介護事業者の倒産が急増過去最多に!今年8月までに114件で過去最多を大幅に上回るペース 東京商工リサーチ調べ
2024年の1-8月における介護事業者の倒産件数が過去最多に達した。東京商工リサーチによれば、今年1月から8月までに全国で114件が倒産し、これは2000年以降、上半期として過去最多だという。背景には、売上不振や人手不足、光熱費の高騰があり、介護業界は厳しい状況に直面している。
売上不振と倒産件数が過去最多に
2024年1月~8月の倒産件数114件は、前年同期から44.3%増加し、過去最多だった2020年の85件を大きく超えた。特に訪問介護が55件と多く、デイサービスや短期入所が35件、有料老人ホームが11件と、各分野で倒産が相次いだ。 倒産した事業者の約8割が売上不振を理由に挙げており、人手不足や光熱費の高騰がその背景とされる。介護報酬だけでは売上が追いつかず、事業者はコスト増大に対応しきれずに倒産へと追い込まれている。 東京商工リサーチは、「訪問介護やデイサービスの倒産が顕著で、今後も歯止めがかからない」と警告している。
介護報酬改定が追い打ち サービス休止の事例も
倒産を免れた事業者も、経営悪化により一部のサービスを休止している。NHKの報道によれば、神奈川県厚木市のデイサービスでは、利用者が増加しているにもかかわらず、毎月の人件費や光熱費が増加し、経営が悪化。さらに、国の介護報酬改定で通所型サービスの報酬が見直された結果、収入の減収が見込まれ、介護度が低い「要支援」の利用者の受け入れを休止せざるを得なくなったという。 この結果、従来通っていた高齢者がサービスを受けられなくなる事態が広がっている。
今後の課題は国と自治体の迅速な対応
小規模な事業者が、個別の努力で経営難を乗り越えるのは難しいのは明らかだ。今後は、介護サービスの提供体制を維持するため、国による介護報酬の柔軟な見直しや、自治体が社会福祉協議会などと連携して公設サービスを拡充するなど、国や自治体の対応が不可欠だと言えるだろう。
構成・文/介護ポストセブン編集部