もあります。さらには、白内障を予防し、水晶体の損傷を軽減させる効果もあることがわかっています。酸化ストレスによる損傷から網膜を保護し、網膜の健康を維持する効果もあります」
黄斑の細胞を保護するルテインが豊富な「ほうれん草」
さらに、平賀さんがおすすめしているのが「ほうれん草」だ。ほうれん草には、黄斑の細胞を保護するルテインが豊富に含まれているほか、光の刺激から目を保護するゼアキサンチン、暗闇での極端な視力低下を防ぐビタミンA、網膜の毛細血管の壁を強くするルチンなども含まれている。
特におすすめなのが、夏のほうれん草の3倍ものビタミンCが含まれている冬のほうれん草を摂取することだ。
「厚生労働省が4万人を対象に行った食生活のアンケートでは、ビタミンCをたくさん摂っている人は白内障になりにくい傾向にある、という報告もあります。さらに、正常眼圧緑内障(眼圧が高くないのに、視野欠損など緑内障の症状が出る状態)の方の血中濃度は、ビタミンCの濃度が正常な人に比べて低い傾向が確認されているので、ほうれん草もブドウと同じく積極的に摂取してください」
フラボノイドを豊富に含む「ダークチョコレート」
ブドウやほうれん草のほかに、「ダークチョコレート」も目にいい食品として注目されている。ダークチョコレートには、抗酸化作用があることで知られるフラボノイドが豊富に含まれており、血流の改善と酸化ストレスの軽減により、視覚能力の向上が期待できるという。
「同様にココアも網膜を酸化損傷から保護する効果があるとされているので、チョコレートが苦手な方はココアを試してください」
高糖質食品や過剰な塩分を含んだ食品には要注意
一方、目に悪影響を及ぼす可能性があり、避けたほうがいい食品の代表は、甘いお菓子や加糖飲料、加工食品などの高糖質食品や、カップ麺、スナック菓子などの過剰な塩分を含む食品だ。高糖質食品は血糖値を急激に上昇させ、糖尿病のリスクを高めるが、糖尿病は血管にダメージを与えるため、糖尿病網膜症を引き起こし、視力低下や失明につながる可能性がある。
「塩分の過剰摂取は血圧を上昇させ、高血圧性網膜症や緑内障のリスクを高める可能性がある。過剰に塩をとると、体の塩分を薄めるために水分が必要になります。過剰な塩分と水分は眼圧を上げ、緑内障の危険性を増大させます」
工業用トランス脂肪酸や加工肉の塩分・保存料に注意
揚げ物、マーガリン、ショートニング、加工スナックなどの工業用トランス脂肪酸を含む食品も目のためには避けたい食品だ。工業用トランス脂肪酸は心血管疾患や慢性炎症、酸化ストレスなど全身的な健康問題を通じて目の健康を損なうリスクがあるとされる。
また、ハムやソーセージ、ベーコンといった加工肉も避けたほうが無難という。加工肉には塩分や保存料が多く含まれ、高血圧や血流障害を引き起こし、視力低下のリスクを高めるためだ。
「生体に安全な順番は、生、蒸す、茹でる、焼く、揚げる、保存料で加工する、です。ただし生肉は細菌や寄生虫に注意です」
アルコールやカフェインは過剰摂取に注意
ビールやワインなどのアルコールは過剰摂取すると目にも悪影響が及ぶ可能性がある。アルコールの摂りすぎはビタミンAやビタミンB群の吸収を妨げるためだ。
適量であれば、血行が促進し、網膜の毛細血管によい影響があるが、過度のアルコール摂取は視神経症、白内障、加齢黄斑変性、ドライアイ、眼球運動障害などの症状のリスクを高めることが研究で示唆されているという。
さらに、コーヒー、エナジードリンク、緑茶などに含まれるカフェインも過剰摂取には注意が必要だ。
「適度な量であれば問題ありません。ただし、過剰摂取は眼圧を上昇させ、緑内障リスクを高める可能性があることがわかっています」
例に挙げた食べ物や飲み物をすべて断つ必要はないが、目の健康のためには、リスクを知ったうえで適量を守ることを意識することが大切だ。
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