梅沢富美男さんの妻・池田明子さん(65才)「80回浮気されても良いところに目を向ければ信頼できる」
“日本一の浮気夫”の異名を誇る(?)俳優・梅沢富美男さん(72才)。夫の浮気がバレてもサラリと受け流してきた妻の池田明子さん(65才)は「それでも結婚して本当によかった!」と結婚生活を振り返る。家事や育児をこなしながら、自身のキャリアも積んできた、その秘訣とは?
仕事仲間として信頼を築いて結婚
明子さんは20代半ばのとき、親友に誘われ、大衆演劇の梅沢劇団の舞台を見に行った。そこで女形の看板役者としてひときわ人気を集めていたのが、後に夫となる梅沢富美男だった。
「当時の役者は、観客が劇場を出るときに見送りをしていたんです。そのときちょっとした世間話ができ、私は父が経営する店のことを梅沢に話したのです。すると彼は、“今度行きます”と答えてくれたのです。もちろん社交辞令だと思っていました」(明子さん・以下同)
当時の梅沢は、小椋佳さんの作詞・作曲による『夢芝居』(1982年)が大ヒットし、テレビにも多数出演。全国的な知名度を誇る俳優だった。
「ところが、それから数日後、本当に店に来てくれたんです。その後も何度か縁あって話をするうちに、梅沢は“税金を払うのが大変だ”とこぼすように。お金が入ると気前よく使ってしまい、翌年の納税分を取っておけないとのことでした」
明子さんは父親が経営する建設会社の経理を担当しており、帳簿には明るい。知人の税理士の発案で、梅沢は個人事務所を設立。明子さんが帳簿管理をはじめとした仕事を手伝うようになる。
「それから数年が経ち、梅沢が39才、私が33才のときに、結婚してほしいとプロポーズされたのです」
時間をかけて信頼関係と愛情を育み、夫婦になったのだ。しかし結婚後、梅沢の浮気が次々と明らかになる。
浮気の悪癖より家族を尊重する姿勢に感謝
2017年放送のバラエティー番組『ぴったんこカン・カン』(TBS系)で語ったエピソードによると、梅沢の浮気回数は80回。それもすべて明子さんにバレていたという。
「浮気を知って困ったことはありましたが、“許せない”という気持ちにはならないんですよね。それは、主人が憎めない性格だからというのもあると思います。浮気が明白なのに、“絶対にやっていない”と言い張ったり、必死でごまかした後、フッと逃げ去る姿に愛嬌があって、思わず笑ってしまうんです(笑い)」
隠そうとするのは、本人も悪いと思っているから。そこを執拗に追い詰めるよりも、いいところに目を向けるべきだと明子さんは考えている。
「主人は私が大切にしていることを尊重し、いつも自由にさせてくれます。広い心で、私や娘たちを受け止めてくれるし、人を楽しませるのも上手。そんな人だから、何があっても、最終的には信頼できるんです。夫婦仲がうまくいっていない人の話を聞くと、お互いに束縛したり、依存したり、相手の考えを尊重しなかったりして、一緒にいることが苦しくなるケースがほとんどだと思うんですよね」
あとは、余計なことを考える時間を作らないことも大切だという。
「私の場合、妻となり、母として子育てに追われ始めた頃に父が倒れました。その父に代わって会社を経営しながら、現在の仕事につながるフィトセラピー(植物療法)の勉強に打ち込んでいたので、主人が浮気をしていようと、自分のことに忙しくて、それどころではありませんでした」
しかし明子さんの父親が倒れたときは、仕事が忙しくても梅沢が料理を担当するなど、妻のサポートを欠かさなかったという。お互い、精神的にも経済的にも自立し、助け合っているのだ。
「今年の1月、義兄の武生(たけお)さん(享年82)が亡くなり、その葬儀のとき、主人は公演のさなかで身動きが取れませんでした。そこで私が会場などを手配したのです。そのときに、主人が“ありがとう。明子と結婚してよかったよ”と言ってくれたんです。主人はことあるごとに、感謝を言葉にしてくれます。これも本当にありがたいこと。そう言われると、私も結婚してよかったとしみじみ思うのです」
夫婦や家族には、わざわざ感謝の言葉をかけない、という人も多いが、逆である。感謝の言葉は言わないと伝わらないし、言われれば相手にも感謝の気持ちが生まれる。
「あとは気遣いはもちろん大切ですよね。たとえば、自分は納豆が苦手でも、相手が好きなら冷蔵庫に入れておくとか、その程度で充分だと思いますが」
夫婦は鏡。お互いを長く映し続けるためには、まずは自立すること。そして、無理をせず素直に、自由でいることが大切なのかもしれない。
教えてくれた人
池田明子さん/ソフィアフィトセラピーカレッジ代表、西九州大学客員教授。臨床検査技師として病院に勤務。子育て中にフィトセラピー(植物療法)を修める。夫婦の歩みをつづったエッセイ『熟年離婚、したくなければズボラ婚。』(双葉社)、『DVDつき 心と体を癒す手のひらマッサージ』(主婦の友社)ほか著書多数。
取材・文/前川亜紀
※女性セブン2022年12月1日号
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