病院清掃のプロに習う健康掃除術【アトピー】【喘息】家庭内予防に効果的な場所別対策法
細菌やカビ、ウイルスなどが原因となって引き起こされる様々な病気を防ぐには、それらの病原が多く存在している部分を重点的に掃除することが効果的だ。日本ヘルスケアクリーニング協会代表理事の松本忠男さんは、こう話す。
「アトピー性皮膚炎は、アレルギー体質の人が、アレルギーの原因となる物質(アレルゲン)を皮膚などから取り込むことで、アレルギー反応が起こり発症します。特に赤ちゃんの肌はデリケートなので、アレルゲンが侵入しやすいのです」(松本さん、以下「」内同)
ダニを減らす掃除が最大の予防になる!
予防のための掃除で大切なのは、室内のアレルゲンを減らすこと。アレルゲンにはダニやフケ、ホコリ、カビなどがあるが、特にダニを減らすことが重要だと松本さんは言う。
「ダニが発生しやすい場所を中心に、ダニのエサとなる食べこぼし、人間や動物のフケやあか、カビ、ホコリを掃除で除去します。掃除の効果を最大に発揮するために神経質になりすぎず、できる範囲で気長に掃除を続けましょう。また、ダニは湿度60%以上で繁殖するといわれています。夏場は除湿をしっかり行い、冬場は加湿のしすぎにも注意しましょう」
ダニが繁殖しやすい場所は、クッション、座布団、布団、ぬいぐるみ、カーペット、畳、ソファ、本、クローゼット、押し入れなど。具体的に、それぞれの対策を見ていこう。
【対策1】カーペットの掃除機はゆっくりかける
カーペット掃除は、掃除機をパワーブラシモードにして、1mを5〜6秒かけてゆっくりと動かし、奥に潜んだゴミやホコリをしっかり回収すると効果的。
【対策2】畳の目に沿ってアルコール拭き
ダニが目地に入り込みやすい畳は、畳の目に沿ってマイクロファイバークロスで乾拭きをした後、アルコールを染み込ませた同クロスで仕上げ拭きを。
【対策3】布団は天日干し後、掃除機でダニを吸う
布団はこまめに天日干しするといい。
「布団を取り込む前に屋外で、ハンディータイプの掃除機をパワーブラシモードにして、ダニやダニの死骸を吸い出しましょう」
【対策4】布製のソファはスチームでダニを死滅
ソファも病原の温床となりやすい。
「布製ソファは、アイロンをソファにつけずにスチームのみを当て、ダニを死滅させた後、固く絞ったマイクロファイバークロスでスタンプを押すように静かに水拭きし、しっかり乾燥させます」
革製ソファは、傷がつきやすいので柔らかい布で、水拭きをすればOK。
【対策5】ぬいぐるみはこまめに洗濯する
ぬいぐるみや寝具のカバー、クッションカバーなどの洗えるものは、こまめに洗濯をして清潔を保ち、ダニの繁殖を予防すべきだ。
発作原因となるダニやホコリを取り除く!
喘息発作を起こす刺激物質は、アレルゲン因子(ダニやその死骸、ホコリ、動物の毛やフケ、花粉、カビなど)と、風邪のウイルスやたばこの煙など気道を刺激する因子があるが、発作原因の9割は家の中のダニやホコリだ。
「喘息の人は、ホコリのたまりやすいカーペットを敷いたり、畳に布団を敷いて就寝するスタイルは避けるのがベターです。ダニやホコリの除去には、フローリングなどホコリが多い場所を重点的に掃除しましょう」
【対策6】床のホコリはドライシートで拭く
廊下やフローリングは、空気中のホコリが落ち切った朝に行うのがベスト。ドライシートのフローリングワイパーなどで静かに拭き取るのが効率的だ。
【対策7】掃除の後はしっかり換気する
お風呂以外の部屋の掃除は、窓を閉め切って行うのが基本。
「換気は掃除後、舞い上がったホコリが落ち着いてから行います。窓の両側を10cm程度開けると効率的に空気が循環します」。
その他、以下のような対策も有効。
●ダニ、ホコリ、カビの温床になりやすいカーペットはできるだけ撤去する。
●カーペットは【対策1】のように掃除する。
●布団は【対策3】と同様に。
●ホコリをかぶった古本はダニが繁殖するので処分する。
松本忠夫(まつもと・ただお)さん
ダスキンヘルスケアや亀田総合病院グループなどで清掃管理者などを経験し、独立。亀田総合病院をはじめ、多くの医療施設を担当する清掃スタッフの指導などを行う。松本さんの経験をまとめた著書『健康になりたければ家の掃除を変えなさい』(扶桑社)が話題に。テレビ出演多数。
※女性セブン2018年5月31日号
【関連記事】
●【肺炎】【ノロウイルス】感染リスクを下げる!病院清掃に習う掃除術