家電メーカー事業のノウハウを集結!最新機器、設備が充実の介護施設
デイサービスエリアの中で圧倒的な存在感を放っていたのが、高さ1mほどの真っ黒なたて型のスクリーンだ。これは、リハビリナビゲーションシステム「デジタルミラー」。スイッチを入れると、画面中央に女性のリハビリ・トレーナーが登場。その動きを真似るだけで、リハビリができるというもの。
運動メニューは筋トレやストレッチ、反射神経やバランス感覚を鍛えるトレーニングなどバリエーションが豊富。スタッフが利用者の年齢や身体の状態、重点的に鍛えたいところなどを登録すると、マシンが多彩なメニューの中からその人に最適なプログラムを作ってくれる。
スクリーンの近くにはカメラが用意されていて、運動中の姿がスクリーンの一部に映し出される。運動している人は自分と画面上のトレーナーの姿勢を見比べることで、正しい姿勢や動きになっているかをチェックできるのだ。
「リハビリ用のメニューは種類も多く、バラエティーに富んでいるので飽きずに続けられます。すでに導入していただいている病院や他のデイサービス施設でも『画面を見ながら運動するのがゲームのようで楽しい』と好評です。
運動の記録はデータとして保存できるため、病院やご家族などに体力測定の結果を報告するのにも活用できます。また、以前の映像と今と見比べることで、ご本人にもリハビリの成果がひと目でわかります。
実際に、杖なしでは歩けなかった方が9か月間リハビリに取り組んだ結果、ご自身で歩けるようになったというケースがあります。その方に『以前はこうでしたね』と昔の動画をお見せしたら、『こんなに歩けるようになったのか』と驚いて、励みになったそうですよ」(森田さん)
実はパナソニックが介護事業に参入したのは、介護保険制度がスタートする前の1998年。この年にはすでに有料老人ホームを開業している。その頃から蓄積してきた介護ノウハウが「エイジフリーケアセンター」のそこかしこに反映されている。
「介護のツボ」を押さえた新発想のバスルーム
デイサービス用の浴室は2つ。この2部屋は連結していて、その間はカーテンで仕切られている。プライバシーを確保しながらも、スタッフはドア以外からも行き来できるため、介助するスタッフが動きやすいという利点がある。
バスタブをのぞくと、排水溝が2つ。これが“介護の老舗”ならではのアイディアだ。
「排水溝を2つもうけることで、排水のスピードが単純に2倍になります。その時間を使えばご利用者さまは入浴や着替えがゆっくりできるし、スタッフもお湯の入れ替えがスムーズにできるため負担が少なくてすみます」(森田さん)
浴室のすぐ外には、おしゃれなイスが設置されている。一見、籐製の普通のイスに見えるが座面を上げると実は、簡易トイレ。これは、入浴中に急に、トイレに行きたくなった場合に備えて用意されているもの。こうした気配りも、20年以上の介護経験から生まれたものなのだろう。
目配り、気配り専門“オレンジエプロン”さん
デイサービスのフロアには、オレンジのエプロンをつけたスタッフが常駐し、利用者の様子に目を配っている。その役割とは「見守り」。利用者一人ひとりの行動や動作を把握し、変化があればすぐに対応。スタッフ間の連携をサポートする役割もあるという。
どうしても目の前の仕事で手いっぱいになりがちの介護スタッフが、全体に目を配ることはなかなか難しい。オレンジエプロンのように一歩引いて、全体を見るスタッフがいることで、利用者はもちろん、スタッフも自分の仕事に集中できるのだ。