「排せつ」のトラブル<2>便秘の種類とその予防~プロが教える在宅介護のヒント
自然な排便周期を取り戻すには、まずその人自身の排便のクセを思い出し、活用してみましょう。新聞のインクの匂いやコーヒーの香りなどで便意を催す、朝窓を開けてフレッシュな空気を吸うとトイレに行きたくなるなど、何か特有のクセがある人が多いです。
クセが思い当たらなくても、他の多くの人が「自分のクセはこれ」と言うものも試してみましょう。
私は利用者さんの便秘解消のための温罨法(おんあんぽう)を行う時に、「ハッカの匂い」を使います。蒸しタオルをつくるときの湯に1、2滴たらすのです。温罨法の方法については後述します。
食事・活動を見直す
「お風呂の後」「朝食後すぐ」など排便は、タイミングが大事という人も多いでしょう。
「食事」「活動」を見直すことも大切です。便秘の高齢者の場合は食事量、活動量が非常に少ないことが影響していることが多いので、その点はとくに注意しましょう。
<食事のポイント>
・ 食事を楽しめる工夫をする(好物や旬のものなどで、食欲を高め、適切な摂取量を確保)
・ 食物繊維を多く含むものを食べる(とくに野菜、果物、芋類、豆類、雑穀)
・ 多品種多品目を食べる(肉や魚など嗜好で偏らないようにする)
・ 食事以外1日1~1.5リットルの水分をとる(※水分摂取制限のある人は主治医の指示通り)
・ 口腔ケア、義歯の手入れでしっかり咀嚼できる「口」を保つ(よく噛むと消化に負担がかからない上、腸の蠕動運動自体もよくなる)
<活動のポイント>
・ 体を動かす機会を増やす
・ トイレへ行くタイミングや時間を決め、排便日誌を記録する
・ 腸の蠕動運動を助ける「運動」や「指圧、温罨法」を行う
・ 排便するときに使う筋肉を鍛える「キュッキュ体操(※後述)」も