ひとり暮らしの認知症高齢者を狙った貴金属買取・自宅改修詐欺が急増!実例から学ぶ対策方法と便利な制度とサービス15選
阻止するためのいちばんの方法は、認知症の症状を早期発見し、手を打っておくこと。
「認知症になると整理整頓や片付けが難しくなるので、親の部屋が散らかっていないか観察し、冷蔵庫に同じ食材や賞味期限切れのものが大量にないかチェックする。特に独居の高齢者は詐欺師の標的になりやすいので、できるだけこまめなチェックが必要です」(奥村さん)
親が遠方にいる場合、定期的に電話やメールで連絡するのがいいだろう。気になる点があれば早めに受診したい。
「受診と並行して地域包括支援センターに相談し、必要に応じて介護保険を申請してください。その後も医師や地域包括支援センター、ケアマネジャーなど専門家の助言を得ながら“何ができて、何ができないか”を常に見守る姿勢が重要です」(介護・暮らしジャーナリストの太田差惠子さん)
公的支援をフル活用することも大切だ。社会保険労務士の岡佳伸さんが指摘する。
「要介護者には特別見舞金や障害者控除など金銭面で有利になる制度があり、成年後見制度や家族信託など、認知症に備えた資産管理の制度もある。気がかりな点があれば、まずは社会福祉協議会や地域包括支援センターなどに相談してほしい」
失敗は成功のもと―落とし穴がどこにあるかを知り、危険地帯を避けながら歩んでいきたい。
家族が認知症になったときに使える主な制度15選
※用途/対象者/制度名/制度内容/もらえるお金など
<介護>対象者:患者本人
【1】高額介護サービス費
収入によって変わる自己負担額の上限を超えた介護費用が還付される。
<もらえるお金など>
月額4万4400円を超えた分(年収約383万~約770万円の場合)。
【2】高額介護合算治療費制度
医療費と介護費を合わせてかかった上限以上の費用が還付される。
<もらえるお金など>
年間の自己負担額67万円を超えた分(70才未満で年収約370万~約770万円の場合)。
【3】認知症高齢者見舞金
認知症の高齢者へ見舞金が支払われる。
<もらえるお金など>
月額5000円を年2回(愛知県刈谷市の場合、市区町村によって異なる)。
<介護>対象者:家族
【4】介護休暇
家族の介護を理由に会社を休むことができる。
<もらえるお金など>
対象家族が1人の場合は年5日までなど、会社によって異なる。
【5】介護休業給付
雇用保険に入っている人が介護で休業する際、最大93日を限度に3回まで受給できる。
<もらえるお金など>
一定期間、給料の67%。
【6】家族介護慰労金
介護保険サービスを利用せずに、自宅で要介護4以上の要介護者を1年間介護している家族に支払われる。
<もらえるお金など>
年10万~12万。
【7】障害者控除
自治体により基準が異なるが、認定請求をすることで認知症の家族がいる場合に所得控除が受けられる。
<もらえるお金など>
障害者1人につき27万円、特別障害者の場合は40万円の控除。
<介護>対象者:患者本人・家族
【8】居宅介護住宅改修費
手すりの取り付けなど自宅の改修費の7~9割が還付される。
<もらえるお金など>
上限20万円。
【9】特定福祉用具購入費支給
ポータブルトイレや簡易浴槽など福祉用具を購入すると費用の7~9割が還付される。
<もらえるお金など>
上限10万円。
<医療>対象者:患者本人
【10】高額療養費制度
病院での窓口負担が自己負担限度額を超えた際、所得に応じた額以上の差額分が支給される。
<もらえるお金など>
非課税所帯なら自己負担3万5400円を超えた差額分。
【11】医療費控除
年間でかかった医療費のうち、一定額以上が所得税の控除対象になる
<もらえるお金など>
年間医療費から10万円を引いた分が所得控除される。
【12】自立支援医療
精神科通院の医療費などが軽減される。
<もらえるお金など>
治療費が1割負担や上限額2500円などに軽減される。
<介護サービス>対象者:患者本人・家族
【13】高齢者食事支援サービス
食事を届けてくれる。自治体によって利用回数が異なる。
<もらえるお金など>
1食300円(東京都千代田区の場合、市区町村によって異なる)。
【14】救急通報システム
緊急事態となったときにボタンを押すと、安全確認のために派遣員が来てくれる。24時間365日対応。
<もらえるお金など>
無料(東京都千代田区の場合、市区町村によって異なる)。
【15】紙おむつ給付およびおむつ代の助成
一定額までおむつ購入費が軽減される。
<もらえるお金など>
限度は月額1万円(東京都千代田区の場合、市区町村によって異なる)。
写真/PIXTA
※女性セブン2023年9月28日号
https://josei7.com/
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