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介護問題解決の糸口はテクノロジーの活用?「“未来の介護”に関する調査」から見える介護の現状とは

 高齢化が進み、介護人材の不足が深刻な問題となっている現代日本。そんななか介護人材の需給ギャップを解消するために、データ・テクノロジーを活用した“未来の介護”が推進されているようだ。「“未来の介護”に関する調査」から、介護の現状とこれからに対する人々の意識をレポートしていく。

テクノロジーを活用した“未来の介護”への意識調査

 超高齢化社会へと突入し、高齢者の人口が増え続ける日本では、介護人材の需給ギャップが深刻な課題となっている。実際、両親や自身に介護が必要になった時にどうすればいいのかと様々な介護への不安や悩みを抱える人も多いだろう。

 SOMPOケアは全国の30代~60代の男女各500名を対象に「“未来の介護”に関する調査」を実施。介護に関する親世代との話し合いの有無や、自身に介護が必要になった場合の介護サービス利用意向について、加えて同社が“未来の介護”と呼称し取り組んでいるデータ・テクノロジーを活用した介護サービスに対する考えなどについて尋ねた。その結果、これからの介護に関する実態や意識が明らかになった。

介護に関する話し合いについて

1.親と介護について話したことがある30代は1割以下

 介護について考える際、身近なところから両親の介護を思い浮かべる人も多いだろう。そこでまず、親子間(※義父母を含む)で親世代の介護について話し合ったことがあるかという質問を行った。すると「話し合った」と回答したのは2割程度(21.2%)に留まり、約8割(78.8%)の人が親と介護について話し合ったことがないと判明した。

 年代別で見てみると、年代が上がるにつれて話し合ったことがある人の割合は高くなっているものの、両親の年齢が80代~90代と考えられる60代でも39.2%と4割を下回っている。親の介護が身近な世代でも、介護について話し合えていない人が多数派という結果になった。

 また、親の介護は親子間だけの問題ではなく、兄弟姉妹や親族の協力が必要な場合も。両親本人を交えて家族や親族で話し合ったことがあるかという質問では、「話し合っていない」と回答した人の割合はさらに高く、81.1%という結果に。突然訪れるかもしれない介護について、話し合いの機会が持たれることはまだまだ少ないようだ。

介護方法について

1.過半数が親の介護は「施設利用」予定と回答

 続いて親をどのように介護する予定なのかと質問をしたところ、全体の6割(64.5%)が「まだ決めていない・分からない」と回答した。それを除き、親の介護方法について一定の見通しが立っている人について内訳を見てみると、老人ホームなどの「介護施設を利用する」と回答した人が56.0%と半数を超え、続いて3割以上(33.6%)が「自宅で介護サービスを利用して介護する」と回答。合わせて約9割の人が施設や介護サービスの利用を希望していることが明らかとなった。

 回答理由について、施設の利用に関しては「各自の生活をこなすため。また、本人の希望」(大阪府・66才女性)、「介護による負担及び心労の方が、デメリットがあると考えられるため」(愛媛県・44才女性)、「自宅は衛生面、居住性などにおいて不充分だと思うから」(大阪府・51才男性)、「自分ではどうにもできないこともあるだろうから、他人の手をお借りしたい」(奈良県・32才女性)などの意見が挙げられた。

 また、自宅で介護サービスを利用せずに介護予定という回答に関する理由では、「親には世話になったため、他人の手を借りずに自分で世話をしたい」(愛知県・64才女性)、「サービスを使いたいが本人が拒否している」(北海道・56才女性)、「自分ができるうちは親の介護は自分でしたい」(和歌山県・54才男性)などの意見があるようだ。

2.自身に介護が必要になった場合は施設入居希望の声が多数

 次に、自身に介護が必要になった場合にはどうしたいか、と尋ねたところ、54.0%が「まだ決めていない・分からない」と回答した。60代は他の年代に比べると決めている人の割合が高く、「まだ決めていない・分からない」と回答した人は4割(41.6%)程度だった。

 また、「まだ決めていない・分からない」と回答した人を除くと、「介護施設を利用したい」という回答が最も多く、71.9%と7割を超える結果になった。次いで「自宅で介護サービスを利用したい」という回答も多く、親世代の介護以上に、自身については介護サービスを利用したいと考えている人の割合が高いようだ。

3.介護を頼みたい相手「介護士・ヘルパー」が最多

 さらに、将来自身に介護が必要になった場合に介護を頼みたい相手について尋ねた。最も多かったのは7割弱(66.1%)が回答した「介護士・ヘルパー等の専門家」で、理由としては「プロの方が要領がいいと思うから」(神奈川県・30才女性)、「身内に負担をかけたくない」(兵庫県・65才男性)、「プロの方が介護の仕方を知っている」(千葉県・55才男性)などが挙げられた。

 続いて、15.8%と約6人に1人が「配偶者・パートナー」と回答。その内訳を見ると、男性が19.4%、女性は12.2%と男性の方が女性に比べて多い傾向にあった。また、「自分の子供」と答えた人は僅か6.0%に留まり、ほとんどの人が自分の子供に介護をしてもらいたいとは考えていないことが明らかになった。

テクノロジーと介護について

1.介護問題解決の糸口はテクノロジーの活用?

