フィットネスクラブと大学が共同開発したゲーム感覚の脳活性化プログラム|参加者の認知機能数値に変化が!
計算力・記憶力・思考力などを養う「脳トレ」。計算問題、漢字問題、体操など脳を鍛える方法はさまざまあるが、高齢者でも日常生活で楽しみながら取り組める内容が効果的だ。今回は、脳トレの要素を取り入れたゲーム感覚で取り組める脳活性化プログラム「iトレ」を解説する。
65才以上の高齢者の4人に1人が認知症に
厚生労働省の推計によると65才以上の高齢者の4人に1人は、認知症、またはその予備軍と言われており、誰もがなる可能性のある病気だ。
たとえ認知症でなかったとしても、年齢を重ねれば脳の機能は低下し、友人の名前を忘れる、忘れ物が多くなるなど記憶力や判断力、注意力が散漫気味に…。万が一悪化すると、仕事や生活に支障をきたすことも考えられる。
デイサービスや介護施設などで認知症の予防や認知機能の維持・向上を目的に脳を活性化させるトレーニングやレクリエーションの導入が進む中、フィットネスクラブ・テニスクラブ・キッズスイミングスクールを運営するCOSPAウエルネスが提供している脳活性化プログラム「iトレ」を行った参加者を分析したところ、参加前後で、認知機能スコアが上昇したという結果が出たという。
ゲーム感覚でできる脳活性化プログラム「iトレ」
COSPAウエルネスは大阪大学大学院医学系研究科との共同研究で、脳活性化プログラム「iトレ」を開発。2021年から自社のフィットネスクラブや関⻄圏の⾃治体において介護予防事業として実施。認知症の治療を受けている人や認知症の兆候がある人を対象に開催した実績もある。
「iトレ」は、モーションセンサーを使ったゲーム感覚で楽しめる運動と、頭と身体も鍛えるデュアルタスクトレーニングを組み合わせたフィットネス業界初のオリジナルプログラムだ。“目の動き”を利用して認知機能を評価する「アイトラッキング式認知機能評価」によって、参加前と後での効果を実感できる内容となっている。では、実際にどのような効果があるか見てみよう。
京都府京田辺市での認知症予防教室に参加した38名を測定したところ、認知スコアの上昇が確認された。
2020年~2023年にプログラムに参加した255名の測定結果では、認知機能が維持または向上している傾向が見られ、特に記憶、判断力のスコアがアップしていることが分かった。
【参加者の声】
●日常は自分の好みの運動しかしないが、他の運動が大切だとわかった
●自宅でストレッチするのが当たり前になった
●目新しいものばかりで初めての体験が楽しかった
●ゲームが身体を動かしたり頭を使ったり、とても有意義な時間だった
●認知機能のレベルがこんなに簡単に測定できて驚きました
●自分の認知機能レベルがわかって、不安が解消されました
ゲームやトレーニングで老後の生活の質を向上させよう
今後も自治体と並行して、介護事業者(介護⽼⼈施設、デイサービス、デイケアなど)などでも、「iトレ」の開催を進める予定だという。
認知機能を向上させるトレーニングやゲームはさまざまある。「物忘れが増えた」「もしかして認知症かも?」と不安に感じたら、認知機能の維持や回復を目的としたトレーニングに挑戦するなどして、QOL(生活の質)が下がらないように注意してほしい。
【データ】
COSPAウエルネス
https://www.cospa-wellness.co.jp/
※COSPAウエルネスの発表したプレスリリース(2024年8月30日)を元に記事を作成。
図表/COSPAウエルネス提供 構成・文/松藤浩一
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