日本一おいしい病院レストランのシェフ考案|素材の味を引き出す簡単レシピ
フレンチのシェフが作るランチが好評で、連日、近隣住民で賑わう『ヴァイスホルン』。平日の昼間のみ一般開放されるこのレストランは、実は「地域に開かれた病院」「病がなくても行きたい病院」を目指す丸子中央病院(長野県上田市)の最上階にある。
「地域のしあわせ創りに貢献する」という同院の想いに共感し、病院専属シェフとして勤務する山田康司さんは、「いろいろな食材をおいしく食べようとすることがすなわち、健康食の実践」と語る。
2015年からは地元スーパーマーケットとタッグを組み、毎月3~4種類、栄養のバランスを考えた、体に優しくおいしい「いきいきレシピ」を小さなカード状にして店頭に置いている。レシピは多くの人々に支持され、「健康寿命のばそうアワード<生活習慣病予防分野>」では厚生労働大臣賞 団体部門 優秀賞を受賞した。
その集大成ともいえるのが新刊『日本一おいしい病院レストランの 野菜たっぷり 長生きレシピ』(小学館)だ。
「この本は減塩のための本でも低カロリーメニューの本でもありません。食材の味を活かしてバランスよくおいしく食べるための本です。しかしながら、それでこそ減塩につながり、食における健康を具体化するものだと思います」
と山田シェフ。たしかに、塩分やカロリーの細かい指示はなく、おいしそうな、日々の食卓を彩る美しい料理の写真が並ぶ。
その中から、「あと1品欲しいときに」使えるレシピをひとつ、ご紹介しよう。手間なしクッキングの強い味方、炊飯器を使ったお料理だ。
炊飯器で簡単! 切り干し大根の煮物
<材料>(作りやすい1回量)
切り干し大根…1袋(約40 g) ※ぬるま湯で戻す
ちくわ…1本 ※5mm厚さの輪切り
つきこんにゃく…1/2パック
エリンギ…100g ※縦1/4に切る
えのきだけ…100g ※3cm長さに切る
にんじん…1/2本 ※細切り
油揚げ…1枚 ※細切り
里芋…大2個(約180g) ※皮をむき、ひと口大に切る
A 和風だしの素(顆粒)…小さじ3、砂糖…小さじ2
<作り方>
【1】水(400cc)にAを溶かす。
【2】切り干し大根の水気を軽く切り、炊飯器の内釜に入れる。上にほかの材料をのせて(最後に油揚げをのせる)、1を注ぐ。
【3】炊飯器に内釜をセットし、炊き込みご飯モードで炊く。
◎里芋は入れなくてもよい。
「炊き込みご飯モード」のスイッチを押せば、焦げ付かず、火加減いらずでできてしまうので、日々の生活で重宝すること間違いなし。
実は山田シェフは自炊していた学生時代に、ご飯を炊くときに一緒にさつまいもを入れてみたり、鶏肉とキャベツを入れて蒸し焼きにしてみたり、なんと30年以上前から炊飯器クッキングをいろいろと試して楽しんでいたそう。
著書には、炊飯器調理のほかにも、電子レンジ加熱で仕込むスープや、健康食材として注目度の高いもち麦のご飯、ビタミンEが豊富なアーモンドミルクの超簡単鍋など、すぐに試したくなるレシピ60品が掲載されている。さまざまな食材の味を「引き出す」調理の楽しさに触れ、「おいしくて健康」という本来あるべき食の姿を実践してみては?
【データ】
『日本一おいしい病院レストランの 野菜たっぷり 長生きレシピ』
著:山田康司
価格:1400円
発行:小学館
撮影/泉 健太
●認知症やうつ・心臓疾患や循環器系疾病を予防する海の魚のレシピ