そのひと言が大事に!【妻のスイッチ】を知って家庭を円満にする方法を人気コラムニストが伝授 「要はね…」は要注意ワード
「そんなつもりじゃなかったのに…」「え、なんで怒ったの?」など、長年連れ添った夫婦でも、無自覚なまま相手を不機嫌にさせてしまうことは多々あるもの。新著「押してはいけない 妻のスイッチ」を上梓したコラムニストで大人のコミュニケーションの達人、石原壮一郎さんが数々の事例をあげて対処法の正解を教えてくれた。
教えてくれた人
石原壮一郎さん
1963(昭和38)年三重県生まれ。コラムニスト。1993年『大人養成講座』(扶桑社)がデビュー作にしてベストセラーに。以来、「大人」をキーワードに理想のコミュニケーションのあり方を追求している。『大人力検定』(文藝春秋)、『父親力検定』(岩崎書店)、『夫婦力検定』(実業之日本社)、『大人の言葉の選び方』(日本文芸社)、『無理をしない快感』(KADOKAWA)、『失礼な一言』(新潮社)など著書多数。新著は『押してはいけない 妻のスイッチ』(青春出版社)。故郷を応援する「伊勢うどん大使」「松阪市ブランド大使」も務める。
妻をイラッとさせる危険な「スイッチ」
近くて遠きは夫婦の仲。長く一緒にいても、相手のことはなかなかわかりません。まだまだ長い人生を楽しく過ごすためには、何はさておき、夫婦の仲が円満であることが大切です。しかし、夫という生き物は、しばしば妻をイラっとさせる危険な「スイッチ」を押しがち。小さな怒りが積み重なると、やがて大爆発につながります。
危険なスイッチは、日々の生活のあらゆる場面に潜んでいます。どんなシチュエーションのどんなセリフが、妻をイラっとさせてしまうのか。5つの実例を検証しながら、日頃の自分の言動を振り返ってみましょう。妻のみなさんは、悪気なくスイッチを押してくる夫に、「ほら、これ読んでみて」とこの記事を見せるのも一興かと存じます。
スイッチその1
シチュエーション:ご近所さんに対するモヤモヤした気持ちを妻が話しているときに
「要は、こういうことだよね」
<解説>
ご近所さんに関する話にせよ、子どものことに関する相談にせよ、やりがちだけどやってはいけないのは「妻の話を要約する」こと。妻に限らずですが、話がまとまっていないとしても、「要は」「結局は」といった言葉で勝手に要約されたら、相手は面白くはありません。そもそも妻は、夫に状況を把握して意見を言ってほしいわけではなく、話したかっただけという可能性が大。ここで求められているのは、静かに相づちを打ち続ける根気です。
スイッチその2
シチュエーション:テレビを見ていて「この歌手、誰と結婚したんだっけ?」と妻に聞かれて
「えっ、知らないの?」
<解説>
結婚した当時は大きな話題になったとしても、知らない人がいてもおかしくないし、知らなくても恥ずかしいわけではありません。鬼の首を取ったみたいにこう言ったら、そんなつもりはなくても、妻はバカにされたと感じるでしょう。たまたま自分が知っていたからといって、妻に対して勝ったような気持になっているとしたら、ちょっと情けない話。妻としては、夫がそんなセコイ優越感を覚えて喜んでいることこそが、何よりも残念です。
スイッチその3
シチュエーション:妻が話の流れの中で「うる覚えなんだけど」と言ったら
「それを言うなら『うろ覚えね』」
<解説>
たしかに、曖昧な記憶を意味する言葉は「うろ覚え」が正解です。だからといって、会話の途中で相手の言葉の間違いを即座に指摘するのは、必ずしも正解とは言えません。「教えてくれてありがとう」と感謝されることはまずないどころか、確実に相手をイラっとさせます。会話でもっとも大切なのは、お互いに気持ちよくスムーズに話すこと。そもそも隙あらば自分の「お利口っぷり」を示そうとするのは、あまりお利口ではない態度です。
スイッチその4
シチュエーション:妻が「やだー、また体重が増えちゃった」と嘆いている
「少しは運動したほうがいいよ」
<解説>
そんなことは妻だってよくわかっています。わかりきっていることをわざわざ言うのは、極めて無謀かつ無神経な行為。「食べすぎじゃないの」「年齢的に仕方ないよ」も、たとえ親切心からだとしても、妻の神経を逆なでするでしょう。かといって、「きっと体重計が壊れてるんだよ」と外国映画っぽくフォローするのは、さすがに無理があります。深く掘り下げず「そうなんだ。ぜんぜんわかんないけどね」ぐらいで軽く流しておきましょう。
スイッチその5
シチュエーション:夫の両親への贈り物をどうするか妻に相談されて
「なんだっていいよ」
<解説>
誕生日や父の日、母の日などの贈り物をするにあたって、なるべく喜んでもらえるものをと妻が相談してくれました。息子の立場としては、テレ臭かったり口を出すのも図々しいかと思ったりして、こんな言い方をしがち。しかし、妻としては「面倒を押しつけられた」と感じてしまいかねません。実際、何を贈っても喜んでくれるでしょう。それでも、父親や母親の好みを妻に伝えるなどして、一緒に考える姿勢を見せたいところです。
相手に対する思いやり、想像力が大事
うっかり「妻のスイッチ」を押してしまう事態は、相手に対する思いやりや想像力があれば、大半は避けることができます。自分自身が心の余裕をなくしていたり、小さなプライドにこだわっていたりするときも、押してはいけないスイッチを押しがち。ただ、恐れすぎることはありません。たまに押したり押されたりすることをきっかけに、お互いの理解が深まるという一面もあります。相手の大切さにあらためて気づくことにもつながるでしょう。
いっぽうで、ホメ言葉や感謝の言葉など、積極的に押したい「スイッチ」も、たくさんあります。テレが先に立って押すのを躊躇しがちですが、勇気を振り絞りましょう。スイッチを意識することは、相手をしっかり見ることにつながります。これを読んでくださったあなたは、妻といい関係を築きたいと願っているはず。その気持ちがあれば大丈夫です。お互いのスイッチと上手に付き合いながら、これからもますます仲良くお過ごしください。
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