「冬のトイレ」で怖いのはヒートショックだけじゃない 要注意な人が命を守る7箇条【まとめ】
「冬トイレ」のリスクが増す原因は「温度差によるヒートショック」が多いとされているが、原因はそれだけではない。専門家曰く、いくつかのタイプがあるというのだ。「冬トイレ」が危険になるのはどんなタイプなのか。対策方法も含め、専門家に詳しい話を伺った。
「冬トイレ」持病がある人は危険が多い
まず注意すべきは、持病がある人。
「高血圧や糖尿病などの生活習慣病がある人ほど、ヒートショックになりやすい。コレステロール値が高めで血液がドロドロしている人は、心筋梗塞がいつ起きてもおかしくありません。不整脈など、心臓にトラブルを抱えている人も注意してほしい。一方でヒートショックは高齢者に多いとされますが、年齢に関係なく生じるケースもあります」(ナビタスクリニック内科医・山本佳奈さん)
新潟大学名誉教授・岡田正彦さんは「のんでいる薬」に注目する。
「中高年で高血圧治療薬をのんでいると、薬が効きすぎて低血圧になっているケースがあります。そうした人は血圧変動による転倒リスクが高まります」(岡田さん)
頻尿も注意が必要
夜中のトイレも朝の状況と似ているので、頻尿の人は警戒する必要がある。東京都健康長寿医療センターの堀田晴美さんが説明する。
「夜間頻尿は加齢とともに生じて、60代の8割が夜中に1度は尿意で目を覚ますといわれます。高齢者ほど、冬の夜中にトイレに行くリスクを知っておいてほしい」
対策の中心となるのは「寒さ対策」。
「まずはトイレで血圧が上下しやすいことを知り、朝や夜中にトイレに行く際は上着を1枚羽織るなど、なるべく暖かい格好をすることです。一気に排尿したりいきんだりすることや、急いでしゃがんだり立ったりすることを控えて、トイレではまず深呼吸してリラックス。就寝前にトイレに行く習慣も身につけてほしいですね。便座が冷たい場合はカバーをかけるなどの対応も必須です」(山本さん)
可能ならば住まいのリフォームを
広島工業大学環境学部准教授の宋城基さんは「家屋」に注目する。
「最近の高気密・高断熱の家屋ではヒートショックが起きにくく、断熱性が低い古い家屋ほど要注意です。冬場は輻射暖房器具や電気ヒーターを置いて、トイレを暖かくすることを心がけてほしい。窓があると冷えやすいので、窓枠をエアパッキンで覆ったりカーテンをするだけで寒さを防げます」
出来ることならリフォームの検討もよいと話す。
「断熱性が高い家屋の方が健康によいとの研究があります。確かにリフォームにかかる費用を考えると躊躇する気持ちもわかります。しかし、これから20~30年暮らす家であれば、リフォームした方が、結果的に病気やけがを遠ざけることにつながり、ライフサイクルコストは低くなります」
トイレは日常生活に欠かせない場所だけに、妥協せずに対策したい。
「冬トイレ」から命を守る7箇条【まとめ】
【1】トイレに行く際は上着を1枚羽織る
【2】一気に排尿したりいきまない
【3】急いでしゃがんだり立たない
【4】就寝前にトイレに行っておく
【5】便座にはカバーをかける
【6】電気ヒーターなどで暖かくする
【7】窓にはエアパッキンを貼ったり、カーテンをする
教えてくれた人
山本佳奈さん/ナビタスクリニック・内科医、岡田正彦さん/新潟大学名誉教授、堀田晴美さん/健康長寿医療センター、宋城基さん/広島工業大学環境学部准教授
※女性セブン2022年1月6・13日号
https://josei7.com/