ユニット型特養の建設費、過去最高を更新 物価高騰が直撃、保育所や病院にも影響
独立行政法人・福祉医療機構の調査で、2023年度、ユニット型特別養護老人ホーム(特養)の建設費が過去最高を記録したことが明らかになった。平米単価は34万円を超え、2008年度の調査開始以来の最高額となった。この急激な上昇は、近年の物価高騰が大きな要因となっている。
特養の建設費が急上昇、福祉医療機構の調査結果
ユニット型特養は「新型特養」とも呼ばれ、プライベートスペースとして個室を持ちつつも、10人程度を「ユニット」とするグループに分けて介護サービスを提供する施設のことだ。
特養の建設費は2012年度から一貫して上昇し続けており、その傾向は止まる気配がない。直近の建築資材や人件費の高騰が、この現象をさらに加速させている。
保育所・病院も建設費が上昇、経営に打撃
ユニット型特養だけでなく、保育所や病院も同様に建設費が上昇している。2023年度の保育所と認定こども園の平米単価は42.8万円、病院では41.1万円と、それぞれ過去最高を記録。保育所に関しては、ここ10年間で平米単価が約1.4倍に増加しており、その負担は事業者にとって大きなものとなっている。
こうした状況は、特に中小規模の福祉・医療施設にとって深刻な経営リスクをもたらしている。建設費の高騰は、施設整備にかかるコストを押し上げ、事業の継続に対する不安を増幅させる要因となっている。
未来への不安、建設費高騰の行方は?
今後も福祉・医療施設の建設費が大幅に低下する可能性は低いだろう。むしろ、物価高騰が続く中で、さらなるコストの上昇が懸念されている。施設の新設や改築を計画する事業者は、建設費の予算オーバーや工期の遅延といったリスクをあらかじめ考慮し、慎重に資金計画を立てる必要に迫られている。
福祉医療機構の調査が示すように、物価の高騰は福祉・医療分野における経営環境を一層厳しくしている。このような状況下で、事業者はより効率的なコスト管理と建設計画の策定が求められており、従来の方法では対応が難しい時代に突入しているといえる。新たな資金調達方法やコスト削減策の検討が、今後の重要な課題となるだろう。
構成・文/介護ポストセブン編集部