性は生きる活力!高齢者が性生活を楽しむためにかかせないこと
セックスの前に水分補給を行うことが大切だと北村氏は話す。場合によってはセックスが心筋梗塞や脳梗塞につながる恐れまであるそうだ。
「セックスが行われると、肉体を動かして汗をかきます。そうすると血液から水分が失われ、血液が濃縮されます。つまり血液が固まり、血栓などができやすくなるわけです。すると心臓は血液を押し出す力(血圧)を大きくしようとしますから、心臓や血管に負担がかかることになります。その結果、心筋梗塞や脳梗塞が起きやすくなります。血圧が高い人などはなおさら要注意です。しかも、不倫相手など火遊びほど危ない。興奮度が増し、それだけ脈拍や血圧も上昇する。当然危険な状態になるわけです。セックスの前には十分水分補給が必要です」
危険回避には不倫は控えた方が良さそうだ。また高齢者の性生活で欠かせない話題の1つがEDだ。EDの治療薬ができたことによって、セックスが大きく変わったという男性も少なくないという。ただし、心臓病があって、ニトログリセリンなどの冠動脈拡張剤を服用している人などでは、血圧が急降下し、命にかかわる場合もあるというから要注意だ。
セックスを楽しむためには、自分の健康を把握していないと大変な事態を引き起こすこともある。また、セックスの前のお酒にも注意が必要だ。
「多くの男性が、セックスに対する不安や罪意識を和らげ、性的な興奮を高めるためにアルコールの力を借りようとしています。しかし、少量のアルコールであればいいのですが、深酒すると、性的能力を低下させてしまうだけでなく、命の危険だって起こしかねません。ヘビースモーカーや肥満など、日頃から心臓に負担がかかっているわけですから、性行為が危険性を増大させることになります」
北村氏によると、米国などの研究で、性交死は大食、飲酒後の性交に多かったという統計があるという。いずれも心臓への負担が大きくなるのが原因とのこと。
閉経後の性交痛の原因は体の機能、相手との関係性などさまざま
セックスの時の痛みが嫌で止めてしまったという女性もいる。女性側の性交痛がきっかけで夫婦の間がギクシャクしてしまったり、嫌々応じているうちに気持ちが離れてしまうこともあるそうだ。北村氏に女性に多い悩みについても聞いてみた。
「閉経後の女性に最も頻繁に認められる性機能障害が性交痛です。これはエストロゲンの低下により腟粘膜が萎縮し、性的興奮に伴って漏出する腟潤滑液が減少するために起こります。こういう状況があるのに、相手はED治療薬を利用して、固くなったペニスを挿入したがる。これでは救急車騒動も起こるってことです。エストロゲン欠乏による腟粘膜萎縮はホルモン補充療法(HRT)で改善しますが、潤滑液補助ゼリーの『リューブゼリー』や保湿を目的とした『メノケアモイストゼリー』などが有効です」
ちなみに、性交痛の根本の原因を特定するのは簡単ではないという。身体的なことだけではなく、相手に対する気持ちや関係性がセックスには大いに関わってくるからだ。
「“性は脳なり”という言葉があるほどに、性交は足と足の間での営みではなく耳と耳の間、すなわち脳(視床下部にある性的二型核に性欲中枢があると言われています)で行われているのです。そのために、妊娠や性感染症に対する不安、性交が行われようとしている2人の関係性への疑問、性的興奮を抑えてしまいかねない環境、将来への不安など、身体的、精神的トラブルが原因している可能性だって否定できません。これは、ローションを使おうが、『リューブゼリー』を使おうが容易に解決できるものではありません。性交が行われるのに十分な2人の関係が作られているかを再考する必要があります。なお、腟を囲む骨盤底筋群のれん縮である腟けいれん(ワギニスムス)や、子宮内膜症、子宮筋腫、骨盤内感染症、性器の炎症などが性交痛の原因になっていることもありますので、悩みを先送りしないで、婦人科の更年期外来などに早めにお訪ねください」
北村氏の言う通り、性は生まれてから死ぬまでかけがえのないもの。プラスに働けば生きるエネルギーになる。高齢者が性を楽しむためには、気持ちの部分を大切にしつつ、『リューブゼリー』や『メノケアモイストゼリー』などの商品にも頼っていくのが良さそうだ。
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