訪問歯科利用のメリットとは 命を繋ぐ「口腔ケア」<第4回>
介護をされているご家族は、日頃の様子から、飲み込みの機能が弱くなってきていないか時々チェックをしていただくと良いでしょう。以下の項目で、ひとつでも気になることがあれば、歯科衛生士に相談をして、プロによる口腔のケアの指導を受けるようにしてください。
・口の端から食べ物がこぼれる
・よだれが出る
・飲み込みづらそうにしている
・むせる、せき込む
・食べ物がのどにつまった感じがする
・飲み込んだときに声がかすれる
・食事の時間が長くなる
・味の好みが変わる
介護保険の対象となる訪問歯科を有効的に利用する
在宅介護をされている場合、介助して歯医者さんに連れていくのはご家族にとって大きな負担になります。訪問歯科のシステムを利用して、口腔のケアをプロに手伝ってもらいましょう。
訪問歯科は医療保険だけでなく、「居宅療養管理指導」という名称で、介護保険も適用となります。
介護認定を受けている方の場合、歯科医師による指導は1回503円で月2回まで、歯科衛生士による指導は1回352円で月4回まで利用が可能です。機能回復も含めた口腔のケアや口腔リハビリテーションだけでなく、入れ歯の調整など、個別の相談にも応じてくれます。ただし、治療が必要な場合は、通常の歯科医で受ける治療と同等の料金が必要になります。
訪問歯科診療を行っている信頼できる歯科医師や歯科衛生士を探すのであれば、地域の歯科医師会、歯科衛生士会などに問い合わせてみることをおすすめします。歯科診療だけでなく、医療・介護の分野の専門職などの他職種と連携を密に取り、きめ細かな口腔のケアや口腔リハビリテーション等の訪問歯科診療を受けられるはずです。
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二島弘枝(にしまひろえ):フリーランスの歯科衛生士・ケアマネジャー・リンパ療法師。訪問による歯科衛生士を続ける中で、生活・介護の現場を知った上で訪問するべきではないかと強く感じ、ケアマネジャーの資格を取得。ケアプランの作成や、介護をとりまく専門家の連携や調整を行うケアマネジャーとして5年間の経験を積んだ。その後は、歯科衛生士やケアマネジャー、看護師、介護士への講演やセミナーの講師を務めながら、現場第一主義の思いは変わらず、現在も歯科医院へのコーチングや、現役の単独訪問歯科衛生士として活動している。
取材・文/鹿住真弓
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