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健康

《老け見え&健康への影響も》放っておいてはいけない「背中の丸まり」、10の質問で自分の“背中の丸まり度”をチェック

 実際の年齢よりも歳上に見られるという悩みには、姿勢の悪さが関係している可能性がある。医師の野尻英俊さんは、著書の『人は背中から老いていく 丸まった背中の改善が、「動ける体」のはじまり』(アスコム)で、背中の丸まりと健康や見た目の印象、さらに改善方法をまとめ、「背中の丸まり」に関する独自の基準についても解説している。チェック項目を確認して、自分の背中の丸まりレベルを知っておこう。

教えてくれた人

野尻英俊さん/医師、医学博士

のじり・ひでとし。整形外科専門医、脊椎脊髄外科専門医、脊椎脊髄外科指導医。1997年、順天堂大学医学部を卒業後、同大学附属順天堂医院にてキャリアをスタート。脊椎変性疾患、脊柱変形を専門とし、現在は2019年に新設された同大学の脊椎脊髄センターで、副センター長を務める。

実年齢よりも老けて見える「背中の丸まり」

 老いの象徴ともいえる、背中の丸まり。実際に、野尻さんが指導し、脊柱後弯がかなり改善した患者は、びっくりするくらい見た目が若返ったという。

「アメリカの科学誌 『PLoS One』に2009年に掲載された論文によると、『背中が丸まっている人や猫背の人は、実年齢より老けて見られやすく、見た目年齢と実年齢の差は、姿勢・体型・筋肉の張り・骨格構造と関連している』ことがわかったといいます。皮膚や筋肉の張りつやだけでなく、姿勢も大きく影響していることを指摘したのです」(野尻さん)

マイナスな印象を与える「老け見え3大要素」

『PLoS One』の研究では、姿勢と印象の関係について、次の3つを挙げている。

【1】背中が丸まっていると、「老けている」あるいは「自信がない」ように見える。

【2】肩が内側に入っていると、「活力がない」あるいは「疲れている」ように見える。

【3】頭が前に出ていると、「加齢による衰え」を連想させやすい。

「これら『老け見え3大要素』が明らかになり、相手に与える第一印象や、自己肯定感の低下にもつながると結論づけています」

老け見えだけではない「背中の丸まり」の悪影響

 整形外科や老年医学の領域では、後弯の度合いや骨盤の傾きを、加齢評価やリスク予測の指標のひとつにしているという。

「後弯の度合い(後弯角)が大きい人ほど、老化が進んで見えること、さらに後育が進むと日常生活の自立度ならびにQOL(Quality of life = 生活の質)が低下する――この事実が判明しているからです」

 つまり、背中が丸まっているのを放置するということは老けて見えるだけでなく、いずれ、健康や生活の質にも悪影響を及ぼす可能性があるということなのだ。

腰が曲がることへの対策はできる

 加齢と腰椎の後弯は相関関係で、腰椎後弯が進むと骨盤が後傾しやすくなり、いっそう背中が丸まって見えるようになることも明らかになっているという。野尻さんは腰が曲がるのは、何も策を講じないことを前提とすれば「仕方がない」ことだという。

「背中ができるだけ丸まらないことを意識し、それを実現するために手を尽くしていけば、背中の丸まりが始まる年齢を遅らせたり、丸まるスピードを鈍らせたり、丸まる度合いを低減させたりすることができるということです」

 大正時代末期(1920年代前半)には、男女ともに42~43歳だった日本人の平均寿命は、1955年には男性63.60歳、女性67.75歳まで伸び、2020年には男性81.64歳、女性87.74歳と大正時代の倍と言えるほどまでになっている。2040年には男性83.27歳、女性89.63歳になるという予想もある。

 これを踏まえて、「今は100歳まで生きることを想定して、人生をプランニングしなければならない」と野尻さん。

「そのためには、丸まった背中を放っておいていいわけがありませんし、そうならないための努力が必要になります」

まずは自分の背中レベルを知ることから

「脊柱後弯とひと口にいっても、その状態は十人十色です。 すぐに改善できるレベルの人もいれば、手術をしなければならないレベルの人もいます。これらを、一律に扱うわけにはいきません」

 そう話す野尻さんは、背中レベルを測る医学的に明確な基準が確立されていないことから、独自に設けた3段階の基準とチェック方法について教えてくれた。質問に答えて、自分の背中レベルを確認しよう。

《背中の丸まりチェック》

【1】~【10】の設問で当てはまるものに○をつけ、合計点でレベルを診断する。

【1】うつぶせになるのが大変だ。

【2】周囲の人から「姿勢が悪くなった」と言われることがある。

【3】立ったり歩いたりしていて、前につんのめりそうになることがある。

【4】壁に背中とお尻をつけて立ったとき、頭が壁につかない。

【5】椅子に座ったときに、背もたれに背をつけられない(寄りかかることができない)。

【6】空を見上げるのがつらい。

【7】歩いていると、だんだん腰やお尻が重くなってきて、休憩をとりたくなる。

【8】気がつくと背中側で手を組んでいることがある。

【9】5分以上立っているのがつらい。

【10】若いころと比べて、身長が2cm以上縮んだ。

《3点以下》背中レベル【グリーン】背中の丸まりはなし、もしくは軽度

 現状維持でも大きな問題はないが、将来を見据えた予防対策を推奨。

《4~7点》背中レベル【イエロー】中度

 そのままにしておくと重度に移行し、健康被害のリスク増加と、それにともなう健康寿命の短縮をまねく可能性がある。対策を行うとともに、医療機関を受診するのがベター。

《8点以上》背中レベル【レッド】重度

 すぐに医療機関を受診する必要あり。 手術も視野に入れつつ、専門医に相談して治療に臨むことが求められる。

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