失明のリスクが高い緑内障 その原因と注意点、対処法を解説
「寝ている姿勢」も眼圧に関係するので注意が必要です。
眼圧はうつむいたりお辞儀をしたりと、体勢を変えると上がります。でも、一瞬であればそれほど問題にはなりません。人間は寝ているときが一番、長時間同じ姿勢を取り続けます。横向きに寝ている場合、上になっている目よりも、下側になっている目の眼圧が高くなる傾向があります。実際、岐阜大学で正常眼圧緑内障の患者さんを調べたところ、3割以上の人が横向きに寝ていることがわかったのです。
眼圧は一日のうちでも変動していて、日中より夜間の方が高くなる傾向があります。就寝中は血圧が下がるので血流が低下して、末梢まで血液が行き渡りにくくなっています。そのため、視神経の先端部分は昼間よりも眼圧の悪影響を受けやすい状態にあります。就寝中は意外と、目に良くないことが起こっているのです。
しかし「寝るときは暖かくして、仰向けに」、これだけのことで視神経への負担を減らし、緑内障を予防できたり進行を遅らせたりすることができるのです。
眠っていなくても眼圧は姿勢による影響を受けるので、注意しましょう。寝たままスマートホンを長時間いじるようなことは、オススメできません。
几帳面な人は緑内障になりやすい!?
もう一つ、緑内障対策で覚えておきたいことがあります。それは「毎日をリラックスして過ごす」ということです。私の診療経験では、緑内障の患者さんには真面目で几帳面な人や神経質な方が多くいました。これを裏付けるかのように山梨大学医学部の研究では、「緑内障の患者さんはノイローゼ気味だったり、うつ傾向だったりする人が多い」という結果が出ています。
原因は、自律神経の一つである交感神経(身体機能を活発にする神経)の活動が考えられます。ストレスがかかると交感神経の働きで、眼圧が上がりやすくなるのです。真面目で気遣いができることはとても良いことだと思いますが、一生懸命になり過ぎて、知らず知らずのうちに心身に負担をかけてしまうことがあるわけです。
ご家族の介護をされている人は、ストレスによる眼圧の上昇が心配されます。特に完璧な介護をしようと思ったり、毎日24時間、緊張しっぱなしという人は要注意。目の健康のためにも、息抜きや気晴らしを適度にすることが大切です。
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