介護費用が過去最多を更新 前年比2.9%増の11兆5000億円超
厚生労働省が9月26日に発表した「介護給付費等実態統計」によると、2023年度の介護費用は前年度から3227億円(2.9%)増加し、過去最多の11兆5139億円に達した。
費用拡大の要因は?
特に訪問介護などの需要増加が、この費用拡大の大きな要因となっている。高齢者の自宅での介護を望む人が増えていることから、訪問型サービスの利用が年々増加しており、これが介護費用の伸びに大きく影響している。訪問介護は、高齢者が自宅で生活を続けながら必要なケアを受ける手段として、非常に重要な役割を果たしているため、これらのサービスに対する需要は今後も増加が見込まれている。
厚労省グラフ参照元:令和5年度 介護給付費等実態統計の概況_https://www.mhlw.go.jp/toukei/saikin/hw/kaigo/kyufu/23/dl/03.pdf
在宅サービスが全体の45%を占め、さらに拡大へ
前出の11兆5139億円は「介護サービス」と「介護予防サービス」の合計額で、うち「介護サービス」の費用は11兆2146億円(前年度比2.8%増)。「介護予防サービス」も2993億円と5.7%の増加を見せ、どちらも前年を大きく上回る伸びを示した。
また、介護費用のうち、在宅サービスが全体の45%を占めている。施設の入所が難しい高齢者や、できるだけ自宅で過ごしたいというニーズが高まる中、在宅介護は高齢者やその家族にとって欠かせない支援となっている。特に、身体的負担が大きい家族介護を支えるための訪問介護・看護のニーズは高く、介護サービスの中で占める割合は今後も増加するとみられている。
持続可能な介護制度への課題
介護費用の増加は、今後も続くだろう。高齢化の進行とともに、介護需要が拡大し、特に在宅サービスの需要は大きな伸びを見せている。しかし、介護費用の増加が国や自治体の財政に与える影響も無視できない。
今後は、介護予防の強化や効率的なサービス提供を目指すと同時に、財政的な持続可能性を考慮した制度改革が急務となる。高齢者が住み慣れた環境で安心して暮らせる社会を実現するためには、介護現場の労働力確保や質の向上も欠かせない。
構成・文/介護ポストセブン編集部