MCTオイル アマニ油…良質なオイルは健康に欠かせない|知っておきたいオイルの種類と健康効果一覧
スーパーのオイル売り場が拡大し、CMでも健康効果が期待できるオイルが宣伝され話題になっている。その甲斐あってか、「食用油=健康」というイメージを約7割(※)の人が持っているというが、まだまだ「油は健康に悪くて太るもの」と敬遠しがちの人も多いのではないだろうか。そこで、なぜ油が体にいいとされるのか、オイルの種類と健康効果を専門家に伺ったのでご紹介する。
(※)ウェルネス総合研究所による「食用油に関する意識・実態調査」(2024年2月2~5日、週3日以上料理を行う全国の20~60代男女1000名に実施)
教えてくれた人
井上浩義さん/慶応義塾大学医学部教授
良質な油を適切に摂ることは健康にいい
油は栄養学的には脂質といい、糖質やたんぱく質とともに人間の生命維持や身体活動に欠かせない栄養素の1つだが、年を取るほど、脂っこいものは控えがち。
ところが、そんな油の健康効果を、慶応義塾大学医学部教授で油研究の第一人者である井上浩義さんは次のように語る。
「日々、油を摂る量が少ないと私たちはエネルギー不足で疲れやすくなり、細胞膜の強度が低下し、ホルモンの分泌が正常でなくなるなどの問題が生じます。良質な油を適切に摂ることは、むしろ健康にいいんです」
注目すべき脂肪酸の種類
どんな油を摂るのがいいのだろうか?
「油の摂取による健康効果を期待する場合は、油に含まれる“脂肪酸”の種類に注目して選ぶといいですね」(井上さん・以下同)
脂肪酸というのは、炭素・水素・酸素の原子が結合した物質で、さまざまな健康効果を持つ油の構成要素の1つ。その中で、特に積極的に摂りたいのは、日本人に圧倒的に不足しているオメガ3系の油だという。
「オメガ3系脂肪酸は亜麻仁油やえごま油などに含まれ、体内に入ると約30分で消化吸収され、血液サラサラ、脳の活性化などの効果があります。DHA、EPAなどの青魚の油もオメガ3系です。オメガ3系油には脳血管性の認知症の予防効果が期待できるという研究報告があります。もう1つは、いま注目のMCTオイル(中鎖脂肪酸)です。
7~8年前に、ココナッツオイルにはアルツハイマー型認知症の予防効果があるという研究結果や、東北大学の研究では、血糖値を下げる効果が発見されています。このため、健康のために積極的に油を摂ろうという人も増えています」
知っておきたいオイルの種類と健康効果
油には複数の脂肪酸が含まれているが、健康効果は主たる脂肪酸の種類によって決まってくる。オメガ6系とオメガ9系は調理油としてよく使われるため意識せずに摂取しているが、一方で、健康効果の高いオメガ3系と中鎖脂肪酸は不足しがち。
いま使用している油がどこに分類されるかを知るとともに、期待する健康効果もチェックして、自分が摂るべき油、控えるべき油を見つけよう
不飽和脂肪酸
植物油に多く含まれ、酸化しやすい。体内では主に細胞膜やホルモンの材料になり、体にたまりにくい。
●一価不飽和脂肪酸
体内で作られる脂肪酸。悪玉コレステロール(LDL)を減らす働きが強い。多価不飽和脂肪酸に比べて酸化しにくいため、長期保存や加熱調理に向く。ただし、摂りすぎると体内にたまりやすいので注意。
・オメガ9系
代表的なのはオレイン酸で、植物油や動物性脂肪に含まれる脂肪酸。紅花油(オメガ6も含む)、オリーブオイル、菜種油、椿油などがある。
<健康効果>
悪玉コレステロールを減らす。胃酸の分泌を抑える。胃腸のぜん動運動を促し便秘解消。
・オメガ7系
代表的なのは主にパルミトレイン酸で、人の皮脂やマカデミアナッツ、ヘーゼルナッツなどのナッツ系オイルにわずかに含まれる。
<健康効果>
皮脂の量をキープして美肌&保湿。血管壁の材料になって、血管を強くし、脳血管疾患を予防する。
●多価不飽和脂肪酸
体内で作ることができないため、食事から摂る必要がある必須脂肪酸。非常に酸化しやすいため、扱いに注意が必要。
<健康効果>
