診療所ゼロの市町村が過去最多 オンライン診療の推進、介護・福祉サービスとの連携が今後の鍵
厚生労働省は10月17日、「新たな地域医療構想等に関する検討会」で、2040年までに「診療所がない市区町村」が342に増加するという推計を示した。
医療空白地域が20年で4倍に…
2022年時点で診療所ゼロの市区町村は全国に77あるが、20年で4倍に達する計算だ。特に人口1万人未満の小規模自治体で顕著な増加が見込まれており、人口減少が進む中で、地方医療の未来が問われている。 この推計は、診療所を支える医師が75歳で引退し、後継者も新規開業もないという前提で行われたもので、医療資源不足の現実が浮き彫りになっている。2040年には、医療機関がなくなることで外来医療が不足し、地域住民の健康管理が困難になる事態も予想されている。
オンライン診療と介護サービスの連携で医療の穴を補う
この深刻な状況に対し、厚労省は医療資源の確保策や、医師の偏在を是正する方策をまとめる予定だ。特に、人口の少ない地域では医師の派遣が難しいケースが多く、こうした医療過疎地でのオンライン診療の活用が重要視されている。インターネットを通じて専門医の診療が受けられるオンライン診療は、医療アクセスの確保に向けた有力な手段だ。 また、介護施設や福祉施設との連携も欠かせない。診療所がない地域では、これらの施設が医療の一部を代替し、簡易な健康管理や相談支援を行うことが期待されている。医療と介護、福祉の垣根を超えた協力体制が、住民にとって最低限の医療サービスを確保するための鍵となるだろう。
高齢化とともに住居や交通、医療を連携させた住環境の構築は、地域全体の生活支援を強化するために欠かせないアプローチだ。今後は住宅や交通政策といった広範な地域政策と連携し、より持続可能な医療モデルが模索される見通しだ。
今後の地域医療は地域連携と新たなサービスが不可欠に
医療資源の不足が進むなか、診療所の減少に対応するための地域連携がますます求められている。診療所ゼロが広がる状況で、オンライン診療や介護サービスの役割が重要性を増す中、住民の生活を支える体制を確立するためには多方面からの協力が不可欠だ。厚労省と地域社会が一体となり、医療の持続可能性を保つための新たなモデルを構築する取り組みが求められている。
構成・文/介護ポストセブン編集部