82才の料理研究家・村上祥子さん「30代後半で慢性鰐骨骨髄炎に」レンチンレシピ開発の経緯を明かす
料理研究家の村上祥子さんは、82才のいまでも仕事をこなし、ひとり暮らしをしている。「電子レンジを温めることだけに使うのはもったいない!60才を過ぎたら、がんばらずに1人分だけ作れるレンチンレシピがおすすめです」と言う村上さん。実は、30代後半のときに、慢性鰐骨骨髄炎(まんせいがくこつこつずいえん)を発症した過去が。レンチンレシピ開発の経緯を振り返る――。
教えてくれた人
料理研究家 村上祥子(さちこ)さん(82才)
1942年、福岡県生まれ。育児に追われながらも27才で料理教室を開き、レンチン料理の第一人者としてさまざまなメディアでレシピを提案。『シニアひとり分のマグカップごはん』『村上祥子の電子レンジでシニアごはん』(ともに宝島社)など、著書多数。
60才を過ぎたおひとりさまご飯は「レンチン」で
「夫は旅立ち、子供たちは自立。私はいま、おひとりさまですが、少量だろうと、忙しかろうと、毎食バランスのよい食事を心がけています。その食事作りに欠かせないのが電子レンジです」
と言う村上さん。確かにレンチンにはさまざまなメリットがある。少量こそ短時間でおいしく作れ、火を使わないから安全、油や調味料が少量で済む、鍋が不要で洗い物が少なくて済む、栄養分を逃さない、火加減いらずで誰でもおいしくできる、などだ。まさにシニアのおひとりさまの料理にぴったりの調理器具なのだ。
「60才を過ぎたおひとりさまご飯はレンチンレシピで充分だと思いますよ」(村上さん・以下同)
そんな彼女が、レンチンレシピの研究に本腰を入れ始めたのは、43才のとき。
「母校の福岡女子大学で栄養指導実習講座を受け持つことになったのですが、そのとき、糖尿病などの治療食の研究をすることに。家庭で1人分の病人食を、ほかの家族の食事と別で用意するのは容易ではありません。少量でも簡単に調理できないかと考えて目をつけたのが電子レンジでした」
病気の経験がレシピ考案に役立った
村上さん自身、30代後半で、慢性鰐骨骨髄炎(まんせいがくこつこつずいえん)を発症し、4年で10回もの手術を受けた。このときの経験が治療食の開発、ひいては、レンチンレシピの考案に役立ったという。
自らの病気を通して「食べることは生きること」だと学んだという。いまでもレンチンでバランスのいい食事を作り続けている。
「冷凍室には肉や魚をひと口大に切った50g分の食材と、切った野菜100g分も加えた食材を保存袋に入れて冷凍し、常備しています。冷凍パック1個の中身を取り出してマグカップに入れ、水120mlと液みそ小さじ2を加えてレンチンすれば具だくさんみそ汁が完成します。これだけで、バランスのとれた一品になります」
忙しいときは、市販のおでんといった総菜をおかずにするときもあるが、その際も、ほうれん草をレンチンしておでんに加える。
「この一品で、彩りも栄養バランスもよくなります」
これからも、おいしくて簡単に作れるレンチン料理を広めていきたいと言う。
撮影/菅井淳子
※女性セブン2024年4月18日号
https://josei7.com/