注目のロボットによる介護 食事介助や夜間の異常発見も
サポートする側もされる側も精神的・肉体的負担が大きい介護。介護職員の不足も取り沙汰されるなか、ロボットによる介護が注目を集めている。日本が誇る最先端技術を使えば、介護はこんなに楽になるんです。
内閣府の「介護ロボットに関する特別世論調査」(2013 年、20才以上の男女3000人対象)によると、介護する際にロボットを利用したいという人は59.8%、介護されるときに利用してほしい人は65.1%と肯定的な意見が多い。
かながわ福祉サービス振興会介護ロボット推進課・関口史郎さんはこう話す。
「介護するかた、されるかた、両者の負担を軽減してくれるロボットが続々と開発されています。これからの介護現場は、人とロボットが共存して環境を整えるのが理想的です」(関口さん)
介護ロボットの最前線に迫る。
2013 年に販売を開始した自動排泄処理ロボット『マインレット爽』(エヌウィック)。
「寝たきりの人向けで、排泄物カップを内蔵した専用カバーを紙おむつの要領で装着すると、センサーが尿、大便を感知し、排泄物をタンクへ吸引します。しかも温水シャワーで陰部を洗浄・除湿してくれるので、おむつのように汚れたり蒸れたりして不快な思いをせずにすみます」(営業部・新田成彦さん)
介護保険が適用され、本体の月額レンタル料は5000円程度(タンクからカップまでの部分は1万円で買い取り)。介護施設と在宅介護の両方で利用者は増加している。
食事や歩行補助のロボットも
現在開発中の『MARちゃん』(医療福祉工学研究所)は、「食べる」「飲む」のボタンを押すと、あらかじめセットした食べ物や飲み物を口元まで運んでくれる。
「ボタンを押すと、レーンの上に置いた食べ物がスプーンで押し出される仕組みです。みそ汁などの飲み物の場合は、アームにお椀をセットすることで、口元まで運んでくれます。ご飯や煮豆など多様な食材にも対応し、柔らかく崩れやすい豆腐なども口元まで落とさず運ぶことができるよう、現在開発を進めています」(コア九州カンパニーエンベデッドソリューション部・田元義之さん)
人は歩行しようとするとき、脳が神経を通して、微弱な電気信号を筋肉に送る。その電気信号を皮膚につけたセンサーがキャッチして装着者の思った通りに脚の動きをアシストするのがサイボーグ型ロボット『HAL(R)』(サイバーダイン、2013 年レンタル販売開始)だ。
「自分の思い通りに歩行することで、脚から脳に歩けたという信号が送られます。脳が“正しい動き”を学習することを促し、高齢者や障害者の歩行訓練に大きな役割を担います。片側半身マヒだったかたが、『HAL』のトレーニングで約2か月後に元気に歩いて退院された例もあります」(広報担当者)
個人向けのレンタルは行っておらず、福祉施設や病院などで利用できる。
2016 年販売開始予定の『みまもりシステム』(パナソニック)は、ベッドの下に設置した電波センサーで寝ている間の呼吸や体の動作を検知し、体調急変や離床行動を事前に察知できる。
「徘徊の前ぶれや体調異常などを早急に知ることができ、早期に処置できる『先取り介護』が可能となります」(広報担当・奥瀬史郎さん)
※女性セブン2015年2月12日号