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「養護老人ホーム」とは?サービス内容や費用、特養との違いをわかりやすく解説

  養護老人ホームは、環境的、経済的な事情で困窮する高齢者のための福祉施設です。この記事では、高齢者のセーフティーネットとしての役割を果たす「養護老人ホーム」の特徴や「特別養護老人ホーム」との違いを紹介します。

養護老人ホームとは

「養護老人ホーム」は、老人福祉法(※1)に基づく「老人福祉施設」のひとつです。

 生活環境や経済的な理由から、自宅での生活が難しい高齢者を受け入れ、自立した日常生活を送るための支援や社会参加への援助を行います。

 入所するには、市区町村による審査と措置判断が必要となります。

 令和4年度福祉行政報告例(※2)によると、養護老人ホームは、全国に930施設あり、その半数以上を公的機関が運営しています。

(※1)老人福祉法第20条の4

https:/www.mhlw.go.jp/web/t_doc?dataId=82111000&dataType=0&pageNo=1

(※2)令和4年度福祉行政報告例

https://www.mhlw.go.jp/toukei/saikin/hw/gyousei/22/dl/kekka_gaiyo.pdf

「養護老人ホーム」とは、環境上・経済的な理由で自宅での生活が困難な高齢者が生活を送る場所

入所要件・対象者

 原則として65才以上で、環境上・経済的な理由により居宅で養護を受けることが困難な高齢者が対象です。

 環境上の理由とは「家族や住居の状況から自宅での生活が困難であると認められる場合」です。

 経済的な理由とは「本人の属する世帯が生活保護を受けているか、市町村民税の所得割を課されていない場合など」とされています。

 上記以外にも、市区町村によって「要介護3以上は対象外」などと要介護認定の区分を要件としている場合もあります。また、65才未満であっても、市区町村の判断により例外的に入所できる場合もあります。

具体的な入所事例

・一人暮らしの高齢者

・無年金など経済的に困窮した方

・虐待を受けている高齢者

・身体的な障害をお持ちの方

・認知症や精神的な障害をお持ちの方

・ホームレスの方

・犯罪歴のある方

・賃貸住宅から立ち退きを受けた方

・ほかの法律に基づく施設に入居できない高齢者

職員の人員体制

  養護老人ホームの基本的な職員構成は、以下の通りです。

■施設長(1人)

■生活相談員(入所者30人に対して1人の配置)

■支援員(入所者15人に対して1人の配置)

■看護師(入所者100人に対して1人の配置)

■栄養士(1人以上)

■調理員(実情に応じた適当数)

■事務職員(実情に応じた適当数)

■医師(非常勤)

 入所者の生活の見守りや身の回りのお世話をする「支援員」は、入所者15人に対して1人の配置となります。夜間も常駐するので安心して過ごすことができるでしょう。

 なお、養護老人ホームは介護施設ではないため「介護職員」の配置義務はありません。

養護老人ホームのサービス内容

 養護老人ホームでは、入所者が自立した生活を送れるよう食事の提供、安否確認、生活相談といった基本的な生活支援サービスが提供されています。

 また、必要に応じて服薬管理、金銭管理、身の周りの整理、洗濯、通院の付き添いなどのサービスを受けることも可能です。施設によっては、レクリエーション、機能訓練なども行われています。

施設内における介護サービスについて

 養護老人ホームでは、介護サービスの提供はありません。

 介護が必要になった場合は、訪問介護や通所介護といった外部の介護サービスを利用することになります。

 実は、2006年まで養護老人ホームでは介護保険による介護サービスの利用が認められていませんでした。

 しかし、入所当初は自立していても、加齢や疾病により介護が必要となる入所者が増えたため、2006年の法改正により介護保険による介護サービスの利用が認められるようになりました。

介護サービスの利用方法

 介護サービスの利用方法は、入所する施設の類型によって異なります。

【1】個別契約型の養護老人ホームの場合

 在宅で暮らすのと同様に、入所者が外部の介護サービス事業所と個別に契約を結び、訪問介護や通所介護などの介護サービスが利用できる。

【2】外部サービス利用型の養護老人ホームの場合

 養護老人ホームが「特定施設生活介護」の指定を受けている場合、施設が契約する介護サービス事業者による介護サービスが受けられる。

【3】一般型の養護老人ホームの場合

「特定施設生活介護」の指定を受けている養護老人ホームと入所者本人が契約を結ぶことで、施設の職員による介護サービスが受けられる(※特養と同じ人員配置となる)

