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介護脱毛は本当に必要?介護士・看護師の本音|痛い?料金は?【体験ルポ】

 将来介護されるときに備えてアンダーヘアを脱毛する“介護脱毛”を経験した40歳以上の人が急増中。そこで今注目の介護脱毛とはどんなものか、医師や看護師、介護士に取材。本当に必要?毛はどこまで残すべき? 痛みや料金から、実際の介護脱毛体験まで詳細レポート。

介護脱毛とは?

 介護脱毛とは、将来、介護されるときに備えてアンダーヘアを脱毛することで、VIO脱毛のことを指す。

市場が右肩上がりに拡大し10年で50倍に!

 いま、介護脱毛する人がじわじわと増えている。若年層が中心だった市場がシニア層にも拡大し、40歳以上でアンダーヘア脱毛をした人が、過去10年で約50倍に増えているという驚きのデータも※。

 40歳以降の脱毛経験者が増えていることから、2017年ごろに医療脱毛専門院のリゼクリニックでは介護を主眼にいれた脱毛を「介護脱毛」と命名。以降、飛躍的に患者数が増えているという。

 同クリニック広報・下谷弥生さんによると、

「コロナ禍においてもアンダーヘア脱毛は着実に伸び、前年比は約2倍になると推測されます」

 介護脱毛が増えてきた背景には、「自分が介護を受けるときに下の世話で迷惑をかけないように…」と将来介護を受けるときに、介護者の負担を減らしたいという想いがあるという。

 実際の介護現場で働くプロたちは、介護脱毛についてどう考えているのだろうか…意見を聞いてみた。

介護脱毛は必要? 看護師や介護士の本音とは

 介護士や看護師など介護をする人は、アンダーヘアについてどう感じているのだろうか? 実際の体験談を交え、介護脱毛についてのリアルな声を紹介する。

「毛に絡まる便に苦戦することも…」病院勤務・介護士40代

「患者さんのお世話をする中で、アンダーヘアで困るのは、お通じが軟らかいときですね。ゆるい便が毛に絡まってしまって洗うのが大変なときがあるんです」

 こう話すのは、都内病院で勤務する介護士のYさん(40代)だ。多くの入院患者さんに排せつケアを行なうYさんだが、ある高齢の患者さんのケアをしていたとき、

「尿の管を止めていたテープが下の毛にベったりくっついてしまって、外すときに毛が絡まってしまって困ったことも。患者さんのほうが恥ずかしそうでした。毛が邪魔だとまでは思いませんが、薄いほうが排せつケアはしやすいと感じています。とくにお通じに関しては、毛がふさふさで濃いとちょっと大変…」

「入浴介助では毛は気にならない」介護施設勤務・看護師40代

「高齢者の患者さんのケアをしていてアンダーヘアがないほうがいいと思ったことはありませんね。年齢を重ねて毛が薄くなっている人もいて、排せつ時に毛があるからケアしにくいと感じることはほとんどありません。

 私自身は20代のときにVIO脱毛をしましたが、若かったので介護を意識したわけではありません…。介護する人への配慮から脱毛をするという気持ちはわかりますが、看護する立場としては、毛はあろうがなかろうがあまり気にならない。むしろ、入浴介助のとき、毛があるとボディシャンプーが泡立って洗いやすいと思ったことがありますよ」

「おむつ交換の体験から自ら脱毛を決意」介護士40代

「認知症の利用者のおむつ交換時、毛に絡みついた汚物が固まりカピカピの状態になっていたのを清拭したときに、“痛いじゃない!”と、強く抗議されるときがあります。自分が介護される立場になったときに、こんなことを介護のプロとして言いたくないと思ったことが、介護脱毛に踏み切るきっかけとなりました。

 高齢になると毛は薄くなるとはいうものの、やはり長い毛が残ってしまったり、剛毛の方はしっかりと毛は残ります。介護する立場として、特に肛門周りに毛はない方が、清潔さを保つ点でも有効だと感じます」※

※部分のみリゼクリニック体験談より。

気になる介護脱毛(VIO脱毛)Q&A

 介護に携わるプロの目線では、アンダーヘアの脱毛は必ずしも必要という声ばかりではなかったが、やはり気になる介護脱毛。具体的にはどのような施術が行われるのだろうか。

 介護脱毛の基本をリゼクリニック・医師の大地まさ代さんに教えてもらった。

Q 介護脱毛は何歳から? きっかけは?

