腸を劇的に若返らせる食べ方・生活習慣・運動ワザ|腸内年齢のチェックリスト
腸内細菌は私たちが食べたものをエサにして増減する。それゆえ、腸内フローラを整えるには日々の食事がカギとなる。以下、腸内年齢を若返らせる食事法について見ていこう。
(1)発酵食品で善玉菌を増やす
「みそやぬかづけなどの発酵食品は、生きたこうじ菌や乳酸菌を体に取り込んで、善玉菌を増やすので積極的に摂取したい。一方で食パンなどの糖質や肉などの動物性脂肪が多い食品は、食事のあと血糖値が異常に高くなる『食後高血糖』や、体内の炎症を強めるので控えめにして」(佐古田さん)
(2)水溶性・不溶性植物繊維で老廃物を排出
食物繊維を含む食材も欠かせない。
「穀類やごぼうなど、水に溶けにくい食物繊維を含む食材は腸の蠕動運動を活性化して排便を促し、体内から毒素や老廃物を取り除きます。海藻やいも類などの水に溶けやすい食物繊維は善玉菌のエサになります。白米よりも玄米、精製された白いパンより全粒粉天然酵母パンがおすすめです」(佐古田さん)
小林さんは「ダイエットや偏った食事に注意してほしい」とアドバイスする
(3)朝はコップ1杯の水で腸を目覚めさせる
「小腸の内壁には、栄養を吸収する『絨毛(じゅうもう)』という突起があります。食事を抜くダイエットや“ヨーグルトだけ食べる”といった偏食をすると、絨毛の数が少なくなり、栄養を吸収する能力が低下し、腸内環境の悪化につながる。特に朝食は一日の腸の動きを決めるキーポイント。朝起きたら腸を目覚めさせるためにコップ1杯の水を飲み、朝食を食べて、腸を動かしましょう」(小林さん)
腸内年齢のチェックリストのQ12で「朝食は食べないことが多い」にチェックした人は要注意だ。
(4)「野菜くずスープ」で老化を防ぐ
とはいえ、ゆっくり食事を取るのは難しい。そんな忙しい現代人に、佐古田さんは「野菜くずスープ」をすすめる。
「作り方は、玉ねぎや里いもの皮、にんじんや大根のへた、しいたけの軸など、通常は捨ててしまう野菜の“くず”を細かく刻んで20~30分間煮込みます。この時、煮立たせるとえぐ味が出るので、弱火でゆっくり煮てください。野菜くずを濾して取り除き、冷蔵庫にストックしておけば1週間は持ちます。これを使って、みそ汁や野菜スープを作ると、野菜に含まれる物質『ファイトケミカル』が摂取できる。病気や老化の原因となる『活性酵素』を除去してくれます」
従来、野菜は加熱するとビタミンが失われるといわれてきたが、適度に加熱するとファイトケミカルが引き出されるという。しかし、電子レンジで温めるとマイクロ波でファイトケミカルが損なわれるため、レンチンはNGだ。栄養価の高いスープから一日を始めれば、その後も“快腸”に過ごせるはずだ。
ご長寿の腸内には「ポリアミン」が
近年、腸の若返りを促進するとして注目されているのが「奇跡の物質」と呼ばれる「ポリアミン」だ。協同乳業研究所・技術開発グループ主幹研究員の松本光晴さんが解説する。
「ポリアミンは細胞を健康に保つ働きのある物質で、誰もが細胞内で作っていますが、加齢とともに減少します。ポリアミンには炎症を抑える『抗炎症作用』と、古くなった細胞内のゴミを処理して細胞をきれいに保つ『オートファジー』を誘導する働きなどがあり、血管を若々しくしなやかに保ち動脈硬化を防ぐことが期待されています」
血管の壁にコレステロールなどが付着してしなやかさを失う動脈硬化は、心筋梗塞や脳卒中を引き起こす要因となる。長寿の人ほど、ポリアミンが多いこともわかっている。
「実際、百寿者(ひゃくじゅしゃ)(100才以上の人)の血中ポリアミン濃度を調べたところ、60~80代の平均より大幅に高かったという研究報告があります」(松本さん)
かつて、松本さんがテレビの企画で、ご長寿双子として有名なきんさんぎんさんの蟹江ぎんさん(2001年逝去、享年108)の五女・蟹江美根代さん(2018年逝去、享年95)の便を調べたところ、ポリアミンの一種である『スペルミジン』が全世代平均の2倍もあって驚いたという。
(5)食事からポリアミンを取り入れる
「加齢とともに減少するポリアミンを増やすには、2通りの方法があります。1つは、ポリアミンを多く含む食材を摂取する。大豆、ブロッコリー、ナチュラルチーズ、貝類などにポリアミンは多く含まれます。しかし、小腸で吸収されて利用されるので継続して食べる必要があります」(松本さん)
(6)ヨーグルトで腸内細菌にポリアミンを作らせる
もう1つは、腸内細菌に「作らせる」方法だ。
「特定のビフィズス菌とアミノ酸の入ったヨーグルトを摂取すると、腸内細菌がポリアミンを生成し、それが腸から吸収されます。腸内細菌は条件さえ整えばポリアミンを作り続けるので、少ない頻度の摂取で大きな効果が期待できるでしょう」(松本さん)
腸をもんで病気知らずになる
食事以外の生活習慣も腸の若返りに直結する。まず行いたいのが、「腸を温める」ことだ。日本養腸セラピー協会会長の真野わかさんが説明する。
「小腸は体の中で最も長い臓器で、伸ばすと6~7mになります。そこに、毛細血管が走り、大量の血液が流れています。小腸の血液循環が悪いと大腸や子宮、卵巣など周囲の臓器も冷えてしまいます。体温が1度下がると人間の免疫機能は30%も低下するといわれていますから、病気を防ぐには、腸を温めることが鉄則です」
体を冷やさないため、日頃から運動や入浴を心がけたい。
(7)“ながら足踏み”で腸腰筋を動かす
「上げた方のひざを90度曲げてその場で足踏みすると、大腿骨と腰椎を結ぶ『腸腰筋』という筋肉が動いて、腸の活動を活性化させます。脚をできるだけゆっくり上げてゆっくり下ろすのがコツで、歯磨き中やテレビを見ている時に、“ながら”でやるだけで効果があります」(真野さん)
(8)寝そべって腸を上げる
寝たままでもいい。
「もっと簡単なのは、あお向けに寝た状態でお尻を腰から浮かせて腸を引き上げる運動です(左上イラスト参照)。腸が下がると、圧迫されて動きが鈍くなります。お尻を上げる時、腰などに痛みがある人は、お尻の下にクッションを入れて支えて」(真野さん)
(9)腸をもんでくびれを作る
おなかの上から腸を刺激する「小腸もみ」と「大腸もみ」はさらに効果大(次頁イラスト参照)。
「腸もみをすると腸が温まり代謝が上がります。お通じの改善には即効性も。おなか回りのむくみが取れるので、くびれができたり、肌つやもよくなりますよ」(真野さん)
腸年齢が若返れば、健康になるだけでなく、見た目や気持ちまで生き生きと変化する。腸内フローラを整えて、目指せチョー美人!