<ED>改善を目指す生活習慣「漲る下半身を取り戻す飲み物、元気な朝勃ちのための快眠法」を医師が解説
ED(勃起不全・勃起障害)は薬に頼らず改善できるのだろうか? 漲(みなぎ)る力を取り戻し、生涯現役を目指したい――そう願うものの、恥ずかしさや金銭面での心配もあって病院にかかるのは躊躇しがちだ。だが、今や通院せずとも自宅でできる対策が次々と生まれている。自宅での日常生活のひと工夫で改善する方法について、専門医が解説する。
教えてくれた人
平澤精一さん/医師、マイシティクリニック総院長
窪田徹矢さん/泌尿器科医、くぼたクリニック松戸五香院長
細田淳英さん/ED対策治療専門医、ユナイテッドクリニック総院長
自宅でできるED対処法【食事編】
EDはペニスの海綿体への血流が悪化することが原因のひとつ。この血流の改善に欠かせないのが食事だ。
ED治療に携わるマイシティクリニック総院長の平澤精一医師が語る。
「血液をサラサラにする効果のあるEPAやDHAが豊富な青魚や、血管拡張作用のあるアリシンを含むニンニクは意識して摂取しましょう。また牡蠣や赤身肉は男性ホルモンのテストステロンの生成に欠かせない亜鉛が多く含まれており、ED改善に効果が期待できます」
とはいえ、こうした栄養素を毎回の食事で摂取するのは手間がかかる。
そこで平澤氏が提案するのが、「飲み物」だ。勃起に必要な栄養素が手軽に摂れる飲料として平澤氏が推奨するのは、ココアとヨーグルトを一緒に飲むこと。
「ココアには亜鉛が豊富に含まれており、それを吸収するのは主に小腸の働きによる。整腸作用のあるヨーグルトと一緒に飲めば亜鉛の吸収率がアップします。亜鉛にはヨーグルトに含まれるビタミンAの代謝を補助する働きもあるので、相性の良い組み合わせだといえます」(同前)
トマト、キウイ、イチゴをミックス。「ビンビンジュース」の漲る力
ペニスの血流悪化は陰茎動脈が硬化することも要因となる。
平澤氏によれば、動脈硬化の改善が最も期待できるのがトマトジュースだという。
「トマトの赤色の色素成分であるリコピンはポリフェノールの一種で、抗酸化作用が極めて強い。細胞を老化させる活性酸素を減らし、陰茎動脈の酸化を予防・改善して男性機能を高めることにつながります。トマトは液状化させることで細胞膜が壊れ、リコピンが吸収されやすくなるので、ジュースとして飲むのが最適です」(平澤氏)
トマトと並びポリフェノールを多く含むリンゴ、同じく強い抗酸化作用を持つビタミンCを豊富に含むイチゴ、キウイといった果物も効果的だと平澤氏は言う。
「トマト、リンゴ、イチゴ、キウイをミキサーにかけたミックスジュースなら、手軽に作れるうえ一度にまとめて摂取できるので効果的です」
ビンビンジュースで漲る下半身を取り戻す。
自宅でできるED対処法【入浴編】
日常生活のなかでED改善の重要ポイントとなるのが入浴だ。泌尿器科医でくぼたクリニック松戸五香院長の窪田徹矢医師が語る。
「体を芯から温めることで血管が拡張し、全身の血流が改善する。自然とペニスへの血流も良くなります」
42度の湯船と冷水シャワー。血流を改善する「温冷交代入浴」
窪田氏によれば、入浴時のED改善効果をいっそう高めるのが「温冷交代入浴」だという。
「少し熱めの42℃ほどの湯船に5分程度浸かった後、冷水シャワーを30秒〜1分ほど浴びる。これを2〜3度繰り返します。
熱めのお湯に入ると全身の血管が拡張し、その直後に冷水シャワーを浴びることで体の表面が冷やされ、熱が内部に閉じ込められて深部体温が上がる。これによりペニスや睾丸周辺への血流改善が期待できるのです」(窪田氏)
ただし、熱いお湯に長時間浸かることは体への負担が大きいため禁物。また、血圧に不安のある人はいきなり熱いお湯に入らないほうがいいという。
「熱い湯船に浸かると血圧が急激に上がるので、追い焚きなどでお湯の温度を段階的に上げていくのが良いでしょう。最初にぬるめのシャワーを浴びて体を温めてから入る方法もあります」(同前)
夏の暑い時期にはお湯に浸からずにシャワーですませるという人もいるが、「その場合は、熱めのシャワーを浴びた後、すぐに冷たいシャワーを浴びることで同様の効果が得られる」(同前)という。
サウナを積極的に活用するのも手だという。
「サウナに入ると血管が拡張し、自律神経の働きが高まります。その後に水風呂に入ることで、より効率よく“温冷交代入浴”と同じ効果が得られます。ただし、水風呂に長時間入るのは体への負担が大きいので、1〜2分程度で出るようにしましょう」(同前)
「温」と「冷」を意識する入浴術を意識しよう。
自宅でできるED対処法【睡眠編】
ED対策治療専門医でユナイテッドクリニック総院長の細田淳英医師によれば、睡眠とEDも密接な関係があるという。
「睡眠不足になると男性ホルモンであるテストステロンの分泌量が低下します。勃起機能を正常に保つために必須のホルモンで、テストステロンの減少はEDリスクに直結します。性欲の低下や体力の低下も招きます」(細田氏)
十分な睡眠をとれているかのバロメーターが「朝勃ち」だ。
「睡眠には深い眠りのノンレム睡眠と浅い眠りのレム睡眠があり、朝勃ちはレム睡眠の間に起こります。健康な男性なら夜間に何度も勃起を繰り返しており、勃起が収まっていないタイミングで目が覚めることで朝勃ちを自覚する。
しかし、睡眠の質が低下するとテストステロンの分泌が減って勃起機能が衰え、さらにノンレム睡眠とレム睡眠のリズムが乱れることで就寝中の勃起現象が阻害される。睡眠の質が低下する原因は、いびきや夜間頻尿、睡眠時無呼吸症候群などが挙げられます」(同前)
寝酒は避けて豆電も消す。「朝勃ち」を取り戻す快眠法
質の高い睡眠を得るにはどうすればいいのか。細田氏が解説する。
「毎日同じ時間に就寝することが大切です。暑い日が続く時期には夜間もエアコンを使い、快適な室温を保つことを意識しましょう。25〜27℃が目安です。湿度は高すぎても低すぎても安眠を妨げるので、50〜55%をキープしましょう」
寝る前にスマホやパソコンを長時間にわたって見るのはNGだ。
「光の刺激により脳が昼間だと勘違いしてしまう。結果、睡眠ホルモンのメラトニンが減少して寝付きが悪くなります。ベッドでスマホをいじるのはやめましょう。
また、豆電球ほどの明るさでも睡眠の質を落とすことが証明されており、寝室は真っ暗が理想です」(同前)
寝付きを良くしようと「寝酒」をするのも逆効果になる。
「寝酒は眠りを浅くし、夜中に目が覚めやすくなる。飲むのは寝る3時間前までにしてください。
これらを意識すれば徐々に就寝中の勃起現象が蘇り、朝勃ちが確認できるようになるはずです」(同前)
スッキリ眠って、元気に朝勃ちーーそんな生活を目指したい。
※週刊ポスト2024年8月16・23日号
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