介護生活にハーブを!<3>健やかな眠りを助ける「お茶」
食事や香りの楽しみだけでなく、私たちの暮らしの様々なシーンで利用されているハーブ。西洋だけでなく、日本でも昔から健康のために、ハーブの力が生かされています。
在宅での介護生活にも、是非ともハーブを活用してほしいと、写真家で、ハーバルセラピストの資格を持つ飯田裕子さんが、介護する人、受ける人へ、ハーブで健かな暮らしを送るヒントを提案してもらうシリーズ、今回は、安眠の助けになるお茶を紹介してもらいます。
睡眠は、誰にとってもとても大切な時間。毎日の生活に、ぜひ取り入れたいアドバイスです。
* * *
ぐっすりとした眠りを誘うハーブティー
夜が長い季節になりました。
介護をされている方も、介護を受けている方も、寒い夜に、よく眠れるか否か、また、睡眠の質の良し悪しが心身のバランスに大きく影響をあたえることになるのではないでしょうか?
そんな時にも、ハーブの力を借りてみてはいかがでしょう。
今回はぐっすりとした眠りを誘うハーブティーを紹介させていただきます。
眠りにつく時、人の神経はリラックスモード(副交感神経が優位になった状態)に入ります。しかし、心配事が多かったり、ベッドに入る直前までパソコンに向かわざるをえなかったりすると、緊張が続いて、交感神経の働きが、なかなかリラックスモードに切り替わることできなくなるのです。
眠る前には、できるだけお風呂に入ったり、手足だけでも温めたりして、緊張状態をほぐすことを心がけることが大切です。
そして、もう一つ、鎮静効果のあるハーブティーを飲む習慣を加えてみてはいかがでしょう。
ハーブティーといえば”香りを楽しむお茶”というイメージをお持ちの方が多いかもしれませんが、メディカルハーブの世界では、「ティー」とは呼ばず、水溶性の植物化学成分を抽出し薬として服用する「浸剤(しんざい)」という呼び方をし、医学的なアプローチが研究されています。
安眠を目的とした浸剤(ハーブティー)は、1種類のハーブでもできますが、神経系統や胃腸を鎮静し、心も穏やかにしてくれるハーブを数種用いることでさらなる相乗効果を発揮するとされますので、複数のハーブをブレンドすることがお勧めです。
今回は、日本でも手に入りやすいハーブをご紹介します。
鎮静用として汎用性が高く、お味も香りも心地良いハーブの代表といえば、「ジャーマンカモミール」。このハーブさえあれば老若男女の健康を整えてくれるといっても過言ではありません。
キク科の可憐な花、「ジャーマンカモミール」は初春に野に咲きます。和名はカミツレといいます。白い花びらに囲まれた小さな丸い黄色いボンボンがあり、花はリンゴのような甘い香りがします。
「カマズレン」や「フラボノイド」などの成分を持っていることが知られています。
昼に活発だった神経を鎮め、胃腸も安静にし、免疫やアレルギーなどもバランスを調整してくれる効能が期待できるのです。(※1)
絵本でお馴染みのピーターラビットも、夜ベッドに入ると、お母さんが茶さじ一杯のカモミールティーを飲ませてくれるシーンが出てきます。そんな物語があるほど、おやすみ前のハーブとして、昔からヨーロッパでは広く使われていました。
安眠へ誘うハーブとして、もう一つオススメなのは、「リンデンフラワー」。和名は西洋菩提樹の葉、花(苞)です。