なすの下ごしらえ|へた・がくの取り方、保存方法など…基本のきをおさらい
いまさら聞けないあれこれを一流の専門家が懇切丁寧にお教えします。今回のお題は「なす」。
代表的な夏野菜の1つであるなすは、アクが強く、実は傷むのが結構早い食材。見た目と味をキープするためのアク抜きや正しい保存方法に加え、調理に合わせた下ごしらえのコツを紹介します。
* * *
おいしいなすの選び方
「なすの成分はほとんどが水分で、栄養成分はそれほど多くないのですが、食物繊維やカリウムが含まれています。特に油との相性がよく吸収率も高いため、暑い夏のエネルギーアップには最適ですよ」
と語るのは女子栄養大学短期大学部食物栄養学科教授の豊満美峰子さんだ。
なすは、がくが尖っていて皮の表面にツヤとハリがあり、重みがあるものを選ぶと、水分量が多く新鮮でおいしい。
「なすはアクが強いので、黒く変色したり味に渋みが出るのを防ぐため、調理前には水でアク抜きをしましょう。
皮はあまりかたくないので、焼きなす以外はむかなくてもよいですが、蒸しなすの場合はむくと火が通りやすくなります。なすそのものに自然な甘みがあるので、炒めもの、煮ものなどいろいろなバリエーションで楽しんでください」(豊満さん)
代表的ななすの種類
●卵形なす
最も多く出回っている主流品種。特に東日本で好まれており、煮もの、揚げもの、漬けものなどに広く使われる。
●長なす
長さ17cm前後ほどの細長いなす。皮や実は卵形なすよりかたく、米なすよりはやわらかい。焼きなすなどの加熱調理に向いている。
●米なす
アメリカの大型品種を国内で改良したもので、緑色のへたが特徴。種が少なく、味は淡白。皮や実がかたく煮崩れしにくいため、グラタンやラタトゥイユなどの加熱調理がおすすめ。
→暑いときにアツアツのグラタン!たっぷり夏野菜を絶品ホワイトソースで
●小なす
サイズが小さく、ひと口なすとも呼ばれる。かわいらしい形を生かして、へたを取ってからし漬けなどにすることが多い。
加熱調理なら長なすと米なす。 丸ごと調理なら小なすがおすすめ 。
なす調理の基本
へた・がくの取り方
基本はへたを切り落とす。 丸ごと使うならがくのみ取る。
■通常の場合
なすを切り分けて調理する場合は、がくとへたの境目に包丁を入れて切り落とす。
■へたを残す場合
焼きなすなどで丸ごと調理する場合は、へたとがくの境目にぐるりと一周切り込みを入れ、がくのみを取り除く。
皮のむき方
縞目にむけば火が通りやすい。 焼きなすは冷やして手でむく。
■縞目にむく
縦に縞目になるように、ピーラーで皮をむく。火が通りやすくなり、蒸しなすにおすすめ。皮をむいた部分は変色しやすいため、むいたらすぐに調理する。
■焼きなすの皮をむく
水をためたボウルに焼いたなすを入れ、手で触れられる温度まで冷やしたら水から取り出し、手で皮をむく。水につけすぎると水っぽくなるため手早くむくこと。
隠し包丁の入れ方
斜めに切り込みを入れると 味が染み込みやすくなる。
縦半分に切ったなすを切り口を下にして置き、斜めに等間隔で深さ5mm程度の切り込みを入れる。味が染み込みやすくなるため、揚げなすや揚げ煮におすすめ。
アクの抜き方
基本は水にさらすだけ。 しんなりさせたい場合は塩水で 切ってから 保存する場合 なすを切った後、加熱調理する場合は2〜3分、漬けものなど生で食べる場合は5分程度を目安に水にさらす。食感をしんなりさせたい場合は、水に対して約2%の割合で塩を加え、同様にアク抜きをする。その後、水で塩を洗い流してから調理する。
保存方法
丸ごと保存はラップに包んで。 切ったら密閉後、冷凍or冷蔵。
■丸ごと保存する場合
水分量が多く傷みやすいため、保存には注意が必要。1本ずつラップに包んでから冷蔵庫で保存し、冷害と乾燥を防ぐ。1週間を目安に使い切る。
■切ってから保存する場合
切った状態で生のまま保存する場合は、ジッパー付き保存袋に入れ、密閉してから冷凍する。加熱してから保存する場合は、同様に密閉して冷蔵庫に保存する。
→ご飯がすすむ!なす料理レシピ6品|とろける焼きなす、作りおきレンチンマリネ…
教えてくれた人
豊満美峰子さん/女子栄養大学大学院了。同短期大学部の食物栄養学科教授。調理学を専門に教鞭をとる。書籍・雑誌の監修や著書も多数。
撮影/下重修
※女性セブン2020年9月10日号
https://josei7.com/