過剰な検査や薬が体を傷つける…服薬による免疫力低下やCT被ばくの大きなリスクも
「咳が出るから」「最近眠れなくて」──また医者に“会いに”行こうとしているなら、少し考え直してみてほしい。その治療や投薬は、いまのあなたにとって本当に必要なものだろうか? 今や、恐ろしいのは、新型コロナに感染することだけではない。“コロナ前”から当たり前に行われている検査や治療にも、あらゆるリスクが潜んでいるのだ。通院のリスクを知らないと、取り返しのつかないことになるかもしれない。
CT検査での被ばく量は、胸部レントゲン検査の100倍も高い
定期健康診断に加えて、人間ドックやオプションのがん検診など、年間を通してさまざまな検査機会がある。「早期発見・早期治療」は確かに重要だが、あまりにも“生き急ぎ”すぎると、かえって体を傷つける危険性がある。新潟大学名誉教授で医師の岡田正彦さんが話す。
「海外の研究で、1年に2回の胸部レントゲン検査を3年間受けていたグループは、3年間一度も検査を受けなかったグループよりも死亡率が高かったという結果が出ています。被ばくが原因だと推察できます」(岡田さん・以下同)
バリウム検査は1枚あたり胸部レントゲン検査の6~1000倍の被ばく量だとされている。日本にはCT検査の装置が3万台ほどもあるといわれ、軽く頭を打ったくらいで検査するケースもよくある。なかには内臓脂肪を見るためだけの検査を行うところも。そこには大きすぎるリスクがある。
「CT検査での被ばく量は、胸部レントゲン検査の100倍も高いのです。海外では、がんのリスクを上げる危険性も証明されています。特に子供は大人と比べて細胞分裂が盛んで放射線の影響を受けやすいため、小さい子供が頭をぶつけたときなどに“念のため”といって頭部CT検査をするのは、過剰と考えられます。アメリカでは、たとえ頭をぶつけたとしても“痛がって泣くことができるなら大丈夫”と、検査をすすめていません」
絶対に安全な薬はない
●複数の薬の服用はのみ合わせの相互作用で副作用が起きやすい
検査の結果、薬を処方された場合も注意が必要だ。薬には必ず1つ以上の副作用がある。のみ合わせによっては相互作用により副作用が現れやすくなると考えられているという。医療経済ジャーナリストの室井一辰さんが言う。
「こうしたリスクを避けるためにも、アメリカでは“5種類以上の薬を一度にのまないように”といわれています。すでに薬をのんでいて別の医師にかかるときは、何を服用しているか、必ず伝えるようにしてください」(室井さん)
●ステロイド剤など「免疫抑制剤」の服用は感染症に要注意
免疫が過剰になることで起きる関節リウマチや喘息、アトピー性皮膚炎といった自己免疫疾患には、ステロイド剤などの「免疫抑制剤」が処方される。読んで字のごとく、上がりすぎた免疫力を抑える薬だ。
「強制的に免疫力を抑える“特効薬”なので、服用したら通常時以上に感染症に気をつけなければなりません。実は、花粉症も免疫が過剰に高まった状態。そのため、花粉症の薬を処方された際も、副作用に注意が必要です」(岡田さん)
●すべての薬には副作用がある。とりあえず処方は危険
繰り返しになるが、すべての薬には副作用があり、ステロイドや抗アレルギー薬は、その危険性を加味しても薬の効果が必要だから処方されている。しかし、かぜをひいている患者に抗菌薬を処方したり、不眠に悩む患者に依存性の高い「ベンゾジアゼピン系」の睡眠薬を処方したりするなど、“とりあえず処方”が蔓延しているのも事実だ。
「患者側が求める場合も多いですが、副作用の危険性を顧みずに処方されるケースが多いのは問題です。抗菌薬は細菌を殺す薬のため、かぜなどのウイルスには直接的な効果がなく、服用すると腸内細菌も減らします。これによって全身の健康への悪影響が懸念されるほか、抗菌薬に耐性のある細菌が増えるなどの弊害もある。むやみに抗菌薬を処方することが院内感染を増やしていると、国内外で指摘されています。また、ベンゾジアゼピン系の睡眠薬は認知症リスクを高める可能性が指摘されており、連用すると非常に強い依存性が出ると問題視されているため、安易な処方は危険です」(室井さん)
薬は時として毒にもなると心得たい。
※女性セブン2020年7月30・8月6日号
https://josei7.com/
●コロナ禍でがんと戦う免疫力と抵抗力の話…専門医・近藤誠さんがマスクを外して語る