80才の料理研究家・村上祥子さん「家庭料理に大切なのはおいしすぎないこと」煮物とムニエルのレシピも紹介
80才を超えてなお料理のプロとして活躍する村上祥子さんに「おいしい家庭料理に大切なこと」を教えてもらった。さらに、村上さん直々に飽きずにラクに作れる「切り干しの煮物」と「すずきのムニエル」を作っていただいたので、毎食の献立作りの役立てて欲しい。
毎日食べる料理は「ケレン味がないということ」
「生きることは、食べることです。『ちゃんと食べてちゃんと生きる』という当たり前のことを、料理を通してずっとお伝えしてきました」
と村上祥子さん。80才の現在も毎日3食を欠かさないという村上さんは、「家庭料理はおいしすぎないことが大切」と笑う。
「お店のような強烈な味では疲れてしまって、毎日食べ続けられませんよね。おいしすぎないというのは、ケレン味がないということ。奇抜じゃないけど毎日食べても飽きないご飯が待っていたら、家に帰りたくなるものでしょう」
飽きのこない料理をラクに作ることが大切
そんな「普通のご飯」を伝えたいと、今回教えてくれたのが『切り干しの煮物』。
「切り干しをはじめとする乾物のおかずは昔から日本の食卓に欠かせないものですが、料理教室の生徒さんたちは『食べたいけど難しそう』と言うんです。でも、電子レンジを使えばラクにおいしく作れます。
皆さん、『おいしいものを作るには時間がかかる』と思っているようですが、そういう固定観念は忘れて上手に手抜きしないと、毎日のご飯はとても作り続けられませんよ(笑い)。
私たち日本人の生活はかなり洋風になりましたが、やはり昔から食べていたものは、現代の私たちの体にも合うんです。乾物のおかずは食物繊維が豊富で体の調子もよくなるし、心も休まります」
ご飯に合う魚の洋風料理を
さらに日本人が昔から食べてきた食材といえば、魚。
「これからも日本の家庭料理はご飯茶碗にお箸のスタイルが続くと思います。とはいえ主菜や副菜は洋風化が進んでいて、魚も洋風の料理が人気。
ですから、ご飯に合う『魚のムニエル』をぜひお伝えしたいです。油を少ししか使わないと魚がベチャッとするので、たっぷり使ってカリッと仕上げるのがおいしく作るコツ。その後にしっかり油を切れば、くどい味にならないので、ご飯にもよく合うんですよ」
村上さんレシピ1:切り干しの煮物
「昔ながらの乾物料理も電子レンジを使えば簡単です」
<材料>
切り干し大根(乾)…10g
水…1/2カップ
にんじん…50g
ちりめんじゃこ…大さじ1
(A)
しょうゆ・みりん…各大さじ1
<作り方>
【1】切り干し大根は鍋に入れ、ひたひたまで水(分量外)を注ぎ火にかける。煮立ってきたら火を止めてざるに上げ、3~4cmのざく切りにする。
【2】にんじんは5cm長さのせん切りにする。
【3】耐熱ボウルに水を入れ、(A)を加えて混ぜ、【1】を浸し、上にちりめんじゃこと【2】をのせる。ふんわりとラップをし、電子レンジで4分加熱する。
【4】取り出して混ぜ、器に盛る。
村上さんレシピ2:すずきのムニエル
「魚の洋風料理もご飯に合う飽きない味に」
<材料>
すずき(三枚おろし)…2切れ(260g)
ローリエ…1枚
強力粉…小さじ2
サラダ油…適量
バター…大さじ2(4つに切る)
レモン(表皮を除いて輪切り)…4枚
パセリのみじん切り…2本分
こしょう…少量
(A)
水…11/4カップ
塩…小さじ1
砂糖…大さじ1
<作り方>
【1】ボウルに(A)を入れて混ぜる。ローリエとすずきを入れて冷蔵庫で1時間置いたら、キッチンペーパーに挟んで水気を取る。
【2】ポリ袋に強力粉を入れて【1】を加え、口を閉じて上下に振って粉をまぶす。
【3】フライパンを熱しサラダ油を多めに入れ、【2】の皮を下にして並べる。キッチンペーパー2枚を重ねてかぶせ、身が反らないようにターナーで押さえながら中火で4分焼く。
【4】皮がしっかりと焼け、火が通ったら裏返し、弱火にしてバターを加える。バターが泡立ったらスプーンで魚にかけながら、4分ほど弱火で焼く。キッチンペーパーを敷いたバットに取り出し油を切る。
【5】【4】のフライパンにレモンを入れて両面を焼いて取り出す。
【6】同じフライパンにパセリを入れて弱火で火を通す。
【7】【6】をスプーンで器に流し、【4】を盛る。【5】をのせ、こしょうを振る。
教えてくれた人
村上祥子さん/料理研究家・管理栄養士
公立大学法人福岡女子大学客員教授。短時間でおいしく調理できる電子レンジ調理の第一人者。『バナナ黒酢』『たまねぎ氷』など数々の健康を助ける常備食も考案し、これまでに出版した単行本は982万部にのぼる。
撮影/是本信高 取材・文/青山貴子
※女性セブン2022年9月29・10月6日号
https://josei7.com/