旬の”ねぎ”簡単レシピと選び方 青い葉も柔らかくて甘い兵庫の「岩津ねぎ」農家が伝授
約200年前、江戸時代から栽培され、種苗は地域外に持ち出すことができないという徹底した管理から“幻のねぎ”と称される「岩津ねぎ」。今もその味を守り続けるねぎ農家の方に話を伺った。「岩津ねぎ」を使ったレシピもご紹介!
青ねぎ×白ねぎのハイブリッド
江戸時代、兵庫但馬の生野銀山で働く人々の大切な冬の栄養源として栽培され始めた「岩津ねぎ」。現在では11月23日に解禁され、旬の3月21日まで期間限定で一定の条件を満たしたものだけが出荷される。今回訪ねた池本晃市さんは、兵庫県朝来(あさご)市に約200軒あるねぎ農家の生産組合長を務め、1.7haの畑を経営している。
「岩津ねぎは、青ねぎの“九条ねぎ”と白ねぎの“千住ねぎ”を掛け合わせたハイブリッド。普通の白ねぎは青い葉の部分が硬くて食べにくいですが、これは青い葉も柔らかくておいしいので、葉を切らずに出荷します。さらに白い部分は太さが1cm以上、長さは23cm以上、葉は3枚以上など厳しい規定があり、クリアしたものだけが岩津ねぎとして出荷できるんです」(池本さん)
4に種をまいて苗を育て、6月~いちばん暑い時期に畑に植える。そして収穫は、冬の寒さが凍てつくとき…と、実に過酷な作業だ。
「ねぎの中身が凍るくらい寒い日もあります。でもこの寒さが必要で、雪や霜に当たるほどねぎのでんぷんが糖に変わって甘みが増すんですよ」
妻の美香さんは、冬の間は玉ねぎの代わりに岩津ねぎを使うと話す。
「玉ねぎを飴色になるまで炒めると時間がかかりますが、岩津ねぎなら時短になって甘みも強いので、カレーやグラタンにぴったり。葉はとろみがたっぷりで、炒めものに使うと片栗粉いらずです」(美香さん)