「めまいや耳鳴り、疲労感、猛暑の疲れかと思ったら…」本当は怖い症状別・病名逆引きリスト【医師監修】
全国的に厳しい暑さが続く日本。総務省消防庁は2023年に救急車で運ばれた熱中症患者が7万人を超えたと発表した(5月1日〜8月20日の速報値)。そんな中、食欲不振やめまい、倦怠感などといった夏バテの症状に悩んでいる人も増えている。しかし、夏バテだと思っていたら「実は重大な病気が進行して悪化していた」なんてことも…。夏バテに隠れた危険な病気を症状別に紹介する。
教えてくれた人
岡田正彦さん/新潟大学名誉教授、秋津壽男さん/秋津医院院長、菊池大和さん/きくち総合診療クリニック理事長
日常生活に支障をきたす「めまい」はメニエール病の可能性も
千葉県在住の藤井綾香さん(36才・仮名)の夫(44才)が会社でめまいを起こし、医務室に運ばれたのは昨年8月のお盆明けのことだった。夫が医務室で休んでいると「暑い盛りではなく、いまの時期に疲れが出る」と産業医に「夏バテ」だと診断されたという。
その後、サプリメントを摂取したり、バランスのいい食事や運動を心がけたが体調は一向によくならなかった。
「かかりつけ医に相談すると、“微熱が続くのがちょっと心配”と言われ、紹介状を書いてもらいました。その後、大学病院で検査を受けると、“急性骨髄性白血病です”と告げられ…目の前が真っ暗になりました。当初、“夏バテするなんて、おれも年かな”なんて笑っていた主人のショックは計り知れません」(藤井さん)
2019年、急性骨髄性白血病と診断された歌手の岡村孝子さん(61才)も突然めまいに襲われ、翌日、病院で検査したところ病気が発覚した。
女性の場合、めまいの原因がメニエール病であることが多い。
「日常生活に支障をきたす回転性のめまいが繰り返し起こる病気で、八代亜紀さん(72才)など多くの芸能人が罹患しています。軽い症状では、元サッカー女子日本代表の澤穂希さん(44才)が診断された良性発作性頭位めまい症の可能性があります。原因は不明ですが、脱水や熱中症になりやすい環境で発症しやすいといわれています」(秋津医院院長の秋津壽男さん)
新潟大学名誉教授の岡田正彦さんも、メニエール病や突発性難聴に注意を促す。
「メニエール病では耳が聞こえにくくなり、めまいや耳鳴りがします。この病気も突発性難聴も専門的な治療が必要です」(岡田さん)
「めまい」逆引きリスト
インフルエンザ、うっ血性心不全、睡眠時無呼吸症候群、前庭神経炎、結核、肝炎、甲状腺機能低下症、線維筋痛症、鉄欠乏症、糖尿病、突発性難聴、脳卒中、白血病、貧血、慢性腎臓病、慢性閉塞性肺疾患(COPD)、メニエール病、良性発作性頭位めまい症
いつもと違う「頭の痛み」は脳の病気かも
症状例1:頭痛、激しい片頭痛、手足のしびれ
めまいと同様、軽い不調と見過ごされがちな頭痛にも重大な病気の予兆が潜んでいる。
北海道に住む久保京子さん(49才・仮名)は、姉(54才)に起きた2年前の夏のことを思い出す。
「姉は姪の出産の手伝いのために、北海道から群馬県に行っていました。頭痛に悩まされたようですが、“涼しいところから急に猛暑地に来たから、疲れが出たんだろう”と思い、がまんしていた。しかし、3日ほど経つと激しい片頭痛と手足のしびれに襲われ、“これでは赤ちゃんの世話ができない”と言って近くの病院を受診しました。問診中にろれつが回らなくなり、救急車で大病院へ搬送。脳梗塞と診断されました。すぐにカテーテル手術を受けて事なきを得ましたが、あのまま不調をがまんしていたら、どうなっていたことか…」(久保さん)
秋津さんが言う。
「頭痛は疲れや寝不足などで痛みが出ますが、“経験したことのない頭痛”“いつもは起こらない状況で起こる頭痛”、つまりイレギュラーな頭の痛みは脳出血、脳梗塞など脳の病気を疑う必要があります」
「頭痛」逆引きリスト
インフルエンザ、うつ病、うっ血性心不全、がん、肝炎、関節リウマチ、筋緊張性頭痛、結核、甲状腺機能低下症、更年期障害、新型コロナ、睡眠時無呼吸症候群、線維筋痛症、鉄欠乏症、糖尿病、脳腫瘍、脳卒中、パーキンソン病、貧血、片頭痛、慢性腎臓病、慢性閉塞性肺疾患(COPD)