女性の大敵!大腸がんを遠ざける「腸を整える生活習慣」ランキングを10人の専門家が厳選
女性のがん罹患者数で2位、死亡者数で1位の大腸がん。医療の進歩が「がんとともに生きる」ことを当たり前にしつつあるが、罹患リスクを少しでも下げるよう、毎日の食生活と習慣に気をつけたい。大腸がんリスクを下げるための習慣を専門家に徹底取材し、ランキングを作成した。
腸を整える究極の習慣ランキング10位~1位
以下の10人の「専門医」と「食の専門家」におすすめの食品と習慣を挙げてもらい、1位を10点、2位を9点、3位を8点、4位を7点、5位を6点、6位を5点、7位を4点、8位を3点、9位を2点、10位を1点として集計。10点以上を掲載しました。
専門家のみなさん
石黒成治さん(消化器外科医)、石原新菜さん(イシハラクリニック副院長)、磯村優貴恵さん(管理栄養士・料理家)、金子あきこさん(管理栄養士)、谷本哲也さん(ナビタスクリニック川崎・内科医)、中沢るみさん(管理栄養士・野菜ソムリエ)、福田千晶さん(医学博士)、細川モモさん(予防医療・栄養コンサルタント)、松村圭子さん(成城松村クリニック院長)、真野わかさん(養腸家・セラピスト)
《順位(点数)/食品名/ポイント》
10位(11点)座っている時間を短くする
「長時間座り続けることで腸の動きを鈍化させる」(福田さん)、「猫背や反り腰は腸に負担をかけるので、座る・立つ・歩くときは骨盤を立てて背筋を伸ばして」(真野さん)
10位(11点)足台を使って排便する
「足台を使うことでお腹に力を入れやすくなり、直腸と肛門管の角度が直線化されて排便しやすくなる」(石黒さん)、「直腸をまっすぐにするように心がけて」(中沢さん)
9位(15点)腸もみ
「のの字を描くようにマッサージすることで腸の動きを促進し便秘解消などにつながる」(中沢さん)、「ゆっくりお腹全体を押しもむことで、整腸効果が期待できる」(真野さん)
8位(20点)加工肉・赤身肉を食べすぎない
「世界がん研究基金(WCRF)と米国がん研究協会(AICR)による評価報告書で、赤身肉や加工肉の摂取は大腸がんのリスクを上げることが報告されている」(石原さん)
6位(21点)水分をとる
「水分は便通をよくし、腸の働きをスムーズにする」(谷本さん)、「水分が不足すると便がコロコロになる」(中沢さん)、「白湯にすれば腸の冷えを防ぐこともできる」(真野さん)
6位(21点)良質な睡眠
「夜間に合成されるメラトニンが病気の発症から体を守る」(石黒さん)、「腸はリラックス時に活動するため、体を休めて腸が活動しやすい環境をつくることが大切」(磯村さん)
5位(23点)禁酒・節酒
「日本人では1日あたり15g(ビール350ml、ワイン1杯程度)以上のアルコールを摂取すると大腸がんのリスクが上がるという研究報告がある」(松村さん)
3位(25点)肥満防止
「BMI30以上になるとがんリスクが高まり、ウエストが2cm増えると大腸がんリスクが4%増えるとの研究もある」(松村さん)、「健康診断で経年変化をチェックして」(磯村さん)
3位(25点)食物繊維や発酵食品を食事に取り入れる
「悪玉菌が多く、腸内環境が悪い状態は大腸がん発生に関係する」(石原さん)、「発酵食品に含まれる善玉菌を取り入れ、エサとなる食物繊維の摂取で元気に働かせる」(磯村さん)
2位(27点)禁煙
「たばこを吸う人は吸わない人に比べて大腸がん発生率が1.4倍高いという報告がある」(松村さん)、「大腸がん以外にも病気のリスクがアップ。受動喫煙にも注意」(磯村さん)
1位(65点)運動
「腸の動きを促し、便通を改善させる」(谷本さん)、「1日20分程度のウオーキング、その場での足踏み、お腹まわりをひねるストレッチなど手軽にできることでOK」(真野さん)
運動は「食後すぐ」が効果的
数ある習慣のうち、1位になったのは運動だ。肥満防止や代謝の促進、さらには腸の蠕動運動による便秘解消など、多方面から大腸がん防止に働きかける。
「あらゆる病気に共通していることですが、ストレスは体に大きな負担を与えます。運動にはストレス発散効果があり、筋肉を動かすことで分泌されるマイオカインと呼ばれる物質には、がん予防の効果も期待されています」(石原さん)
運動のタイミングについては、石黒さんは「食後すぐ」をおすすめしている。
「食事の一口目を食べてから30分後に運動した人はそうでない人に比べて血糖値の上がり方が穏やかで、動脈硬化のリスクを高める血糖値スパイクが起こりにくいことがわかっています。運動といっても激しいものではなく、20分ほどしっかり歩くだけで充分です」
運動が究極の習慣であることから予想される通り、座りっぱなしでいることは「最悪の習慣」だ。
「長時間座っていることは腸の動きを鈍らせ、座って仕事をする時間が長い人に大腸がんが多いという研究報告もあります」(福田さん)
石黒さんも、座るより立つ、立つより歩くを推奨する。
「座りっぱなしの時間、スマホやパソコンを見る時間が長いと、本来あるべき首のカーブがなくなり、ストレートネックになってしまいます。すると崩れたバランスを整えようと腰のカーブも失われ、その結果、腸への神経指令が伝わりにくくなってしまい便秘の原因となります。腰まわりの体幹を安定させるために、立って歩くトレーニングを行いましょう」
すぐに取り入れられる習慣として水分摂取(6位)がランクイン。
中沢さんは、とりわけ朝イチでの水分摂取を推奨する。
「朝コップ1杯の水を飲むと、その水が入った胃の刺激が結腸を動かすので、お通じに効果的です」
腸への刺激はダイレクトなものも有効だ。「腸は臓器で唯一、外から刺激して動かしやすい」(中沢さん)というように、日常のふとした瞬間に行いたい。
「腸もみは、腸に直接アプローチできる唯一にして最高の方法。心地よさを感じながら、呼吸のリズムでゆっくりとお腹全体を押しながらもむことで、効果が期待できます」(真野さん)
食事や生活が乱れると、腸内環境も悪化して大腸がんの可能性を高めてしまう。裏を返せば、ちょっとした習慣の見直しが、リスクを抑えるということ。
気づいた悪習を改めることが、“女性の大敵”・大腸がんを遠ざける最善にして最短のルートとなる。
※女性セブン2023年8月3日号
https://josei7.com/
●”大腸がん”を防ぐ6つの習慣「毎日スプーン1杯のオリーブオイルを」【医師監修】