「大腿骨骨折」は研ナオコ、赤木春江ら芸能人にも多発 死を招く“隠れ骨折”も
私たちは350本の骨を持って生まれるが、成人すると206本になる。骨の重さは体重の約20%。最も小さい骨は耳小骨で、最も大きい骨といわれるのが大腿骨――知っていました? ちなみに骨折した骨は強くなると信じている人もいるかもしれないが、これには何の医学的根拠もありません。そんなふうに、当たり前のように体内にある骨について、真剣に考えたことがあっただろうか。しかし年を重ねると、ちょっとつまずいて、ちょっと転んで、が命取りになる。だからこそ知っておきたい骨のこと!
あまりの痛さに、家族や病院のスタッフにも暴言を吐いてしまっていたようなのですが、あまり記憶がありません――手術から1週間、タレントの研ナオコ(63才)は、ようやく再開したブログにこう綴った。舞台公演中にバランスを崩して転倒。右大腿骨頸部(だいたいこつけいぶ)を骨折し、右大腿骨人工骨頭置換手術を受けた。
大腿骨頸部――そう聞いてもピンとこない人も多いのではないだろうか。
だがこの骨折は、時に死を招く。しかも50才以上の女性であれば、誰しも明日はわが身、なのだ。
研だけではない。芸能界では大腿骨骨折が多発している。
パーキンソン病と要介護4の認定を受けていると明かした赤木春恵(93才)は、2015年に自宅で歩いていた際に転倒して骨折。しばらくは周囲に「大丈夫」と痛みを口にしなかったものの、MRI検査の結果、左大腿骨骨折が判明した。
2013年には吉行和子(81才)が、雨の日に転んで骨折し、2か月の入院生活。木の実ナナ(70才)も舞台上でつまずいて骨折し、リハビリ含め1か月にわたって車椅子生活を余儀なくされた。
骨は大きく分けて2つの成分でできている。鉄筋コンクリートに例えると、鉄筋のようにしなやかな部分がコラーゲン。そこに硬いカルシウムやリンといったミネラル成分がコンクリートのようにくっついて、硬さとしなやかさを兼ね備えている。
だが、年を重ねるにつれ、コンクリートにあたるミネラル成分が減り、結果、骨はだんだん弱くなっていく。
女性は閉経を境に急激に骨がもろくなり、骨粗しょう症が増加する。
女性は閉経後、骨密度が低くなる。70%以下は骨粗しょう症
骨粗鬆症財団理事で健康院クリニック院長の細井孝之さんが解説する。
「女性の平均閉経年齢は50才といわれています。女性ホルモンには骨を壊すのを抑える働きがありますが、閉経すると女性ホルモンがほとんどなくなるので、閉経後の10年間は骨密度が急激に減っていきます」
骨密度とは、骨を構成するカルシウムやリンなどのミネラル成分がどのくらい詰まっているかということ。詰まっているほど骨が強く、スカスカになると骨が弱くなる。
「骨密度は若い成人平均値に比べて何%かで表されますが、80%以上あれば正常、70~80%であれば骨密度が低い。70%以下であれば骨粗しょう症です。
閉経前後から平均で年2%ずつ減っていき、腕や脚といったほかの骨に比べて背骨の骨密度は減りやすいともいわれています」(細井さん)
高齢者で背中や腰が曲がってきたり、身長が縮むのは、骨粗しょう症の主な症状といわれている。