食物繊維の多い野菜摂取を!不足で腸の粘膜傷つく危険性指摘
栄養価が高く、鮮度や味も良く、お手頃価格で手に入るから積極的に食べたい旬の野菜。なかでも食物繊維な野菜を選べば腸や脳のアンチエイジング効果がアップするという。食物繊維豊富な春野菜にはキャベツ、カリフラワー、ごぼう、ブロッコリー、パセリなどがある。
そもそも「食物繊維」の役割とは何だろう。知っているようで、知らなかった食物繊維のあれこれを専門家に教えてもらった。
食物繊維がないと腸内細菌が腸の壁を傷つけることも!
腸内細菌のエサとなる食物繊維が不足すると、細菌がエサを求めて腸の粘液を食べてしまうため粘液が薄くなり、腸の粘膜まで傷つけてしまうことがあるという。赤坂ファミリークリニック院長の伊藤明子さんはこう語る。
「これは、米国スタンフォード大学の研究で明らかになっています。粘膜が傷つくと、病原体や重金属、アレルゲンなど体に有害なものが体内に侵入。さまざまな病気を引き起こしやすくなるので、食物繊維をしっかり摂ることが必要です」
腸内環境がよくなると脳の機能もアップする「腸脳相関」
以前は腸が全身の健康にどれくらい関与しているかあまりわかっていなかったが、「最近の研究では、全身の免疫機能の5~6割を担う腸と脳が密接に太い軸で通じているといわれています。それを『腸脳相関』と呼びます」と伊藤さん。
「食物繊維が不足して腸内環境が悪くなるだけでなく、腸内の悪玉菌が毒素を分泌し、脳の判断力や集中力を低下させることとも関係しています。食物繊維をたっぷり摂り腸内環境を整えることは脳のアンチエイジングにも必須です」(伊藤さん、以下「」内同)
食物繊維が不足すると日和見菌が悪玉菌の味方に!?
腸内細菌には、健康維持に欠かせない善玉菌と、有害な物質を産生する悪玉菌、どちらにも属さず状況に応じて善玉になったり、悪玉になったりする日和見菌の3つがある。
「一般的に、健康のバランスは、善玉菌2対悪玉菌1対日和見菌7の割合です。ところが、善玉菌のエサである食物繊維が不足すると、悪玉菌の力が強くなり、さらには日和見菌が悪玉菌に味方するため、腸内環境はどんどん悪化してしまいます」
便秘改善には食物繊維、水分、運動の3つが大切!
「食物繊維を摂っているのに便秘が改善しない」という人は、水分と運動が足りない可能性も。水分が足りないと便が硬くなる。1日1.5リットル程度の水分をこまめに摂ることも大切だ。
また、運動不足で腹筋力が低下すると便を押し出す力が弱くなり便秘になってしまう。
「運動が苦手な人は、自然な呼吸をしながら、お尻の穴をキュッと締めて3秒キープし、ゆっくり緩める運動がおすすめ。気づいた時にこまめに行えば、骨盤の底にある骨盤底筋が鍛えられ、排便しやすくなりますよ」
※女性セブン2018年4月26日号
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