「自撮りのきみちゃん」自虐写真が世界中で話題 その生き方
道路で転倒したおばあちゃんに猛スピードの車が接近。思わず「危ないっ!」と叫んでしまいそうな「転倒シリーズ」。燃えるゴミ袋に入ったおばあちゃんや、物干し竿に吊るされたおばあちゃん…。自らがモデルとなって撮影(自撮り)したシュールな写真をインスタグラムにアップして、世界的に注目を集めている西本喜美子さん(89才)。なぜ、そんな写真を撮るようになったのだろうか?
「これやったら面白い」と思うことをやってみる
「私、ゴミ袋があったら、自ら袋に入ってみるタイプなんです。誰かに指示されたというわけではなく、その場にある物や状況をみて、“これをやったら面白いだろうなぁ”と思いついたことをやってみるの。人から笑われることが恥ずかしいとは思わないですね。どうせなら、面白かったり、楽しい方がいいから…」(西本さん、以下同)
美容師、女子競輪選手を経て主婦に
そんな西本さんのちょっと普通じゃない感覚は、その人生にも表れている。両親が農業指導のために渡ったブラジルで、7人きょうだいの次女として生まれ、8才の時に帰国。美容学校を卒業して自宅で美容院を始めるも、競輪選手となって全国を飛び回る弟2人に影響を受け、当時3期目となる女子競輪選手に転向した。
「私は同じ場所にじっとしているのが嫌いな性質で、水を得た魚のように数多くのレースに参戦しました。そして、ちょうどスランプを感じていた27才の頃に、税務署職員だった主人(斎さん)と結婚して引退。それからはごく普通の主婦だったんです。
でも72才の時にお友達に誘われて、うちの息子が主宰するアート教室「遊美塾」に参加したら、写真の面白さに目覚めてしまって。一からカメラの操作を覚えて、73才からは、写真の加工のためにパソコンを習い始めました。今では、パソコンを使って絵画作品も描いています。他にもいろんなことがやってみたい。やりたいことが多くて困っているんです」
驚くべき好奇心と向上心! これが、実年齢の常識を超えた発想と行動を生み出しているようだ。
「今は腰が悪いから、撮影は熊本市内の自宅が多いですね。自宅の一室をアトリエに改造して、ホームセンターで買い集めた機材で撮影セットを手づくりしました。私は腰が悪いから自然と足元を見るでしょ。だから、足元にある落ち葉のきれいさに気づくことができるんじゃないかしら」