痛風の原因になる【尿酸値対策】「水分補給は1日5回に分けて1L」「飲酒時はチェイサーを」など日常生活で気を付けたい4か条
足などの関節に激痛が走る痛風は、尿酸値が上がるにつれて発症のリスクが高まる。尿酸値を抑えるには食事に含まれるプリン体の摂取に注意が必要だが、しっかりルールを守ればアルコールを楽しむことも可能だという。尿酸値を下げるための秘訣を名医に教えてもらった。
教えてくれた人
秋津壽男さん/秋津医院院長
飲食そのままで数値を下げる「水分補給法」と「お風呂の入り方」
厚生労働省の調査(2022年)によると、痛風の治療で通院する患者は約130万6000人。痛風の原因となる高尿酸血症の患者数はその10倍となる約1300万人と推定されている。
病気の判断基準となるのが尿酸値だ。
“スーパー町医者”として多数のメディア出演をこなし、長年にわたり地域医療に従事してきた秋津医院院長の秋津壽男さんが語る。
「血中濃度が7.0mg/dLを超えると高尿酸血症と診断されます。自覚症状がなく、進行すると尿酸が関節などに溜まり痛風を引き起こす。腎臓、尿管、膀胱などに石(尿酸の結晶)ができて激痛を引き起こす尿路結石の原因にもなります」
尿酸値はアルコールの摂取で上がりやすいとされてきた。それゆえ尿酸値を下げるために酒を控える人も多いが、秋津さんはこう話す。
「尿酸のもとになるプリン体は7〜8割が体内でつくられ、飲食からの影響は2〜3割程度。酒を飲まなければ直ちに尿酸値が下がる、というわけではありません」(以下、秋津さん)
最も楽な尿酸値対策は、血中濃度を薄めるための水分補給だという。
「汗をかきにくい冬は水分が不足しやすいため、尿酸値が高めの人は、冬こそこまめな水分補給が大事です。目安は1日2L。1日の食事で約1L分の水分が摂れるので、残りの1Lを意識して飲む必要があります。コップ1杯(200cc)の水分を5回に分けて飲むことを意識しましょう」
ビールもポイントをおさえれば飲み続けることができると秋津さん。
「プリン体の含有量が多いと言われるビールも、過度に神経質になる必要はありません。気をつけたいのはプリン体が比較的少ないビールを選ぶこと。黒ビールなど麦芽使用量が多いものはプリン体が多く含まれ、飲み口の軽いビールは少ない傾向があります。できれば後者を選ぶようにしましょう」
食生活だけでなく、「ストレス」も尿酸値上昇の要因になる。
「緊張状態や興奮時に分泌されるアドレナリンには血管を収縮させる働きがあり、尿をつくる腎臓の働きが低下することで尿酸が体内に溜まっていくと考えられています。尿酸値の改善には、日ごろからストレスの解消も心がけたい。手軽なのは、40℃以下のぬるま湯に10分程度浸かる入浴法です。副交感神経が優位になりリラックスできます」
日常生活の僅かな工夫で数値を下げるーーそんな生活は夢ではない。
尿酸値を下げる日常生活4か条
【1】水分補給は1日5回
冬場は水分補給を怠りがちなので、コップ1杯(200cc)の水分を5回に分けて(計1L以上)飲むのが理想的
【2】飲酒時はチェイサーを
アルコールによる脱水で尿酸値が上がるのを防ぐため、お酒を飲む時は必ずチェイサーを用意
【3】ストレスを解消する
尿酸値と深い関わりがあるとされるのがストレス。40℃以下のお湯で半身浴をするなど、自律神経の乱れを整える
【4】激しい運動をしない
過度なトレーニングや運動は逆効果。ウォーキングやサイクリングなど軽い有酸素運動を、毎日続けることが好ましい
イラスト/河南好美
※週刊ポスト2025年1月17・24日号
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