皮がパリッ!こがさない!魚の焼き方|下準備からコツまでグリルでもオーブンでもフライパンでも失敗しない方法
どんな種類の魚であっても、ひと味違ったおいしさになる焼き魚。調理は簡単なようですが、皮が網について破れてしまったり、身くずれしたり…ときれいに焼き上げるのは案外難しいもの。そこで、家庭でも人気のあじ一尾を例に、失敗なく仕上げるための下ごしらえと焼き方のコツを加熱方法別に紹介します。ほんのひと手間をかけ、コツを覚えれば、家庭でも本格的な焼き魚ができますよ!いまさら聞けないあれこれを一流の専門家が懇切丁寧に教えてくれました。
目次
魚を上手に焼くためには、下ごしらえの段階でひと手間かけることが大切、と女子栄養大学短期大学部食物栄養学科教授の豊満美峰子さんは語る。
「先に塩を振って味付けを行うことで、魚から余分な水分が出て身が引き締まり、生臭さが抜けます。表面には、火を通りやすくするために十字の切れ目を入れ、グリルの網には油を塗ることで、皮が網に張り付いて破れるのを防ぐことができます」
加熱方法はグリルならふっくらと仕上がるが、今回はフライパンやオーブンで手間なく焼く方法も紹介する。
「フライパンやオーブンを使うとグリルに比べて焼き目がつきにくいですが、フライパンは油を引けば中までしっかり火が通ります。オーブンは温度管理がしやすく、ムラなく火が通りやすいのがメリットです」(豊満さん)
切り身を焼く場合は、一尾の魚と比べて皮の部分が少なく身が崩れやすいため、網やフライパンに塗る油を多めにすると失敗しにくい。
下ごしらえの手順:うろこや内臓を取り除き、振り塩で臭みをなくす
【1】うろこ、ぜいごを取る
全体の水分を拭き、尾から頭へ包丁の刃先を数回滑らせてうろこを取る。ぜいごは、包丁をまな板と平行にし、尾から頭へ上下に動かしながらこそぎ取る。
【2】えら、内臓を取り除く
盛り付ける際に裏になる面を上にしてえらぶたを開き、えらの付け根を刃先で切る。内臓は、肛門に包丁を差し込んで切れ目を入れ、そこから外にかき出す。
【3】水洗いをする
魚を流水に当てると身が崩れるため、ボウルにためた水の中で、表面の血液と残った内臓を洗う。なるべく短時間で行うこと。
【4】振り塩をする
皿の上に置いたザルに魚を寝かせ、一尾の場合は魚の重さの2%、切り身の場合は1%の塩を両面にまんべんなく振る。
表を下にして20~30分置くと、皿に水分が落ちる。
★ポイント化粧塩は必須ではない
尾やヒレに塩をまぶす化粧塩は、直火で魚を焼いていた時代にヒレが焦げすぎないよう行っていたもの。その名残であるため、現代に家庭で焼く場合はしなくてもよい。
グリルを使った焼き方のコツ:魚に十字の切れ目を入れ、網に油を塗るのがコツ
【1】十字の切れ目を入れる
身がいちばん膨らんでいる中心部分に、十字になるように2筋切れ目を入れる。
【2】網に油を塗る
キッチンペーパーなどにサラダ油を含ませ、網全体に塗って2分ほど予熱しておく。
【3】魚を焼く
盛り付ける際に表になる面を上にして魚を網にのせる。最初は強火で加熱し、焼き目がついてきたら弱火に落とす。片面グリルの場合は様子を見て一度ひっくり返す。
★ポイント
全体にしっかりと焼き目をつけることで、香ばしく仕上がるだけでなく、臭みを抜く効果もある。加熱時間はあじ一尾(100~150g)でおよそ12~15分程度が目安。
オーブンを使った焼き方のコツ:そのままトレーにのせるのは厳禁
天板の上に直接置くと皮がくっついてはがれてしまうため、オーブンペーパーの上に魚をのせて焼く。250℃に設定し、あじ一尾(100~150g)で20分弱程度を目安に加熱する。
フライパンを使った焼き方のコツ:尾とヒレはあらかじめ取り除く
【1】尾とヒレを切る
焼く際にフライパンに張り付いてちぎれるのを防ぐため、尾やヒレはあらかじめ取り除いておくとよい。キッチンばさみを使うと楽。
【2】油を引いて焼く
魚の重さの5%を目安に油を引き、盛り付ける際に表になる面を下にして焼く。最初は強火で表面を固め、その後、中火~弱火に落として数分焼き、一度ひっくり返してさらに数分焼く。あじ一尾(100~150g)の場合は強火で1分弱、火加減を落として5~6分くらいが目安。
教えてくれた人
豊満美峰子(とよみつみおこ)さん/女子栄養大学大学院了。同短期大学部の食物栄養学科教授。調理学を専門に教鞭をとる。書籍・雑誌の監修や著書も多数。
撮影/下重修
※女性セブン2020年6月25日号
https://josei7.com/
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