「親の介護を経験した方が、清拭の際に苦労されたことや、介護される立場の方がその苦労を見て申し訳なさそうにしていることもお辛かったとお話されます。

 患者様の話をお聞きしていると、介護脱毛は、介護する人、される人双方にメリットがあると感じます」

 介護脱毛は、最近はメディアでも取り上げられることが多くなり、40代以降の高年齢層にも浸透しているという。なお、リゼクリニックでアンダーヘア脱毛を契約した人の最高年齢は78歳。

 VIO脱毛は20代など若年層が多かったが、介護のためにと「これまでためらっていた高年齢の人も敷居が低くなった」と、大地さん。幅広い年齢層に浸透し、実際に介護脱毛をしてみたいと考えている人は、3年前と比べて30%も増えている。

Q そもそも介護脱毛をするVIOとはどの部分でしょうか?

「VIOとはアンダーヘアのことを指し、当院での脱毛範囲は以下の通り。VIOそれぞれの毛質に合わせた機器を使って照射を行います」

・Vライン(ビキニライン)→左右の腰骨の上を結んだ線より下部から、脚の付け根のラインよりまで。
・Iライン(性器上部周り)→女性器の周囲と女性器と肛門の間の部分。
・Oライン(肛門周り)→肛門を中心に半径2cmの部分

Q 介護脱毛は恥ずかしい?

「介護脱毛は恥ずかしそう…」。そんな風に感じている人も多いだろう。しかし、女性スタッフによる対応や完全個室など、リゼクリニックでは配慮を徹底しているという。

「デリケートな部分ですので見られるのが恥ずかしいと思われる患者様もはじめはいらっしゃいます。

 施術を行なうのは医療従事者ですので、ご来院されると皆さま安心されますし、施術の回数を重ねるうちにだんだんと慣れていかれる方ばかりです。

 また、施術中は下着を脱いだ状態で腰にタオルガウンを巻いていただき、照射時には少しでも露出を減らし、必要な部分のみ見えるよう、都度ガウンをめくって照射いたします」

Q デリケートゾーンの脱毛は怖くない?

 エステサロンなどで行う光脱毛器とは異なり、医療脱毛は効果が確実な脱毛法だという。

「施術を行なうのは医療従事者ですので、ご来院されると皆さま安心されますし、施術の回数を重ねるうちにだんだんと慣れていかれる方ばかりです。当院では、厚生労働省より認可を受けた医療用レーザー脱毛機を使用しており、医師の監督・指導のもと看護師が施術を行ないます」

Q 施術は痛くない? 麻酔もあるの?

「レーザー照射時の痛みは、部位や毛の量や密度や濃さ、肌の色などの影響を受けますが、施術のたびに毛の量が減るため、痛みも軽減される傾向にあります。慣れてしまえば、施術中に眠ってしまう方もいらっしゃいます」

 必要に応じて冷やしながら照射をするなど痛みを和らげる調整をするため、麻酔を使わない人が大半だという。

「特に痛みを感じるVやIなど毛の密度や太さがある部位への照射時や、痛みを軽減したい方、痛みに弱いという方のためには麻酔もあります。

 鼻から吸引する笑気ガスとクリームタイプ、2種類の麻酔を有料でご用意しています」

「麻酔クリームは、薬を浸透させるために、塗布後はラップでしっかり密着させること、そしてIラインのヒダの中側もきっちり塗ることが大事です」と大地さん。

介護脱毛のデメリットは…

 前述の介護士が「清潔さを保つために有効」だと語っているように介護する人もされる人にとってもメリットがあるといえる介護脱毛だが、デメリットはないのだろうか。

「アンダーヘア脱毛を行なう上でのデメリットはとくにありませんが、脱毛された毛は生えてこなくなる可能性がありますので、あらかじめ残したい部位がある場合はイメージをしっかりお持ちになるとよいでしょう」

 すべて毛をなくすか、残すのか、デザインなどについては以下の通りだ。

どこまで毛をなくすべき?デザインは? 