 将来に向かって拡大していく介護人材の不足を見据え、介護業界ではデータやテクノロジーを活用することで、介護サービス利用者へのサービス品質向上と介護職員の負担軽減を両立させるための変革が進められている。そこで続いては、介護業界におけるデータ・テクノロジーの活用についての質問を行った。

 介護業界でデータやテクノロジーが活用されていることに対して、「知っている」と回答した人は僅か6.5%。「聞いたことはあるが、よく知らない(25.3%)」及び「知らない(68.2%)」と回答した人は合わせて9割以上(93.5%)に上り、介護現場におけるテクノロジー活用の認知度はまだまだ低いことが明らかになった。

2. 約8割がテクノロジーを活用した介護サービスを希望

 車イスのまま入れる入浴装置やおむつ内の排泄状況が分かるシステム、睡眠状態を測定するセンサー、床ずれを防止する装置など、介護を受ける人やその家族が快適かつ安心して過ごせるように、様々なテクノロジーが幅広く介護現場で活用されている。こうしたテクノロジーを取り入れた介護サービスへの意向を尋ねたところ、「受けたい(29.1%)」「どちらかというと受けたい(49.1%)」と合わせて8割近く(78.2%)の人が肯定的な回答をした。

 中でも自身で親の介護を担っている人(一部担っている人を含む)は特に割合が高く、「受けたい(37.3%)」「どちらかというと受けたい(51.0%)」を合わせて9割近い(88.3%)という結果に。実際に介護を経験しており、その大変さを知っているからこその結果と言えるだろう。

 また、介護サービスの中でも特にどういった場面でテクノロジーを活用してほしいかという質問では、「排泄(61.4%)」「睡眠(60.6%)」「入浴(59.1%)」という回答がトップ3にランクインした。「一部活用した方がよい」を合わせると3項目とも9割を超えており、体力的な負担や衛生面だけでなく、介護する側とされる側の双方にとってセンシティブな項目に回答が集中した。

3.テクノロジー活用への期待と人にしかできないこと

 最後に、テクノロジーを活用した介護サービスへ期待することと、一方で人にしかできないと思うことを尋ねた。その結果、テクノロジーに任せられるところは任せ、人はコミュニケーションなど人にしかできない介護に集中する“未来の介護”を望む声が多数挙げられた。

テクノロジー活用に期待すること

「人手不足やミスを減らしたい」(東京都・43才女性)「介護は力仕事でもあることを熟知しているので、人間の力では及ばないことを、データやテクノロジーで何とかしてほしい」(静岡県・50才女性)「テクノロジーに任せて、スタッフの方に余裕ができたら、その時間でおしゃべりしたりお散歩に連れて行ってもらったりしてほしい」(大阪府・62才女性)「データやテクノロジーにより、介護者の負担が減り、より介護の質が上がること」(東京都・39才男性)

人にしかできないと思うこと

「気遣いや、先回りした行動、咄嗟の判断」(大分県・33才女性)「相手の感情に合わせた会話」(宮城県・63才女性)「コミュニケーション(傾聴・受容・共感)などは人にしかできないのではないかと思う」(広島県・61才女性)「曖昧さ、エビデンスにないものを臨機応変に考えることができる」(千葉県・55才女性)

大切なのは“未来の介護”について知ること

 以上の「“未来の介護”に関する調査」を通して、世代を問わず多くの人が抱える介護の不安や課題が明らかとなった。また、テクノロジーを活用した介護サービスへの期待からは、人の手だけでは解決が難しいと感じられている様々な問題点が浮き彫りになったと言える。

 テクノロジーの活用がさらに発展し、“未来の介護”がより周知されていけば、介護する側もされる側も自分らしく生活できる社会へ繋がっていくだろう。そしてそのためには、ひとりひとりがより介護について知ることが必要だ。一度しっかりと介護の情報を集め、家族や身近な人たちと話し合う時間をとってみてはいかがだろうか。

【データ】

SOMPOケア
https://corporate.sompocare.com/

未来の介護MAGAGINE
https://mirainokaigomagazine.sompocare.com/

【調査概要】

調査方法:WEBアンケート調査
調査テーマ:「“未来の介護”に関する調査」
調査対象:全国の30代~60代の男女 合計1000名
     (自身が介護を受けていない、かつ、自身の親が存命の男女)
調査期間:2024年7月29日~30日
調査主体:SOMPOケア
調査機関:ネオマーケティング

※SOMPOケアの発表したプレスリリース(2024年10月9日)を元に記事を作成。

図表/SOMPOケア株式会社提供 構成・文/秋山莉菜

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