《芸能界から介護職に転職》「ミスマガジン2003」同期の岩佐真悠子さん&西田美歩さん「介護職は笑顔になってもらう仕事」「家事スキルも上がり、若くいられる」
芸能界から介護の世界へ飛び込んだ、岩佐真悠子さんと西田美歩さんは『ミスマガジン2003』の同期。華やかな世界から転職した2人だが、12月14日に開催された「芸能界から介護職へ」をテーマとした特別イベントで繰り広げたトークでは、「介護の仕事が楽しい」と語っている。深刻な人材不足に直面する介護業界において、2人が見いだした仕事の醍醐味とは?
「介護職は家事スキルが上がり、若くいられる」仕事
2017年の結婚をきっかけに、芸能活動と並行してリハビリ型デイサービスと訪問介護でヘルパーとして勤務を始めた西田さん。親友の西田さんの影響で、岩佐さんも2020年に芸能界を引退し、介護の道へと進んだ。
岩佐真悠子(以下、岩佐):介護と聞くとおむつを替えたりといったイメージが強かったのですが、それはあくまで一部であって、利用者さんに声をかけて笑顔になってもらうことが仕事なのかなと思っています。
西田美歩(以下、西田):介護の世界は、トラブルや低賃金など、暗いニュースをよく聞きますが、それはほんの一部で、実際に介護施設に入って働いてみると、明るい職場が多いです。利用者さんと一緒に過ごしながら、生きがいや楽しみを私たちが少しでも引き出して共有したい。豊かに笑顔で暮らすお手伝いをして、利用者さんにもよかったなと思っていただけたらいいですね。
岩佐:介護の世界で何度か転職をしているのですが、訪問介護の仕事をしていたときは、利用者さんの自宅に訪問して買い物をしたり、食事を作ったりしていました。でも最初は味の好みがわからないから、「私の好みでいいですか?」なんて言ってヒヤヒヤしたりもしましたけど、色々と挑戦できるから自分の家事スキルも上がるんですよね。
西田:そうそう、逆に教わることも多いんです。38歳の私にとっては人生の先輩方で、何かを聞くと答えてくださるかたがたくさんいます。人生経験を重ねてきた80代、90代の利用者さんに日常のちょっとした悩みを相談することもありますし、本当に教えられていることが多いなと実感しますね。
岩佐:それに、介護の仕事は、勉強したことと目の前にいる人が絶対に同じとは限らないので、日々さまざまなことを実際に体験したり、もっと勉強量を増やしたりします。学びながら自分をアップデートし続けられることも、なんだか若くいられることに繋がりそうだなと思います。
西田:利用者さんは一人ひとり個性があるので、いろんなことを知っておかないと、対応できずにテンパったり、こうしておけばよかったなと後悔したりするもんね。私は今年、認知症ケア専門士という資格の勉強をして、認知症についてよく深く知ることができましたし、実際に現場で活かせることがたくさんありました。自分でアレンジしながらケアを向上できるので、たしかに若くいられることにつながるかも。
“手伝いすぎない”サポートで人生を豊かに
岩佐:私は介護の仕事で利用者さんのお世話をしているという感覚は全然なくて、日常のちょっとしたお手伝いをさせてもらっているような気持ちなんです。「申し訳ない」と言う利用者さんもいるけれど、させてもらってありがとうございますと思っています。お給料もいただいてますし(笑い)、西田が言うように、一緒に時間を共有することで、楽しいことを教わる機会もたくさんありますしね。
西田:私たちがお手伝いさせていただくことで、利用者のみなさんが少しでも好きなことができて、人生が豊かになることにつながればいいなと思うんです。ちょっと体が動きにくくなると、生きがいややる気がだんだんとなくなって、暗いことばかり考える人も多い。だからこそ、たとえば野球観戦が好きな人だったら、また行けるようになるまでにグッズを買ったり、リハビリを頑張ったりと、人生を最後まで楽しく過ごしていただけるようにサポートさせていただく、とてもいい仕事だなと感じます。
岩佐:お手伝いも、やりすぎないことが大切なんですよね。たとえば、手先が動きにくくなって服のボタンがつけにくいとしても、全部介護士がするのではなくて、半分は自分でやってみましょうとか。利用者さんは時間をかければできるのに、甘えてしまってやらなくなると、さらにできなくなってしまう。
西田:私もやりすぎないことには気をつけています。本人のやる気や、今やってみようと思った気持ちを失ってしまうし、実際にやればリハビリになるのに、ということも多いんですよね。手伝いすぎないことも大事だなと感じます。
岩佐:施設にいると「家に帰りたい」とおっしゃる利用者さんもいます。介護業界では“不穏”(落ち着きがなく興奮状態になったり、急に攻撃的になったりする状態)と言いますが、そうなってしまうのは、介護にあたっている職員が忙しくてピリピリしているときが多いように感じています。