高層階は地震の揺れでスプリンクラーが故障する可能性も!火災が発生したらどうすべきか
鉄筋コンクリート造や鉄骨造のマンションは、基本的に耐火性が高いといわれている。特に、高さ31m(10階相当の高さ)を超える建物は、消防法により“高層建築物”と定義され、11階以上の階にスプリンクラー設備が必ず設置されており、住人も、カーテンやじゅうたんなどは燃えにくい防炎物品を使うよう義務付けられている。
阪神・淡路大震災では高層階でスプリンクラーの8割が使えなかった
「とはいえ、地震時はこれらの防火装置が働かず、大規模火災に発展する危険性があります」
と語るのは、兵庫県立大学防災教育研究センター長の室崎益輝さんだ。
実際、阪神・淡路大震災のときは、高層階のスプリンクラーの約8割が使えなかった。東日本大震災の際も、岩手・宮城・福島3県の大規模建物の約3割でスプリンクラーが破損、誤作動があったとの報告があがっている。
「高層ビルの上階ほど、地震時の揺れが大きいので故障しやすいんです。スプリンクラーの耐震性に関して、ガイドラインは策定されましたが、法律による規制はまだありません」(室崎さん・以下同)
では、もし自分の住む階より下の階で火災が発生したら、どうすればいいのか?
階下に避難することが基本
「そもそもマンション火災では、どの階で火災が発生したとしても、階下への避難が基本となります」
防火扉が稼働する場合、避難する順番はーー
避難の際は、エレベーターを使用せず、原則非常階段を使うこと。その際、一斉に避難を開始すると、階段が混雑して事故の危険性が高まるので、
火災階→その直上階→最上階→最上階の下の階→さらにその下の階
といったように、順番に避難をするのが望ましい。
「ただし、これは防火扉が稼働し、煙が非常階段付近にたちこめない場合です」
スプリンクラー、防火扉とも作動しない場合は?
火災が広がる前に、住人らが協力して消火活動を行うことが大切だ。そのためにも、定期的に消防訓練を実施し、避難器具や消防設備の点検など、マンション全体の防災力を高める必要がある。
教えてくれた人
室崎益輝さん/兵庫県立大学防災教育研究センター長
取材・文/鳥居優美 イラスト/大窪史乃
※女性セブン2020年12月17日号
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