 養護老人ホームで介護サービスが利用できるようになったとはいえ、介護度が高くなったり、認知症が進行した場合などは、施設からの退去を求められることがあります。

 そのような場合は、24時間体制で手厚い介護が受けられる「特別養護老人ホーム」や「介護付き有料老人ホーム」に移ることになるでしょう。

→特別養護老人ホーム(特養)とは?費用や入居条件、申し込み方法「早く入居するコツ」も解説

環境・設備

 養護老人ホームの歴史は古く、約半数の施設が開設から50年以上経過しています。中には、建て替え済みの施設もありますが、築年数の古い施設も少なくありません。

 そのため、浴室や居室の入り口が狭く、車椅子やシルバーカーが通れない、エレベーターがないなど、バリアフリー化が進んでいない施設もあります。

 居室のタイプは、個室が増えてきているものの、全室個室の施設は全体の約半数にとどまります。

養護老人ホームにかかる費用

 養護老人ホームでかかる費用は、月額の施設利用費(負担金)のみで、入居一時金、敷金といった初期費用は必要ありません。

 負担金は39段階で定められており、入所する方の前年度の収入(公的年金など)や扶養義務者の課税状況に応じて、0〜14万円の範囲で決定されます。負担金には、サービス費、居住費、食費が含まれています。

養護老人ホームの費用例

■1年間の収入 / 負担金(月額)

・0~27万円未満 / 0円

・27万以上~100万円未満 / 1.000~49,800円

・100万以上~150万円未満 / 51,800~81,100円

・150万円以上 / 市区町村の定めた計算式により決定

参考:厚生労働省|老人保護措置費の国庫負担について

 税金や医療費、社会保険料などを控除した年収が0〜150万円未満の方の負担金は「0円から最大81,100円」となります。150万円以上の方は市区町村の定めた計算式により決定されます。

養護老人ホームのメリット・デメリット

【メリット】

・低額な費用で入居できる

・生活支援サービスが受けられる

・夜間も支援員が常駐するため緊急時も安心

【デメリット】

・自分の意思で入所できない

・介護度が重くなると退去を求められることがある

・入所する施設に個室がない場合がある

養護老人ホームと特別養護老人ホームとの違い

 介護保険施設のひとつである「特別養護老人ホーム」と「養護老人ホーム」の違いを項目ごとに解説します。

目的

■養護老人ホーム

環境上・経済的な理由により居宅で養護を受けることが困難な高齢者を養護し、社会復帰を目指す

■特別養護老人ホーム

常時介護が必要で、自宅での生活が困難な高齢者の介護と生活支援など

入所対象・条件

■養護老人ホーム

原則として65才以上

自立している

環境的、経済的な事情で困窮している

■特別養護老人ホーム

原則として65才以上(特例で40~64才)

要介護3以上

月額費用

■養護老人ホーム

月額0〜14万円

■特別養護老人ホーム

約5万~約20万円前後

サービス内容

■養護老人ホーム

食事の提供、健康管理、生活相談などの自立支援

■特別養護老人ホーム

身体介護が中心の自立支援

入所申し込み

■養護老人ホーム

市区町村に申し込む

■特別養護老人ホーム

自治体から、または施設に直接申し込む

入所の難易度

■養護老人ホーム

市区町村の審査と措置判断が必要

■特別養護老人ホーム

待機者が多く、入居までに数年かかることもある

養護老人ホーム【まとめ】

 養護老人ホームは、65才以上の方が入所できる高齢者のための福祉施設です。

 現在置かれている環境では生活が困難で、経済的にも困窮する高齢者の重要なセーフティーネットとしての役割を果たしています。

 養護老人ホームへ入所するには、市区町村による審査と措置判断が必要になります。入所を希望する方は、お住まいの市区町村の老人福祉窓口へご相談ください。

監修・執筆者

中谷ミホさん

福祉系短大を卒業後、介護職員・相談員・ケアマネジャーとして介護現場で20年活躍。現在はフリーライターとして、介護業界での経験を生かし、介護に関わる記事を多く執筆する。保有資格:介護福祉士・ケアマネジャー・社会福祉士・保育士・福祉住環境コーディネーター3級

X(旧Twitter)https://twitter.com/web19606703

●ナーシングホームとは?ケア体制や入居対象者、ほかの老人ホームとの違いを解説

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●介護老人保健施設(老健)とは?費用や入所基準、メリット・デメリットを解説【社会福祉士監修】

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