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要介護5になってからの寿命は…要介護5の親を自宅介護した体験を春やすこさんが語る

 祖先の霊を供養するお盆。彼女は今年、3年前の6月23日に亡くなった父(享年81)と、この7月23日に亡くなった母(享年80)のことを偲んで墓参りをした。

「お母さんの初盆は、四十九日を終えてからになるので来年になります。ですから、今回はお父さんの眠っている奈良のお墓へ行って、お母さんが亡くなったこと、そして“今度お墓に入るから仲よくしてね”と伝えてきたんです」

 そう言って寂しい笑顔を見せるのは漫才コンビ『春やすこ・けいこ』の春やすこさん(55才)。

 1990年に外国車の輸入・販売会社を経営する夫と結婚し、2人の子供(長女・25才、長男・24才)を出産してからは、仕事をセーブしていたが、近年はNHKの連続テレビ小説『カーネーション』や『あさが来た』などに出演している。

 その彼女は、10年以上にわたって両親の在宅介護と向き合ってきた。

 2003年、3階建ての一戸建てを建てる際、脳梗塞の後遺症で右半身が不自由だった父と、70代に入る前に、肺気腫による慢性呼吸不全となり、酸素ボンベが手放せない母との同居を決意。

 その後2010年に、父が階段から転落して寝たきりに。また母も2012年に自転車で転倒し、大腿骨を骨折。人工関節を入れる手術を受ける過程で、腎臓も悪くなって、人工透析も受けなければいけなくなった。さらに食事ができなくなり、直接胃に栄養を入れる胃ろうの措置も受けていた。

 そんな要介護5の両親を自宅で看る日々は、ゆっくりと幕を下ろした。

要介護5の父を自宅介護した実体験「早よ死んでくれたら…」

「一戸建ての家を建てたときに、息子が“おじいちゃん、おばあちゃんが心配やから一緒に住んだら”と言うてくれて、夫も何の抵抗もなく“そうやな!”と賛同してくれて、両親との同居が始まったんです。

 3階建ての1階に両親、2階がリビングとキッチンで、私たち夫婦と子供が3階で暮らしてました。

 母が足を骨折する4年前まで、父の面倒や介護は母が中心で、私は補助的な役目だったんです。母は最期まで自分でトイレができていましたが、骨折してからは、父の介護、それは下の世話に至るまで私がメーンとなりました」(春さん・以下「」内同)

3時間ごとのおむつ替えも

 毎朝6時に起床していた春の一日は、父のおむつ替えから始まった。それが終わると家族全員の食事作り。寝たままだと誤嚥のおそれがあるため、まずは父をベッドから車椅子に移さなければならない。朝食後は両親の着替えを手伝い、再びベッドへ移す。これは毎食時、1日3回繰り返さなくてはいけなかった。その後も片づけに洗濯、そして休むことなく、11時半には昼食作りが、夕方5時頃には夕食の準備が始まった。

「朝、昼はそんな大変なことはしません。朝はフレンチトーストとスープとサラダだったり、昼もうどんやったり焼きそばやったりなんで。夜はしっかりと食べさせました。だいたいお魚とほうれん草と、あと野菜をちょっと炒めたものと、冷や奴など、4品くらい出します。量が食べられるようにいろいろ工夫しながらやってました」

 その間も、3時間おきにおむつ替え。夫は仕事で家を空けることが多く、それらはすべて春がひとりで行っていた。

「息子は車椅子に乗せてくれたり、娘は両親の部屋に行って長い間話し相手になってくれたり、私にはできない“介護”をしてくれていました」

うんちは1日2回、下の世話は休む間もない…

「ただ、やっぱり下の世話は私が。これから伸びていく若い子に、年寄りのお尻のことはさせたくないなっていうのがありましたから…。うんちは1日2回はしはりました。うんちの後は、お尻をきれいに拭くから刺激されちゃうのか、替えた後にまたすぐうんちをしちゃうこともある。本当に休む間もありませんでした。

 でも真面目にやろうと思ったら、夜中もおむつ替えをしなくちゃいけません。そこまでしたらこっちがくたびれちゃうので、要領ですね。最初はおむつの下に、尿取りパッドを2枚敷いていたんですが、横からおしっこが漏れちゃうんです。ほんで尿取りパッドをおちんちんに巻いて挟んだんですよ。そうしたら、漏れへんようになって。それからは夜12時に替えたら、朝6時までは私もしっかり寝かせてもらってました」

 この“要領”を覚えるまでがいちばんしんどい時期だった。父親は身長174cmで体重70kg。春自身も腰を痛めて動けなくなり、10日で3kgも体重が落ちたこともあったという。

「その時、父に向かって“あんたなんか早よ死んでくれたら楽になるのに!”と言ってしまったことがありました。

 あれはきれいに拭いてやろうと思ってお尻をゴシゴシ拭いていた時ですね。お年寄りって肌が薄くなっているじゃないですか。それで“痛い! 痛い!”とうるさくって。私の言葉に、父は悲しそうな顔をしてましたけど、“はぁはぁ”って言うて。私やったから許してくれはったんやと思います。ただ、それは私のいちばんの後悔です」

施設に預けることも考えたが…

 もちろん施設に預けることも考えた。しかし両親は嫌がり、何より費用の折り合いがつかなかった。在宅であれば、両親の年金を合わせて月15万円でやりくりできたが、施設だと安いところでも1人10万円以上かかってしまう。「とても無理だった」と春は言う。

父は要介護5、母は要介護4…公的サービスを利用

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この記事へのみんなのコメント

  • インパルス

    特養勤務です 介護は勉強していないと身体的・精神的にも難しいと思います デイサービス、ショートステイなど使えるものは最大限使った方が良いと思います 特養であれば料金も家計を圧迫するほどかからないと思うし

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