高齢者の感染対策に気になる冬家電の選び方「加湿器はスチーム式か気化式を、空気清浄機はフィルターの精度が鍵」【家電のプロが解説】
インフルエンザなど感染症が猛威を振るう冬場。なるべく菌やウイルスを家に持ち込みたくないもの。そこで注目したいのが冬に活用したい加湿器などの家電だ。高齢者にとって使いやすいものとは? 家電ライターの田中真紀子さんに、ウイルス対策におすすめの機種や選び方を教えてもらった。
教えてくれた人
田中真紀子さん / 家電ライター
家電ライター/家電を生活者目線で分析し、雑誌やウェブで紹介する家電のスペシャリスト。特に白物家電・美容家電に詳しい。自宅には最新家電を中心に200以上を所有し、年間300以上の記事執筆・監修に携わる。テレビ・ラジオにも多数出演。公式HP https://makiko-beautifullife.com/
冬のウイルス対策に活用したい家電とは?
冬場の染症対策に活用する家電といえば、空気清浄機を思い浮かべるかもしれない。だが、田中さんは、「加湿器や除菌脱臭機こそ、ウイルス対策として期待ができます」と話す。
「ウイルス対策としてまず重要なのは、乾燥を防ぐこと。一般的に、ウイルスは湿度が40%を下回ると活性化しやすくなり、空気が乾燥していると浮遊時間が長くなるともいわれています。
また、菌やウイルスを防御するには、喉や鼻の粘膜の乾燥にも注意したいところ。冬場の乾燥するシーズンは、加湿器を活用して部屋の湿度を40%~60%に保つことが大切とされています」(田中さん・以下同)
加湿器を選ぶならスチーム式か気化式がおすすめ
シニア世代が加湿器を選ぶ場合は、どんな点に気をつけたらよいのだろうか。
「加湿器には大きく分けて、気化式、スチーム式、超音波式があります。この中でも、シニア世代にはスチーム式または気化式がおすすめです」
その理由を以下で解説いただいた。
気化式「粒子が細かく電気代もかかりにくい」
「気化式は、菌などがフィルターで濾過されるほか、加湿器から放出される水の粒子がもっとも細かいため、水の粒子に付着して菌やウイルスが運ばれる危険性が低いとされています。
また、電気を使わず水分の蒸発で空気を潤わせるため、電気代がかりにくいというメリットもあります」
スチーム式「殺菌作用は期待できるが、高温に注意」
「スチーム式は、お湯を沸騰させた蒸気を利用して加湿するため、殺菌作用があります。菌対策としてはもっとも安心ですが、一方で熱湯を扱うため、転倒時や湯気による火傷をしないための対策や機能がついているものを選びましょう」
超音波式は「マメなお手入れが必須」
「超音波式は、振動で水を細かく砕き、ミストにして噴出します。しかし、このミストに菌が混入した場合、そのまま空気中に広がってしまう可能性も。菌が繁殖しないよう、こまめにタンクのお手入れができればよいのですが、なかなか手間がかかるもの。お手入れに自信がない場合は、超音波式は避けたほうが安心です」
いずれの機種もタンクの清掃は必須だが、特に超音波式は注意したい。
菌やウイルスを不活化する「除菌脱臭機」もおすすめ
ウイルス対策には「除菌脱臭機もおすすめ」だと、田中さん。
「除菌脱臭機の中には、オゾンや光触媒、次亜塩素酸などを利用して、菌やウイルスを不活化する働きがあるものもあります。
空気中に浮遊する菌やウイルスを酸化分解することで、無害化し、除菌できるほか、ニオイの元となる物質に作用して、脱臭することも可能です」
また、除菌脱臭機を選ぶ際には、安全性もポイントに。
「除菌脱臭機のうち、オゾンや次亜塩素酸を使用したものは、一時的にニオイが気になる場合があります。また、オゾンは濃度が上がると危険性が高くなる成分でもありますので、安全性が保証されているか確認してから購入するようにしてください」
→介護中の気になるニオイに役立つ家電「空間の消臭には“脱臭機”、アレルゲンには“空気清浄機”。使い分けが大切」【家電のプロが解説】
空気清浄機は「フィルターの精度や微粒子の大きさがポイント」
ウイルス対策で空気清浄機を選ぶなら、捕集できる微粒子の大きさをチェックしておきたい。
「ほとんどの空気清浄機に搭載されているフィルターは、0.3μm(マイクロメーター)までの微粒子を99.97%除去できるHEPAフィルターと呼ばれるタイプが一般的。
それに対し、ウイルスの大きさは0.1μm以下とされていますので、理論上では取り除くことができません。こちらも理論上の話ですが、ウイルス対策を期待するなら、0.1μm以下のウイルスを取り除ける機能を搭載したタイプを選びましょう。
空気清浄機の中には、加湿機能を兼ねたタイプもあります。その場合、加湿ユニットのお手入れが面倒でないかも確認してくださいね。いくら技術面で優れていても、手間がかかり継続して使えなければ宝の持ち腐れになってしまいます」