老眼鏡の作りどきはいつ? 老眼の初期症状は? 老眼対策は35歳から…
遠くは見えるけれど、手元のものが見えづらい。それ、老眼かも? 老眼の主な症状は、以前よりピント合わせがスムーズにいかなくなること。いまや35才から老眼対策が必要といわれる時代。「遠くが見えるから大丈夫」という幻想や、「老眼鏡をかけるとどんどん目が悪くなる」という都市伝説はいますぐ捨てて、自分の目を守るために正しい老眼鏡作りについて学ぼう。
老眼の初期症状とは? ピントが合わない…
「昼間は楽に見えていたものが夕方見えづらくなったり、文字を少しでも離して見るようであれば、老眼の初期症状。早く老眼鏡を作るべきです」
そう話すのは、『梶田眼科』院長の梶田雅義さん。
「手元のものが見えづらくなるのが老眼といわれますが、正確には、ピント合わせがうまくいかなくなること。近くから遠くを見たときに景色がぼんやり見えるのも老眼です」(梶田さん・以下同)
ピントが合うのは、目の中の水晶体が被写体との距離に合わせて厚さをその都度変えているからだが、加齢とともに水晶体は硬くなり、調整力が衰える。これが老眼だ。放置すると、肩こりや頭痛を発症し、最悪うつ病に至るケースもある。
「眼鏡を作ったらマッサージに行く必要がなくなったという患者さんも多いです」
老眼対策は35才からがベスト
また、現代の生活環境にも老眼鏡を作るべき理由がある。
「昔なら、遠くが見えて新聞が読めれば生活に支障はありませんでしたが、いまはテレビやパソコン画面、タブレットにスマホと、見る距離が多様化しています。“スマホ老眼”という言葉がありますが、10代ですでに老眼の症状が出るほどです。
ピント調整力が急激に衰える45才くらいが老眼鏡の作りどきといわれますが、いまの時代、症状がなくても35才から老眼対策を始めるべきだと私は思います」
どんな老眼鏡を作ればいいのか?
「手元だけが見える単焦点(※1)の老眼鏡、いわゆる“リーディンググラス”では不充分です。いろいろな距離に対応した累進(るいしん)レンズ(※2)がいいでしょう」
運転をするなら遠近、デスクワークなら中近、趣味の手芸を極めるなら近々と、各人のライフスタイルによって合うレンズが異なるが、梶田さんが“ファースト老眼鏡”としてすすめるのが、1本で運転からパソコン作業、読書までをカバーする遠近両用だ。
「特に遠視の人は、近距離を見る際のピント合わせに負担がかかる“疲れやすい目”。遠近両用で負担が和らぎます」
いまの累進レンズは性能が上がり、遠近の切り替えもスムーズだが、それだけに値も張る。
「両目で3万~5万円台と、単焦点に比べて高額です。でも目は老化する一方で、改善はしません。これからの人生を快適に過ごすためにも、一度作ってみてください」
ハズキルーペはどうなの?
話題のハズキルーペを老眼鏡として使っている人も多いようだが、梶田さんは
「辞書などの小さい文字を一時的に見るための『拡大鏡』なので、老眼鏡の代わりにはなりません。本来は老眼鏡の上からかけて、よりクリアに見るような使い方が正しいでしょう」と話す。
※1:単焦点レンズ/どこか1点に焦点を合わせたレンズ。たとえば遠くの1点、近くの1点だけが見えやすくなる。
※2:累進レンズ/1つのレンズで複数の距離が見えるように設計されたレンズのこと。
→老眼鏡、話題の「ハズキルーペ」など目の老化対策商品の選び方
老眼鏡のレンズの種類と選び方
1.近々レンズ
手元から約1m先までが見やすいレンズ。本や新聞を読む、スマホやタブレットを見る、手芸など手元での細かい作業向きだが、歩行には不向き。補助用眼鏡におすすめ。
2.中近レンズ
手元から3~5m先が見やすいレンズ。家事全般、パソコン作業を含むデスクワークやテレビを見るなど、日常生活に使用。階段の上り下りにやや不便なこともある。
3.遠近両用レンズ
上部に遠くが、その下に中間が、下部に近くが見える機能を備えており、遠くから手元までをカバー。運転やスポーツ観戦、旅行などに最適。中間距離が見づらいことも。
老眼鏡を作るには認定眼鏡士がいる眼科を選ぶ
老眼鏡を作る場合、眼科に行くのが最適なのだろうか。
「的確な検査ができますし、白内障などがあれば併せて治療できます。ただ、専門外の医院もありますので、通院前に診療科目を確認した方がいいですね。眼鏡店は検査から購入までが短時間で済み便利ですが、遠近の簡単な視力検査しかできない店もあります。乱視を見落とすと面倒ですので、幅広い検査装置を備えたところや、認定眼鏡士(がんきようし)(※3)がいる店を選びましょう」
眼鏡をかけ続けても視力が悪くなることはない。老眼鏡デビューは早いほどよさそうだ。
※3:認定眼鏡士/眼鏡のスペシャリストに対して日本眼鏡技術者協会が認定する資格。欧米にある「オプトメトリスト」という国家資格(日本にはない)に近い存在である。
教えてくれた人
梶田雅義さん/梶田眼科・院長
写真/安達紗希子
※女性セブン2020年10月22日号
https://josei7.com/
●老眼鏡は早めに使い始めるのが◎目の不調、老化を予防する老眼鏡の選び方|最低2本持ち、シーン別に使い分けを