「わかめなど海藻類は髪にいい!」はウソ?ヘアケアや美肌に関する健康知識を専門家が解説
「白髪や薄毛には海藻を食べるといい」「ビタミンCで美肌になる」など、これまで常識だと思っていた美容や健康の知識が、実は時代遅れの情報かも? 間違った健康常識は 体と脳を蝕ばみ、老化を早めるかもしれない。アンチエイジングにまつわる正しい健康知識について専門家に教えてもらった。
ヘアケアや美肌にまつわるウソの健康知識を改めよう
38才が人間の本来の寿命であるならば、それに合わせて見た目も若々しく保ちたいもの。加齢やホルモンの減少で薄毛に悩む女性は多いが、あいこ皮フ科クリニック院長の柴亜伊子さんは意味のない対策も多いと話す。
白髪や薄毛対策に「海藻」は意味がない
「白髪や薄毛対策の商品や、髪にいいといわれるわかめやひじきなどの海藻類はあまり意味がありません。そもそも毛量や髪のハリやツヤは頭皮の健康状態に左右される。
高いシャンプーやヘアケア商品を無理して使うより先にまずは皮膚をいたわることから始めてほしい。髪を染めるならヘアカラーをやめて、皮膚に優しいヘアマニキュアやカラートリートメントを使ってください」
頭皮をケアしたら髪の毛そのもののお手入れを。川越TAクリニックアソシエ副院長で、『お医者さんが教える老けない習慣』の著書がある糸井由里恵さんが解説する。
「髪の主な成分はケラチンというたんぱく質。そのため、良質のたんぱく質、ビタミン、ミネラルを含む食材を積極的に摂りましょう。肉や魚、緑黄色野菜、豆類、くるみなどをバランスよく食べてください。また、【66】髪の毛の洗いすぎは頭皮を乾燥させ、負担をかける原因に。頭皮の状態や年齢によって1日1回、もしくは2日に1回の頻度で調整するといいでしょう」
美肌には「ビタミンC」よりも「ヘム鉄」
肌を美しく保つ方法にも、髪と同様、間違った常識が跋扈(ばっこ)している。
「”ビタミンCは肌にいい”と喧伝されサプリメントをはじめとしたさまざまな商品が販売されていますが、本当に美白・しわ・たるみなどの若返りにいちばん必要なのはヘム鉄。隠れ貧血対策にもなります。ヘム鉄が豊富なのはレバーや赤身肉、魚介類など。
ただし、ほうれん草など野菜に含まれる鉄分は『非ヘム鉄』と呼ばれる吸収率が低いもの。食べるならば肉や魚を推奨します。
また、お手入れのときに強くこすったり、痛いくらい力を入れてマッサージすることも避けてほしい」(柴さん)
「コレステロール値は抑えたほうがいい」はウソ?
柴さんによれば、コレステロール値が低すぎるのも肌に悪影響だという。
「コレステロール値が低すぎると乾燥肌やうつの原因になることが明らかになっている。つまりコレステロール値を抑えるために肉を食べないという選択はもっての外です」
年を重ねた女性を悩ませる更年期障害にも誤解がある。成城松村クリニック院長で婦人科医の松村圭子さんが言う。
「多くの人が苦しむホットフラッシュですが、“暑いから”と体を冷やすのは逆効果。ホットフラッシュは上半身だけに熱がこもり、下半身が冷え切って熱が循環していないせいで起きる。正しい対応は下半身を温めることです」
認知症対策に「脳トレ」は?
体のアンチエイジングの後は、頭の中も若返らせたい。いまや5人に1人がかかるとされる認知症対策にスマホやゲーム機で「脳トレ」を実践する人も少なくないが、専門家は真っ向から否定する。内野さんが解説する。
「脳トレは意味がないどころかブルーライトで自律神経障害につながります。クイズや漢字ドリルが認知症予防になるといわれるのは、頭を使うことで達成感やドーパミンが出るから。しかし興味のないこと、好きではないことをやってもドーパミンは出ない。それよりも空間認知能力を鍛える知恵の輪や庭いじり、絵画など手先を使う趣味を極めるのがおすすめです」
内野さんはそもそも、70才を過ぎたらみんな認知症だと説く。
「認知症とは病名ではなく、認知機能が落ちた “状態”を指す言葉です。年をとれば物忘れなど多少の認知機能の低下があって当たり前。レビー小体型認知症やパーキンソン病は治療の必要がありますが、周囲に迷惑をかけておらず生活に困っていないなら、治療する必要はありません」(内野さん)
ウソの健康知識・アンチエイジング【まとめ】
■間違った知識…理由
■海藻類で白髪・薄毛対策…わかめやひじきなどの海藻類を食べても白髪や薄毛対策にはならない。
■高価なシャンプーを使う…髪の毛の健康は頭皮から。シャンプーやヘアケアよりも頭皮のケアに力を入れるべし。
■ひんぱんに髪の毛を洗う…過剰な洗髪は頭皮を乾燥させる原因になる。2日に1回や1日1回で充分。
■ビタミンCで美肌になる…肌のアンチエイジングに必要なのはヘム鉄。レバーや赤身肉、魚介類などから摂取したい。
■コレステロール値を下げる…低すぎるコレステロール値は乾燥肌やうつを招く。
■ホットフラッシュ対策で体を冷やす…ホットフラッシュは上半身だけに熱がこもり、下半身が冷え切って熱が循環していないせいで起きる。正しい対応は下半身を温めること。
■スマホやゲーム機の脳トレで認知症対策…意味がないどころかブルーライトで自律神経障害に。漢字ドリルも興味がなければドーパミンが出ない。趣味など心が動くことに時間を割くべし。
■認知症を治療する…認知症はそもそも、病気ではなく認知機能が落ちた"状態"を指す。生活に困っていないならば治療の必要はない。
※女性セブン2023年1月5・12日号
https://josei7.com/
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