肩こり・老眼・息切れ・不眠…不調を改善する呼吸法7つ|息苦しい、だるいは「隠れ酸欠」が原因かも
Q.肩こりがひどいんです
A.「1対2の呼吸」をしましょう
肩こりの主な原因は、ストレスによって、自律神経のバランスが悪くなり、血流が滞ること。首の頚動脈近くには副交感神経にかかわるセンサーがあり、息を吐く時に刺激される。副交感神経の活動が優位になると心身のリラックスにつながるという。
ストレスによって知らず知らずのうちに浅い呼吸になっている人に、小林さんが勧めるのがリラックス効果のある「1対2の呼吸」だ。
まず、4秒かけて鼻から息を大きく吸う。呼吸筋を大きく広げるよう、鼻呼吸を意識するのがポイント。息を吐く時は、吸う時の倍、8秒かける。腹をへこませるようにしながら口を突き出し、細く、長くを心がけよう。
Q.視力が下がってきました
A.「視力回復スースー呼吸法」で解決です
実は、疲れ目はもとより、視力の低下や老眼、近視まで、多くの視力トラブルの原因が「隠れ酸欠」だと指摘するのは前出の今野さんだ。目は視覚神経などが高度な働きをしており、非常に多くの栄養や酸素を必要とする器官。 スマホを見ている時や読書中に目がしょぼしょぼするのは酸欠によるもので、それが恒常的に続くと近視や老眼、ときには、白内障、緑内障といった大病にまで発展してしまうという。
今野さんが推奨するのは「視力回復スースー呼吸法」。
やり方は簡単。ペットボトルの底に画びょうやキリなどで3つの穴を開けて飲み口をしっかりくわえ、鼻から深く息を吸い込む。
その後、6秒以上かけて口から息を吐く。最後まで吐き切るのがコツ。1日5回から始め、慣れたら1日50回を目指そう。
心肺機能が鍛えられることで、しっかり体に酸素が取り込めるようになり、目のトラブルが回避できる。
Q.めまい・息切れが頻繁に起こります
A.「口すぼめ呼吸法」で呼吸筋力アップ
息苦しさや、めまいに悩む人は、脳脊髄液の流れをスムーズにすることが重要だと指摘するのは、南越谷健身会クリニック院長の周東寛さんだ。
脳脊髄液とは、脳から骨盤の骨である仙骨までを循環する体液で、脊髄の中にある神経の新陳代謝を促す役割がある。流れが悪くなると、自律神経が栄養不足になり、老廃物がたまって内臓の機能などが低下。頭痛やめまいの原因にもなる。
脳脊髄液の流れをよくするには「口すぼめ呼吸法」がいいという。
背筋を伸ばして立ち、リラックスして肩の力を抜く。鼻から2秒ほどで息を吸ったら、今度はロウソクの火を消すように口をすぼめ、細く息を吐き、12秒ほどかけてゆっくりと吐き切る。これを1日3回を目安に行う。勢いよく吐かないようにすること、呼吸過多により、頭痛やめまいなどが起きてしまわないよう多くても1日10回までにしておくことがポイントだ。早ければ4日目くらいから効果が感じられるという。
Q.とてもストレスを感じやすくて‥‥
A.「うちまき呼吸法」でリラックス
ストレスを感じると背中が緊張してこわばり、呼吸が浅くなる。すると、さらに緊張状態に陥ると指摘するのは、呼吸整体師の森田敦史さん。
そんな人に、ぜひ取り入れてほしいのが、体を内側に丸くする「うちまき呼吸法」だという。
下を向いて背中を丸め、肩は内側に巻く。ひざとつま先も内股ぎみに。手の甲も内側に向けよう。この状態で鼻から息をたくさん吸い込み、息を5秒止める。吐く時は口から。同時に頭を起こし、肩を開く。ひざとつま先は外股に、手のひらも外向きに開こう。
息を吸う時の姿勢は、やや猫背になるが、この体勢は酸素を最大限取り込めるので、リラックス効果が高いという。
Q.不眠症で悩んでいます
A.「丹田呼吸」を試してみて
寝付きが悪かったり、途中で目が覚めてしまう不眠は、脳の興奮が原因であることも多い。それを落ち着かせるためには下腹部に刺激を与え、意識を頭から下腹部に落とすように体に酸素を取り込む呼吸が効果的だと森田さんは言う。
仰向けに寝て、へそから指4本分下の部分にある丹田を確認する。両手の指2~3本を丹田に当て、垂直に力をかける。呼吸とともに腹を膨らませる時に5~8秒かけて鼻からゆっくり息を吸い、戻す時は10~20秒かけて口から吐いていく。わからない時は、頭を少し持ち上げると指への反発が強まり、感覚をつかみやすい。
丹田へ刺激をしながら呼吸をすると、横隔膜がきちんと動き、呼吸筋が刺激され、より深い呼吸になるので、良質の睡眠につながる。
これらのほか、東洋の知恵であるヨガの呼吸法も不調を治してくれる。
A.「片鼻呼吸法」がおすすめです
Q.高血圧状態が長引いています
ストレスや興奮状態で高血圧を招いている場合、試してみたいのが「片鼻呼吸法」。ヨガや東洋医学に詳しいスタジオローダ代表の堀井祐介さんが教えるその方法は、誰にでも試しやすい。
背筋を伸ばし、右手の親指で右の鼻を押さえ、左の鼻から息を吸う。続いて左の鼻をふさぎ、右の鼻から息を吐く。そのまま右の鼻から吸い、反対を押さえて左から吐く。その繰り返しを3~5分ほど続ける。ポイントは穏やかに吸い、穏やかに吐くこと。
ヨガの世界では、右の鼻は興奮状態を司る交感神経に、左の鼻はリラックスを司る副交感神経に影響を与えるといわれており、両方を使って呼吸をすることが自律神経の安定をはかる働きがあるという。ひいては高血圧にもいい影響が期待できるというわけだ。
Q.冷え症で悩んでいます
A.「カパラバティ呼吸法」で改善
冷え症の原因の1つ、内臓の血流不足を解消するのがヨガの呼吸の1つ、「カパラバティ呼吸法」だ。
骨盤を立てるように背筋を伸ばして座り、へその下あたりの下腹部に両手を当て、目を閉じて、鼻から一度ゆっくり深呼吸。
鼻から息を吸って、力強くお腹をへこませて、勢いで息を強く早く出す。フッフッフッフッと素早く一定のリズムで20回を15秒程度かけて。頭がくらくらしてしまう場合もあるので、妊娠中や生理中の人、持病のある人などは注意が必要だ。空腹時に1日1~2回行うのがよいという。
誰でも毎日2万回以上しているという呼吸。7色の呼吸法で驚くほどの変化を実感してほしい。
イラスト/とげとげ。
※女性セブン2019年5月2日
●腰痛、肩こり、不眠に効く「究極の呼吸術」で健康寿命を10年延ばす