「背の高い家具」の耐震補強術|100均で買えるグッズを活用して家具と天井のすき間は必ず埋める
石川県警の調べによると、能登半島地震で亡くなった人のうち、倒壊した建物の下敷きになったことなどによる「圧死」が最も多く、全体のおよそ40%を占めた。いつどこで起きるか分からない地震。できうる限りの備えはしたいもの。大きな揺れが起きた時、背の高い家具が倒れたり壊れたりといった大惨事にならないために、専門家も自宅で行っている補強術を教えてもらったのでご紹介する。
教えてくれた人
国崎信江さん/危機管理アドバイザー・危機管理教育研究所代表
女性や生活者の視点から防災、防犯、生活上の事故防止など身近にある危険から身を守る方法を提唱。
鈴木ひろ子さん/防災士・防災アドバイザー
DIYアドバイザーの資格も持ち、「防災DIY」代表として日常生活の中でできる防災対策の普及活動を行う。
背の高い家具は天井とのすき間を作らない
家具と天井の間にすき間がある場合、つい普段使わないものを載せがちだが、重いものや硬いものが頭上に落下すると命にかかわる。
「厚みのある段ボール箱を家具と天井の間にすき間なくはめ込むと倒れにくくなります。強く揺れて箱がつぶれないよう、トイレットペーパーやタオルを入れておくのも〇」(国崎さん)
「家具の上に乗せていいのは軽いものだけ。100円ショップで買える発泡スチロールも活用できます。ただし、すき間が60cm以内にのみ有効です」(鈴木さん)
突っ張り棒は、上下に板をプラスして“面”で押さえる
突っ張り棒は、家具の両端を壁に近い奥側に取りつけるのが正解だが、天井の材質によっては天井板が持ち上がったり、穴があくことも。上下に板を挟み込み面で押さえるようにすれば、より強く固定できる。このとき揺れで板と突っ張り棒がはずれないよう、粘着シートで固定を。
梁(はり)の下の家具は大小の空き箱を組み合わせる
天井に梁(はり)のある場所では、高さに合わせて2種類の箱を作って固定を。
「たんすや本箱の天面の全体にぴったり合わせて段ボール箱をかませること。段ボール箱は、比較的強度のあるペットボトル飲料が入っていたものがおすすめ。サイズを調節して小さくする場合、四隅をカッターで切りますが、段ボールを折り曲げる部分は、強度が激減するため切れ目を入れたりはせず、硬いもので段ボールを押すようにして筋を入れて」(鈴木さん)。
100円ショップでそろう軽い発砲スチロール製品を活用
自宅に箱が無い場合、発砲スチロールを使うというのもひとつの方法です。
「ブロックやレンガタイプ、クーラーボックスなど、100円ショップにはさまざまなサイズの発泡スチロール製品が販売されています。これらを縦横に交互に組んでいき、テープをしっかり巻きつけて箱にすると強度が増します」(鈴木さん)
<ブロック>
キューブロック 110円、ビッグブロック 220円 / ダイソー
<クーラーボックス>
発泡クーラーBOX 330円 / ダイソー
<レンガ>
レンガ 110円 /ダイソー
箱同士を巻きつける時は布テープを選ぶ
「箱に巻きつけるのは紙製のクラフトテープではなく、粘着性が高くて強度があり、重ねて貼れる布テープや布粘着テープを使う。購入前に材質をチェックし、芯材が『紙』ではなく、より丈夫な『合織布』を選んで」(鈴木さん)。
上記で紹介した発砲スチロールを巻きつける場合も布テープで巻くことをおすすめします。
粘着マットとすべり止めも一緒に準備。
「発泡スチロール製品を組み合わせる場合、2個ずつ布テープでしっかり巻いて固定したものを、さらに組んで大きくしていく。布テープは必ずぐるりと全体を巻いて覆うこと。天井や壁、家具の間にすき間シートを敷いたり、四隅に粘着マットをつけ、箱がずれないよう家具と一体化させる」(鈴木さん)。
ぐらつかないよう布テープは重ねて巻くこと。
箱を作ったら家具と天井をつなぐ
撮影/菅井淳子 イラスト/勝山英幸 取材・文/山下和恵
※女性セブン2024年3月14日号
https://josei7.com/
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