抗酸化作用が高く、アンチエイジングに働き、エネルギー産生を促して脂肪を燃焼させる。
・オメガ3系
α-リノレン酸、DHA、EPAなどの脂肪酸で、日本人に不足しがち。えごま油、亜麻仁油、サンチャインチオイル、青魚などの魚油に多い。
<健康効果>
血液サラサラ効果が高い。血圧を下げ、活性酸素を除去、脳を活性化、アレルギー症状の緩和が期待できる。
・オメガ5系
ほかの植物油にはない「プニカ酸」という特殊な脂肪酸で、ポメグラネート(ざくろ)油に多く含まれる(グレープシード油にも少量含有)。
<健康効果>
抗酸化作用が高く、アンチエイジングに働き、エネルギー産生を促して脂肪を燃焼させる。
・オメガ6系
リノール酸、γ-リノレン酸などがあり、体内でアラキドン酸に変化する脂肪酸。コーン油、大豆油、綿実油、肉の脂などに含まれる。
<健康効果>
悪玉コレステロールを減らし、更年期障害などの症状緩和が期待できるが、摂りすぎると血管を傷つけ、動脈硬化を引き起こす。アレルギーやがんなどの原因に。
トランス脂肪酸
なるべく控えたい!
液体の不飽和脂肪酸に水素を加え、固形の油脂に変えたもの。保存性は高いが、体内で消化されにくく、固まりやすい。マーガリンやショートニングなどがある。
<健康効果>
悪玉コレステロールを増加させ、善玉コレステロールを減少させる。動脈硬化や肥満につながるので、控えめに。
飽和脂肪酸
一般に固形の油脂で、乳製品や肉などの動物性脂肪に多く含まれる。酸化しにくく、体内で主にエネルギーとして使われる。体に不要な分は蓄積されてしまうため、動脈硬化の原因に。
●中鎖脂肪酸
飽和脂肪酸の中では消化されやすく、体にたまりにくい。主にココナッツオイル、パームオイルなどに含まれており、精製されたものがいま注目のMCTオイル。
<健康効果>
ダイエット目的や、低栄養の人は摂るべき!
ラウリン酸には抗菌・抗炎症作用や認知症予防効果があり、オクタン酸、デカン酸には、脂肪燃焼効果が高いことがわかっている。
(※)機能性表示食品は、販売前に消費者庁に届け出ることで、機能性を表示することができる食品のこと。特定の疾病の診断、治療、予防を目的としたものではない。
注目の健康オイル
★が付いている価格は、女性セブン編集部調べ
『ニップン アマニ油効果』180g 1058円/ニップン
α-リノレン酸が豊富な亜麻仁100%。「悪玉(LDL)コレステロールを下げる」「血圧が高めの方の血圧を下げる」機能性表示食品『ニップン アマニ油効果』180g 1058円/ニップン
『日清MCTオイルHC 200g』2150円★/日清オイリオ
MCT100%。「BMIが高めの人の体脂肪や内臓脂肪、ウエストサイズを減らす」機能性表示食品
そんな需要に応えて最近は、一般的に炒め物や揚げ油として利用する油にも「酸化しにくい」「使用量も油ハネも半分」「コレステロール0」などの特長が加わった商品が増え、手軽に摂取できるようになっている。
炒め物などにも使えるオイルも進化!
『AJINOMOTO ダブルハーフ』600g 365円★/J-オイルミルズ
使用量1/2、油ハネ1/2でカラッと揚がる。
『AJINOMOTO オリーブオイルたっぷりクッキングオイル』 600g 1347円★/J-オイルミルズ
オリーブオイルの風味が楽しめるブレンドオイル。
『日清ヘルシークリア』800g 592円★/日清オイリオ
油の酸化を徹底的に抑え、鮮度長持ち、サビないオイル。
開封から3カ月以上経ったものは見直しを
「とはいえ開封後3か月以上経った油を使い続けている人も多いのですが、古くなった油は酸化しているので、使うたびに体内にサビを入れるようなものです」
この機会にふだん使っている油を見直し、健康効果を上げる油に変えませんか?
取材・文/山下和恵
※女性セブン2024年4月18日号
https://josei7.com/
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