 介護脱毛で気になるのが、どこまでアンダーヘアをなくすのか、残すのか…。介護脱毛経験者はどんなデザインにしているのだろうか? 大地さんによると、

「年齢が高い方は、温泉などの公共施設利用の際に人目が気になることや、白髪だけが残ると目立つことなどを気にされることもあり、アンダーヘアを一切なくす“無毛”ではなく、ある程度毛を残す“デザイン”を選択される方が多いようです」

「当院では、VIO脱毛時、『無毛』はもちろん、『逆三角形』や『I型』など、様々なデザインのご希望にも対応が可能です。

白髪があるとできないのは本当?

 そして、気になるのは、脱毛は白髪になるとできないのか? ということ。アンダーヘアに白髪が混じっている場合は脱毛はできるのだろうか。

「医療レーザー脱毛は、白い毛には反応しないため、介護脱毛を希望されるなら、白い毛が増える前をおすすめします。ただし、白髪が混じっていて多少残ってしまったとしてもご本人が気にされなければ問題ないと思いますよ」

 介護を経験して、介護される人、介護する人、双方にメリットが大きいと考えVIO脱毛をした60代の女性は「「思いのほか快適で、もっと早くしておけば良かった」という感想だったそうだ。

介護脱毛の料金や時間の目安

「1回の照射でかかるお時間は約30分。1、2回目は全体の毛量・密度を減らすために全体に照射し、3回目以降は無くしたい部分を照射し、毛周期にあわせて(8週間くらいが目安)、5回かけて理想の形に近づけていきます」

 リゼクリニックの場合は、5回で9万2800円(税別、※2020年8月現在)。クリニックによって異なるが、5万~10万あたりが相場のようだ。

→【2020年最新】脱毛おすすめサロン!人気10サロン徹底比較ランキングを見る

VIO脱毛体験レポート|介護脱毛は痛い? 恥ずかしい?

 今回介護脱毛の必要性について取材してきたが、やってみなければわからないこともある…ということで、リゼクリニックに協力いただき、47歳の記者は初めての介護脱毛にトライ。

施術前の準備…麻酔に備える

 クリニックに予約をすると、以下のような注意点があるとのこと。

・当日は必ず照射部位(VIO)を剃毛して来院すること。
・当日のドクターカウンセリング判断によるが、笑気ガス麻酔をする場合は、飲食制限があり、施術開始の2時間前の飲み物、6時間前の食事は控えること
・塗る麻酔を使う場合は麻酔が効いてくるまで施術前に1時間ほどの時間を要する。

介護脱毛の準備…剃毛が問題

 介護脱毛の前は剃毛が必須…。介護脱毛するにあたり、まずはこれが第一関門か。

 Vラインはまあわかるが、IやOってどうやって剃るのか? VIO脱毛の経験をもつ友人の看護師に尋ねてみた。

「鏡を下に置いてしゃがみ、クリームとか塗ってシェーバーで剃ってみて。

 剃り残しがあっても事前に看護師が剃るから大丈夫よ。追加料金で剃毛しているクリニックもあると思うよ。ふさふさのままだと『ちょっと…』って思うから、努力はしてきてねって感じ。

 皮膚がデリケートだから剃りすぎはダメ、傷をつけないようにね」と、看護師の本音に納得。慎重に剃毛して当日に備えた。

介護脱毛は医師のカウンセリングから

 まずは同意書や体調など問診票を元に医師とカウンセリングを行う。痛みに対して麻酔を使うかどうか、レーザー照射後のリスクなどについて丁寧に教えてくれる。
 経験済みの友人に「出産に比べたらVIO脱毛の痛みなんてなんのことはない」と聞いていたことと、カウンセリング時に医師が「麻酔を使う人はだいたい半数くらい」とのこともあり、クリームタイプだと時間もかかるし、今回は麻酔なしでやってみることに。

毛をどこまで残すのか?

