消化器系ケアに“食養生”「1日1度100回噛む」「冷たいものの後は葛湯」など
「暑いからとさっぱりしたものが食べたいと、ただでさえ疲弊している胃に、そうめんやお茶漬けなどを流し込む”噛まない食べ方”をしがち。ですが、これでは唾液で分解されていない食物を胃腸ですべて消化することになり、消化器系に大きな負担がかかります」と語るのは、顔や体の見た目から健康状態を診る望診カウンセラーの渡邉由さん。
1日1度、1口目を100回噛む
食べ物をよく噛んで食べると、唾液の分泌量が増え、胃腸では消化液が出て、食物の消化を始めるため、「1日1度でよいので、1口目を100回くらい噛んでほしい」と話す。
「1口目を100回噛むと、体は消化モードに切り替わります。途中で食べ物がなくなってもいいので、とにかく口を100回動かすことで、胃腸の調子が格段に上がります。特に胃腸の弱い人は実感しやすいでしょう」(渡邉さん・以下同)
さらに胃腸の働きをよくするために、食べる前に唾液の分泌を促進する顔のストレッチをするのもオススメだ。
【1】両手の親指であごの下を軽く5回押す(舌下腺の刺激)。
【2】そのままあごの内側の骨に沿って5回に分けて、耳の下まで押していく(顎下腺の刺激)。
「これは、食事前だけでなく、1日数回行うとより効果的ですよ」
冷たいものを摂ったら、葛湯で胃腸を保温
続いて、これからの時期知っておきたいのは、冷たいものを摂取した後のケアだ。内臓は、深部体温(胃腸などの臓器の温度)が37℃くらいを保たないと、100%の力を発揮できないといわれている。とはいえ、夏場に冷たいものを一切食べないのは難しいが、渡邉さんは、食べた後に補えばいいと言う。
「アイスクリームや冷たい飲み物などを摂った後、そのままにせず、その日のうちに保温力のある食べ物で胃腸の手助けをしてあげましょう。オススメは葛湯です。体を温める陽性食品であり、保温力があるので冷えた内臓を温めるのに最適です。また、料理にプラスするとより手軽。お吸い物やみそ汁なら、カップ2に対して、大さじ1の本葛粉を大さじ1の水で溶き、仕上げにかければOKです」
葛粉は「本葛100%」のものをチョイスして。さらに、渡邉さんは砂糖の摂取量に注意するように促す。
「体には、砂糖1gあたりにおよそ3~4gの水をため込む性質があります。つまり、砂糖を多く摂ると、排出すべき水まで体内に閉じ込めてしまい、冷えやむくみの原因に。また、余分な水分の蒸発がうまくいかず、湿疹や炎症も起こしやすくなります」
お菓子の後はカルシウムを補給
このように砂糖は消化器系の負担になるが、冷たいもの同様、断ち切るのは難しい。だからこそ、食後のフォローを心がけよう。
「砂糖が体から排出される時、カルシウムも同時に出てしまいます。カルシウム不足は骨に影響するだけではなく、食欲不振や消化不良、高血圧症や糖尿病にも繋がりかねません。お菓子を食べたらカルシウムが豊富な食材で補いましょう。例えば、小松菜のおひたしには桜えびやのり、ごまをかけるといいですね」
“体に悪いから”と、自分に厳しくしすぎると続かないうえ、反動が出る場合もある。食べたら補えばいい、という気楽さも大切だ。
胃腸をストレッチで活性化
続いて、胃腸の活性化につながるストレッチをご紹介しよう。
【2】腕を頭の上までまっすぐ伸ばし、手のひらは天井に向ける。お腹はやや反らす。この状態で深呼吸を3回繰り返す。
※ひざが浮いてしまう場合は、正座の状態から足を崩してもOK。また、お腹を反る時に腰が痛い場合は、無理せずできる範囲で行おう。
消化器系の経絡を伸ばすこのポーズは、胃腸の動きを促し、健康につながるのでオススメだ。
イラスト/高橋カオリ
※女性セブン2018年6月7日号
【関連記事】
●痛みやコリ、身体の不調に!話題の”イラストを見るだけ”改善法
●ガムを噛むと認知症は改善できる!?その研究と驚きの効果とは