お家生活を快適にするリビングの模様替え|ビフォー・アフター
いつもより自宅で過ごす時間が長い生活を快適に過ごすには、家族の集うリビングがストレスフリーな環境であることが重要。部屋の動線が悪いとイライラやストレスが増える。そこで一級建築士・家具配置アドバイザーのしかまのりこさんに、リビングの模様替えについて教えてもらった。自粛疲れを解消する新しい部屋のレイアウト様式とは。
【目次】
イライラ解消にリビングの模様替えが必要な理由
秋には新型コロナ感染症の第2波が来ることも予想される中、いまのうちにできることは、部屋の模様替えをしておくことだ。荷物がいっぱいで機能しないテーブル、移動しづらい家具の配置…この機会に見直しを!!
自粛生活で家族とともにリビングなどにいる時間が増え、これまで以上に家の中でストレスを感じる人が増えている。
部屋の動線の悪さでイライラ…
「イライラの原因の1つに、部屋の動線の悪さが挙げられます」
と言うのは、一級建築士で家具の配置アドバイザー・しかまのりこさん。
「動線が整理され、使いやすくなっていないと、移動のたびに家族同士がぶつかったり、部屋が狭く見えたりしてイライラがつのります。また、リビングダイニングの場合、その空間だけで食事に団らん、仕事、子供の勉強など、多くのことが行われるため、ごちゃごちゃとモノが増え、落ち着かなくなり、ストレスを感じてしまうケースも多いのです」(しかまさん・以下同)
それを「シカタナイ」で済ますより、エイヤ!と模様替えするのがおすすめだ。空間は、収納家具などで区切れば荷物の置き場も決まり、ストレスも減る。
「その際、ダイニングテーブルはキッチンの近く、収納はリビングには不要などと、決めつけた考えを持っていると、模様替えの幅が狭くなってしまいます。必要な動線を確保して、使いづらい半端な動線をなくせば空間の有効活用が可能になります」
換気が悪いと汚れた空気がとどまって不快に
食事の空間とくつろぐ場所の位置を替えた方が使い勝手がよくないか、物置になっているテーブルはないかなど、まずは現状を見直そう。そして見落としがちなのが空気の流れ=換気だ。
「においもストレスの1つです。2003年以降に建てられた住宅※は、24時間換気システムが導入されています。これは、給気口から新鮮な空気を取り入れ、部屋の汚れた空気を外に出す仕組みですが、部屋に設置されている給気口を閉めていたり、24時間換気システムを止めていると、空気が循環せず、部屋に汚れた空気がとどまってしまいます」
部屋の空気は給気口から入って循環しているため、給気口の近くに汚れたモノがあると、部屋中に広がってしまう。
※改正建築基準法により2003年7月から、従来あった居室(リビングや寝室など)換気に関する義務に、シックハウスなど化学物質に関する 規定がプラスされ「屋内のすべての部屋の空気を1時間ごとに半分入れ替える」という計画換気が、住宅を含む居室に義務付けされた。
ビフォー:リビングの動線が悪いレイアウトはNG!
NGポイントは、動線が悪く空間が分けられていないこと。
動線(太い矢印)となるべき場所にソファなどがあり、カウンターキッチンとテーブルの間や壁際に、用をなしていない動線(細い矢印)がある。
リビングのレイアウトNGポイント
・よく着る服を出しやすくするため、クローゼットのドアにかけている。
・部屋を入ってすぐの位置に大きな家具があると圧迫感が強く、動線も悪い。
・ダイニングテーブルが食事に使われず、物置兼仕事スペースになっている。
・給気口のすぐそばに、ペット用のケージを置いている。
アフター:動線を整理し空間を区切って快適なリビングへ
動線を部屋全体に通し、中途半端な動線は削除。空気の通り道から、ペットのケージなどにおいのあるものを移動した。
快適なリビングのレイアウトは、動線を整理し収納を増やし、空間を区切ること。
リビングのレイアウトOKポイント
・壁にフックを設置し、よく着る服をかけるスペースを作る。
・洋服をかけられる棚を設置して収納を増やし、収納スペース、仕事スペースに空間を区切る。
・キッチンカウンターの下にジャストサイズの棚を設置し収納を増やす。
・ペット用のケージを給気口から離れた位置に移動。
・ダイニングテーブルをなくし、ソファで食事のできる高さのテーブルに変更。くつろぎと食事の空間を1つに。
・ソファは入り口にかからない反対側の位置に移動。
【まとめ】ストレスフリーなリビングのポイント4
【1】空間を整理する。
【2】家具の配置は固定観念を捨てる。
【3】スムーズな動線を作る。
【4】空気の流れをよくする。
今後も感染予防に欠かせない「新しい生活様式」は続くため、ストレスのない部屋作りは必要になる。上の動線の作り方を参考に、「新しい部屋のレイアウト様式」をじっくり考えよう。
教えてくれた人
一級建築士・家具配置アドバイザー しかまのりこさん
一級建築士・家具配置アドバイザー しかまのりこさん 大手ゼネコン、確認検査機関を経て建築事務所COLLINOを設立。5000件以上の設計・検査・審査の経験を生かし、暮らしやすい間取りやリフォーム、模様替えの提案を行っている。
イラスト/こさかいずみ
※女性セブン2020年6月11日号
https://josei7.com/
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