 若い看護師さんに個室に案内され、上半身は服を着たまま、スカートと下着を脱いで下半身だけバスタオル素材のスカートのようなものを装着。ベッドに仰向けになると、「ヘアをどこまで残しますか」と看護師さん。「三角形に毛を少し残したい」と相談すると、赤いペンで残す部分をマーキングされた。

 しかし、最初の数回は全体的に薄くしたいと考え、マーキングを消して全面に照射することに変更。レーザーが目によくないとのことでゴーグルを装着して、さっそく照射開始。

実録!介護脱毛の痛みと部位別の態勢は?

 デリケート部分だけに気になる痛みや体勢について、詳しく解説する。

Vライン…ピシッと響く痛み

 まっすぐ寝た状態でガウンをお腹あたりまでまくり、足は少し開いた状態。剃り残した部分を除毛してから照射がスタート。

「ピッ」とマシンからレーザー照射されると、「熱っ、痛っ、冷たっ」とあらゆる感覚が瞬時に襲ってくる。照射と同時に冷気が出て冷やす仕組みなのだとか。輪ゴムでピシッと打たれているような、鋭くジンとする痛みだが、一瞬なので耐えられないとうほどではない。

 看護師さんは手際よくリズミカルに照射していくが、「このあたりは痛いですね、ゆっくりいきましょうね」と逐一優しく声をかけてくれる。

 脚のつけ根の皮膚がやわらかい場所やIラインの上の方がとくに痛かったが、徐々に痛みに慣れてくる。ほんの5、6分というところか。

Iライン…カエル足に開くので恥ずかしい

 続いてIラインの施術。「膝を少し立てて足の裏をくっつけてそのまま膝を開いてください」と、カエル足のような格好で足を開く。これはとても恥ずかしい…。

 Iラインのあたりは自分でうまく剃毛できていなかったので剃りながら進めることに。

 Vラインより毛が少ないせいかレーザーを打つ回数は少なめ。ビクッとするがもう痛みはそれほど苦にならない。3~5分ほど。

Oライン…うつぶせで後ろから照射

 最後は肛門のまわり、Oラインだ。

 うつぶせになって後ろからお尻の肉をかきわけ、照射部分を露わにする。これはちょっと恥ずかしい…。

 しかし、Oラインは痛みの感覚がほとんどなく、照射も数回であっさりと終わってしまった。3分くらいか。

介護脱毛は男性希望者も3割【介護脱毛まとめ】

 最後に炎症や赤みが出たときの軟膏をもらい、施術はトータル30分ほどで終了した。

 当日はお酒や激しい運動、入浴やホットヨガなどは控えてくださいとのこと。

 なお、リゼクリニックが40~50代の一般男性へ行なった調査※によると、介護脱毛を希望する男性は3割程度いるという。脱毛が男性にも浸透していることを実感。ちなみに、リゼクリニックの場合、姉妹院である「メンズリゼ」には男性患者さんも多く来院するという。

※参考:https://prtimes.jp/main/html/rd/p/000000055.000020081.html

 痛いのは嫌! と思っていたが、終わってみれば忘れてしまうほどの痛み。

 それよりも剃毛で露わになった部分の皮膚のたるみやカサつきが気になるのだった…。

 介護脱毛の体験後は、保湿などケアを心がけるようになり、自分のVIOゾーンを気にかけるようになったかも。

 自分のため、そして介護する相手に嫌な思いをさせないために。相手を思いやる気持ちが介護脱毛に向かわせる動機だということがわかった。

 介護する人、される人にメリットが大きい――40代以降の女性に浸透しつつある介護脱毛。これを機に、考えてみてはいかがだろうか。

取材・文/介護ポストセブン編集部

●肌の乾燥や抜け毛…肌と髪の不調に隠れている別の病気とは

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